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2024年夏の五野井ゼミ「人類の野蛮さを克服する」

毎年夏休み恒例で開催される夏の五野井ゼミ、今年も8月19日(月)の18時より21時まで5日間、東京の新宿にて開催します(なかなかまとまった時間がとれず、他の原稿が遅れており大変申し訳ありません)。今年のテーマは「人類の野蛮さを克服する」です。虐殺を目の当たりにして、学問とは何なのか。思想は何のためにあるのか、何のために学ぶのか。

 今年のテーマは「人類の野蛮さを克服する」です。現代の社会では、かつてナチスドイツによって虐殺の被害者となったユダヤ人の作った国家イスラエルが、パレスチナの人々に80年近くもの間、蛮行を続け、欧米を中心とした国際社会と知識人たちの多くはそれらを非難するどころか見ぬふりをしたり、ときには積極肯定すらしてきました。ロシア・ウクライナ戦争での蛮行や、LGBTQの人々の存在そのものや同性婚に対する野蛮な反応も日常茶飯事になっています。

 なぜ人間はアウシュヴィッツを経験してから79年が経つのに相変わらず野蛮なのか。それを克服する方法はあるのか。そこで今年は近代の啓蒙というプロジェクト自体に野蛮さが組み込まれていたとする、アドルノとホルクハイマーの『啓蒙の弁証法』(岩波文庫)に取りかかることで、抽象的な思考と現代史としての批判理論や哲学を概観することを通じて、文章の読み方を体得するとともに、野蛮な世界をどう考えていったらよいかを学びます。またグローバルな権威主義体制の台頭についても学びます。


 なお、近代的なものは近代になってすぐに始まったわけではなく前近代から継受されてきたものなので、はじめの2日間は人間が他者と生きるための知恵を法から論じた基本的な書籍である木庭顕『誰のための法は生まれた』(朝日出版社)を読んでローマ法でヨーロッパ近代の基本線を固めていきます。


 この講座は毎年、学生から社会人まで広く参加しています。今年も現在まで15人程度が参加です。ご関心のある方は五野井のtwitterやこのnote、インスタ、facebook等までご連絡ください。それでは、皆さん、教室にてお目にかかるのを楽しみにしています。

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