見出し画像

【MosaicByCoordinates&GradientMergeMosaic】PixInsightでモザイク合成

この投稿は2024/11/2時点での内容です。
PixInsight core 1.8.9-3(build 1612 | 2024-06-25)
PC:windows 11 home

この記事は、X(旧ツィッター)で知り合った方に教えて頂いて、PixInsightでモザイク合成が一応できたので、紹介&自分の備忘録にする記事です。

先日、アプリが更新され、モザイク撮影が可能になったSeestarS50で実際にモザイク撮影をしてみました。その結果がこちらです。

SeestarS50のモザイク合成

長い時間撮影したモノなので、彗星は動いて写っていますが、途中、雲が通ったり、だんだん高度が下がってきて街の明かりで全体的に白っぽくなったり〜としたわりにはよく出来ているのではないでしょうか。
このとき、本体に保存されたモザイク合成される前の画像(例えば以下のような画像)

モザイク合成前の画像

このような20秒露光、178枚の画像を使って、敢えてPixinsightでモザイク合成をしてみました。結果は、、、

Pixinsightでモザイク合成した結果

あれ?真っ白?
と思ったかと思いますが、本来は1枚1枚の画像の明るさを調整するなどしてからモザイク合成するところを、ほとんど何もしないまま(勾配補正も色調整もストレッチもしていません(^^;)、とりあえずモザイク合成できないかなー?とやってみた結果なのでご容赦ください。



1.手順

以下の(ア)~(エ)の手順でモザイク合成をやっていきます。
(ア)勾配補正、色調整、ストレッチなどの下準備
(イ)すべての画像にImageSolverで星の位置情報付与

(注意)もし(ア)の調整をすることで、星が認識しづらくなって(イ)のImageSolverが失敗するようであれば、(ア)より(イ)の方を先にやってImageSolverがうまくいくか試した方が良いかもしれません。

(ウ)MosaicByCoordinatesを実行してパズルの枠を付与
(エ)GradientMergeMosaicで重ね合わせ


(ア)下準備

私の場合、最初に書いたようにほとんど下準備をしていません。ただし、以下の記事

でやっているように、最初にCosmeticCorrectionを使ってホットピクセル&クールピクセル除去の設定をしてWBPPを実行した後にできる「debayered」フォルダの中のデータを使いました。

(注意1)WBPP後の「registered」フォルダの中のデータは使わない方が良いかと思います。星の位置調整がされて、端が削られた画像になっているはずですので、モザイク合成の意味がなくなります(^^;
(注意2)画像調整はもちろんWBPPを使う必要はありません。通常であればImageContainerやProcessContainerを使ってすべての画像にまとめて勾配補正、色調整、明るさ調整などをかけると良いかと思います。


(イ)ImageSolverで星の位置情報付与

次のMosaicByCoordinatesには星の位置情報が必要です。そのため、ここでその準備として、すべての画像にまとめてImageSolverで星の位置情報を付与します。ImageSolverにはGaia衛星データを使うのが精度が良いようなので、もしGaiaの設定をされていない方は、下の記事を参考にGaiaの設定をしておいてください。

その上で、ImageSolverを開きます。場所は
Script>ImageAnalysis
の中のにあります。

一番上の「Target Image」で「List of files」を選択したあと、次のように順番に設定します。
①「Add files」を押して1.で調整したファイルをすべて選択します。
 ※「Ctrlキー」+「Aキー」を押すとすべての画像が選択できるので便利です。
②Seestar画像の場合はDetection Scale5から8
③Seestar画像の場合はSensitivity0.50から0.97

(参考)②、③はSeestarのような焦点距離が長い望遠鏡の場合に、ImageSolverのエラーを防ぐために有効な設定のようです。

これで実行すると、下のように選択したファイルのあるフォルダの中にImageSolverが成功したモノのファイル(デフォルト設定だと名前の末尾にWCSが付く)が作成されます。

これらを別の1つのフォルダに移しておきます。「更新日時」で並び替えるとまとめてファイルを選択しやすくなるかと思います。

ちなみに、Seestarの画像の場合はそれぞれの画像に望遠鏡のある程度の情報が入っているせいか?これで実行すればうまくいきましたが、、、

〇 ImageSolverがうまくいかない場合
一度ImageSolverを閉じ、今回使用する画像を1枚開いてからもう一度ImageSolverを開いてみてください。そうすると下の画像のように「Active window」の情報が「Image Parameters」のところに自動的に入ってくれるはずです。(焦点距離やピクセルサイズの情報など)

この状態で「Target Image」を「List of files」にしても「Image Parameters」のところの情報は維持されるようなので、これで先程の①~③を設定してImageSolverを実行してみたらいかがでしょうか・・・?

これでもうまくいかない場合はちょっと私にはパッと解決方法が浮かばないので出てきたエラーをネットやChatGPTなどで調べると良いかと思います。


(ウ)MosaicByCoordinatesでパズルの枠を付与

これで準備は整いました。ここからモザイク合成をしていきます。まずはMosaicByCoordinatesを実行してそれぞれの画像にモザイク合成後の枠を付与していきます。枠を付与すると、例えばこんな感じになります。

この2枚の画像は共に同じモザイク合成後の枠の中にはめ込まれています。MosaicByCoordinatesを開いて実行してみましょう。場所は
SCRIPT>Mosaic
の中です。

開いたら、次の手順で実行します。
①「Add Files」でImageSolverで作ったすべてのファイルを選択
②「Pixel interpolation」で「Bilinear」を選択
(※②は好み?)
③「Output directory」のフォルダを選択
④「OK」を押して実行

実行後は選択した「Output directory」の中に末尾に「_ra」と付いたファイルができあがります。これらを次のGradientMergeMosaicで重ね合わせていったら完成です。


(エ)GradientMergeMosaicで重ね合わせ

最後にGradientMergeMosaicで画像を重ね合わせて完成です。場所は
PROCESS>GradientDomain
の中です。

開いたら、次の手順で実行します。
①「Add Files」でMosaicByCoordinatesで作ったすべてのファイルを選択
② ● を押して実行

私の画像の場合には、基本デフォルト設定でうまく?いきました。
できた画像で良ければ「File」の「Save as」から通常の画像の保存と同じように保存して終了です。

ちなみに各種設定についてはChatGPTに聞いてみると

GradientMergeMosaicの設定項目
(1)Type of combination
〇 ブレンドの方式を選択します。
〇 AverageやOverlayなどのモードがあります。Averageが一般的で、重な り部分が平均化されますが、好みに応じて設定を変えて効果を確認すると良いでしょう。
(2)Shrink Radius
〇 各画像の境界線部分をどの程度縮小させるかを設定します。
〇 境界部分に不要な重なりがある場合、この値を大きくすることで画像の重なり範囲を減らし、継ぎ目が目立たなくなります。
〇 値が大きいほど境界が狭くなり、重複部分が少なくなりますが、適切な設定が必要です。
(3)Feather Radius
〇 各画像の境界部分をどれだけぼかす(フェザー処理をかける)かを設定します。
〇 値を大きくすると境界部分がより滑らかにブレンドされ、継ぎ目が目立ちにくくなります。
〇 境界に目立った線が出る場合、Feather Radiusを調整することで、自然な合成が可能です。
(4)Black point
〇 モザイク合成時に各パネルの黒レベル(背景の暗さ)を一致させるために使用されます。
〇 Black Pointをわずかに上げることで、暗い領域が均一になり、背景のムラを軽減できます。
〇 ただし、値を高くしすぎると、画像全体が暗くなりすぎることがありますので、必要に応じて少しずつ値を変更し、プレビューしながら調整します。
〇 合成画像の背景輝度の違いが少ない場合は、Black Pointの値を小さくしても良いですが、背景に明らかなムラがある場合は少し値を上げると良いでしょう。
〇 通常はデフォルトの設定から始めて、背景の統一感が得られるよう微調整するのが理想的です。
(5)Generate Mask
〇 Generate Maskにチェックを入れると、どの部分がブレンドされているかが確認できるマスク画像が生成されます。
〇 ブレンド範囲の確認に役立ちます。

とのことです。うまくいかない場合の調整の参考にしてください。

今回はこれにて。

ではでは。