六本木の並行世界みたいな展示室
サントリー美術館で開催中の"information or inspiration?" 展がアバンギャルドすぎた件について。
① 鑑賞のルールと概要
本展は作品の前情報がないほど、日本美術よくわかんないって人ほど楽しめる展示だった。
そして、通常の展覧会では聞いたことのない、以下のような説明を入場前に受ける。
ルートが分かれていることや、あえてキャプションを省いている展覧会には前例がある。しかし、その両方に加えて再入場が必要とは、珍しい。少なくとも筆者は初めて経験した。
そして、そのルールに加えてネタバレにならない程度の情報を提供するとすれば、
の2点までに留めておこうと思う。
②インスタレーションとしての展示室
おそらく、本展は美術館の各所蔵品を観る企画というよりも、展示室全てが1つのインスタレーションと捉えたほうが良いかもしれない。
インスタレーションとは、展示物だけでなく展示空間も含めて作品とみなす手法のことを指す。例えば、チームラボの作品はインスタレーションのひとつだ。不思議な光景を作り出す装置や映像だけでなく、それらの存在する展示室全てを「トータルパッケージ」1作品と考える。
逆にこれまで定型となっていたのはMoMAが導入して以来普及した「ホワイトキューブ」だった。汎用性が高く、かつ鑑賞に影響を及ぼさないよう工夫された展示空間。個々の作品を調和させるインスタレーションとは真逆の考え方だ。
とはいえ、それ以前のサロンやプライベートな空間等々で作品を楽しんでいたわけなので、個々の作品が独立してみんな主役となった展示は歴史が浅い。
ゆえに、各展示作品が調和した空間は「ホワイトキューブ」に慣れた人間からは斬新に感じるが、歴史上既に存在したものを現代のインスタレーションとして作った空間が本展だったのかもしれない。
③文字ばかり見ることへの皮肉?
多くは語れないが、白ルートでは、 キャプションの占めるスペースが作品よりも大きい。まるで、キャプションが主役で作品が添え物のようになっている。文字通りinformation=文字情報を楽しむ空間だ。
展示構成上、文字情報ばかり追ってしまうのは自然なことかもしれない。しかし、よく考えていただきたい。これまで皆様が美術館・博物館に行った際、作品とキャプションのどちらに多くの時間を割いてきただろうか。まずキャプションを読んで「あーなるほど」と思ったあと、作品は1分も見ずに次のキャプションへ向かっていないだろうか。
私はこの白ルートに「いつもと同じ見方でどうぞ」という皮肉を勝手に感じてしまった。(企画の方々にそのような意図がなかったら申し訳ない)
逆に黒ルートの無文字空間で、「あなたは美術品をどう鑑賞しますか?」と問われているような、そんな気がした。
※美術館によくいる「知識ひけらかしマン(マン=人)」が苦手な人は、逆に白でそういう声を聞かずに済むからオススメかも?
以上、私が今のサントリー美術館に行って思ったことを書き連ねてみました。
上記にはないけれど、香に関する作品の前だけすごくいい香りがするので是非足を運んでいただきたい。
特に、本note公開日は六本木アートナイトなので、美術館周辺も含めてとても楽しいと思うので。
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