恐怖……なめこが買えない!(これ、いま流行りのマルトリートメントじゃないっすか⁉(30))
どうも、こんにちは。ゴンベーでございます。
ここのところ、ゴンベーの中で重たい話が続いたので、
ちょっといったん、気を抜きまして、本日は軽めの話を
しようかと思います。
恐怖あり、感動ありの、実話系昔話、はじまりはじまり~。
むか~し、むかし。ゴンベーが、幼稚園生くらいでしたでしょうか。
まだ、お金を数えられなかったころの話でございます。
ある日、「おっかあ」に、買い物に行くよう、言いつけられました。
「おっかあ」は、ゴンベーの両手に、銭を1枚ずつ、にぎらせました。
右手に1枚、左手に1枚。
そして、こう言うたのでございます。
「こっち(右手)のお金で、八百屋さんでキャベツを買って、
こっち(左手)のお金で、コンビニでなめこを買ってきなさい」
※ここでちょっと、解説をはさみます。
当時住んでいたマンションの近くには、スーパーがなかったんですね。
いや、あったことはあったんですが、幼稚園児が徒歩で行ける距離には
ありませんでした。最寄り駅までバスで行くようなとこでしたから。
小学生になって、自転車に乗れるようになってからは、スーパーにも
買いものに行ってたんですが。
なので、ゴンベー用の自転車は、前に買い物カゴ、後ろに荷台がついた、
いわゆるママチャリでした。
「兄」用の自転車は、買い物カゴなしの、変速6段ギア。
ロードバイクみたいな、前かがみになって乗るやつでした。
ね、みなさま。こういうところにも、「親」の意識が透けて見えますのね。
ゴンベーには、買い物に行かせるから、ママチャリを与える。
「兄」には、おつかい一つさせないから、6段ギアのロードバイクもどき。
「兄妹に差をつけず、全く平等に扱ってますの、ヲホホホホ」なんて
ドヤ顔してみせたって、子どもの持ちもの一つで、バレバレですわね。
ヲホホホホ。
えー、それでは、昔話を続けましょう。
さて、幼稚園児だったゴンベーは、両手に銭を1枚ずつ持って、
八百屋さんとコンビニを、はしごする旅に出ましたのです。
な~に、このくらいなら、いつもの買い物じゃ。
いかな幼稚園児とて、おくれはとらぬわ。
最初は、八百屋さんじゃな。お店は2つとも、大きな道の向こうにある。
信号が青になったら、渡るのじゃ。ほれ、ちゃんと着いた。かるいもんじゃ。
あ~、もし、八百屋のダンナ。キャベツを一つ、つつんでくれんかのぅ。
ゴンベーは、キャベツを一つ、右手の銭で、買おうとしましたが……。
「あー、これじゃ足りないよ。今日はキャベツ、これじゃ買えないの」
え……えええ~~~~~~~~っ!
ゴンベー、まるで鬼にでも会ったみたいに、
一気に血の気が引いてしもうたのです。
※恐らくですが「母親」は、安売りを想定してお金を持たせたのでしょう。
ですが、その日、キャベツは安売りしていなかった。
お金が、足りなかったのです。
「おっかあ」は、右手の銭で、キャベツを買えと言うたのに……。
また、怒られる。また、「兄じゃ」たちにも悪口を言われる。
ああ……もうおしまいじゃあ……。
恐怖におののきながらも、ゴンベーは、がんばりました。
「お金、これしかない……」と、必死に訴えました。
すると、八百屋のおじさん、
「こっちにも、お金持ってるじゃない。これで買えるから」
なんと、ゴンベーの、握っていた左手をひらかせたのです。
そこには、もう1枚、なめこを買うための銭が……。
もう、どうしようもない。
ゴンベーは、その銭も、八百屋のダンナに渡してしまいました。
なめこを買う銭を……。
なめこ……なめこのお金が、なくなってしもうた……
「おっかあ」に言われたとおりに、できんかった……
半ベソかきながら、八百屋のダンナからお釣りをもらい、
ゴンベーは、それでも一応、コンビニへと参りました。
キャベツとなめこを、買わねばならぬのです。
キャベツだけ買って帰ったら、また何と言って罵倒されるか……。
コンビニで、冷蔵棚からなめこを取り、レジへ行きました。
ピッと音がして、店員さんが、金額を告げます。
ゴンベーはまだ、お金を、数えることができませぬ。
持っていた銭を、さっき、八百屋のダンナにもらったお釣りを、
祈るような思いで、ありったけ全部、レジに出したのでございます。
お金、これしか持ってない。
また買えなかったらどうしよう。
店員さんに、これじゃ買えないって言われたらどうしよう。
出したお金をじっと見つめたまま、半泣きで固まっておりました。
店員さんは、ちょっと戸惑ったようでございました。
しかし、ゴンベーがお金を数えられないことが分かったのでしょう。
指をさしながら1枚1枚、お金を数えてくれました。
そして、コインを2~3枚、ゴンベーに戻してくれました。
その瞬間を、ゴンベーは今でも、忘れてはおりません。
なめこが、買えた……!(´゚д゚`)
信じられない思いで顔をあげたゴンベーに、店員さんは、
ふくろに入ったなめこを、渡してくれたのでございます。
キャベツのふくろと、なめこのふくろを、両手に一つずつ持って、
ゴンベーはコンビニを出ました。
半泣きでうつむきながら入ったコンビニを、出る時には意気揚々と顔をあげて。
ちゃんとお釣りもにぎっています。
レジ袋は無料です(当時)。
ああ……世界が、かがやいておる (*´▽`*)
空は光り、太陽は笑い、浮かぶ雲の白は200色ある……!
言いつけとはズレてしまいましたが、ゴンベーの買い物は、
無事に終わったのでございました。
めでたし、めでたし。
と、これで終わらないのがZ家なんざんすよね。
家が近づくにつれて、ゴンベーは、
「右手のお金でキャベツが買えなかった」ことが
気になりはじめました。
ゴンベー、悪くないんですけどね。
悪くないことで怒鳴られ罵倒されるのは、日常でしたので。
自分が悪いとか悪くないとか、関係ないんです。
「親」の要求を満たせたかどうかが、重要なのです。
家に帰り、恐る恐るお釣りを出したゴンベーに、「母親」は、
「お釣り、これだけ?」と、とがめるように言いました。
ゴンベーがちょろまかした、とでも思ったのでしょうか。
ゴンベーは必死で、右手のお金でキャベツを買えなかったと釈明し、
それでも、残りのお金でなめこも買えたってことを訴えました。
「母親」は、
「ええ? キャベツがそんなに高かったの?」と、
まだ不満そうにしていましたが、ひとまずゴンベーへの追及は終わりました。
買いものなんて、幼稚園のころから、日常的に行っていたし、
この時が初めてでは、なかったんです。
それでも、この時のことは、今でも記憶に焼きついています。
それほどに、はげしい恐怖をおぼえた出来事だったのでしょう。
右手のお金でキャベツを買えなかった恐怖。
なめこが、買えないかもしれない恐怖。
大げさじゃなく、なめこを買えた瞬間、
ほんとうに世界が一気に色を取り戻したんですよ。
常日ごろ、「親兄妹」から人間性を否定されて育っている子どもにとって、
「親」の命令が遂行できないことは、生存に直結するレベルの恐怖なのです。
たとえそれが、なめこ程度のものであっても。
この話に、何か感じていただけた方は、
どうぞ、お子さんへの日頃の声かけを、見直してみてくださいまし。
なめこが買えない程度で、お子さんが、
一生記憶に焼きつくレベルの恐怖に苛まれなくて済むように。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。