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虐待の後遺症が理解されにくいのは の巻(これ、いま流行りのマルトリートメントじゃないっすか⁉(32))

どうも、こんにちは。ゴンベーでございます。
 
今回のお話を読んでいただく前に、一つ、ご了承を。
ゴンベーは専門家ではなく、自分の経験から感じたことや
自己分析したことを、語っておるんですね。
なので、今回のお話も、完全に私見ですので、そこんとこヨロでございます。

本題に入る前に、も一つ、ご了承を。
最近の記事を自分で読み返してみたところ、
コレふざけすぎてないか?てか、寒いんだけど?と、
深淵の底から猛省を促す声が聞こえてまいりましたんで、
今回はちっとマジメに参りたく存じたてまつっておりますm(_ _)m

あ、一体いくつご了承させる気なんじゃい!って声が深淵の底から……。
コレが余計なんですわね。さっさと始めたてまつりましょう。
 
ええと、ゴンベーは、このシリーズを通してずっと、
「虐待・マルトリートメント被害は、後々まで影響する」ってことを、
お伝えしてきているんですが。
 
いやホント、1本目の記事から、書いてるんですよ。
「今、あなたが浴びせた暴言を、目の前の子どもは、一生忘れない。
 そうと分かっていたら、それでもなお、暴言を吐きますか?」

みたいな話を。
 
虐待被害というのは、世間で思われている以上に深刻なもんで、
長期にわたる被害の末に、被害者には後遺症が残ったりします。
複雑性PTSDというのだそうですね。
ウィキペディアへのリンクはこちら⇒「複雑性PTSD」
 
なのですが。
不思議なことに、その深刻さが、全然理解されないんですよね。
 
それどころか、被害を訴える側が、責められたりしてね。
二次被害ってやつっすかね。
その辺りのこと、他の記事でも書いてるんですが。
記事27「10年パワハラ受け続けて、やっと10歳」
 記事28「虐待被害は一生続く~後遺症~」 参照)
 
生んでくれた、育ててくれた親御様々に、
ちょっと痛めつけられたくらいで文句言ってんじゃねえよ、的な?
被害者のほうが、恩知らずのモンスターみたいに言われてしまう。
 
何でなのだろう、と。
ゴンベー、専門家ではないものの、いっしょーけんめー考えました。
 
で、思ったんです。
理由はいろいろあるだろうとは思うんですけど、一つには、
「親」ってもんは、誰でもみんな、持っているからなんじゃないかと。
 
それがどんな「親」かってのは、ひとまず置きまして。
生物学上の「親」ってモンは、必ず存在しますよね。
生まれてすぐ「親」に捨てられて、顔も知らない、って人でも、
誰かから生まれてきたのは間違いないわけで。
 
私は土から生えてきた!って方が、もし、いらしたら、スンマセン。
 
土から生えてこなかった人々は、まあほとんどの場合、
生物学上の「親」を持っておるわけでして。
 
なので、そのすべての人に、「親」の基準があるんです。
 
「親」ってのはこういうモンだっていう、具体的なイメージ像みたいなの。
 
この、「誰にでもイメージ像がある」ってのが、やっかいなとこでして。
 
生まれてすぐ捨てられた人と、愛情深く豊かな家庭で育った人では、
「親」のイメージ像が違います。
 
ですが、誰もがみな、自分の中の「親」のイメージ像が、
スタンダードだと思ってしまう。
自分の「親」を前提にして、相手の環境を考えてしまうんです。

 
そうだなあ、例えば、各家庭の環境を、気候に置き換えてみましょうか。
 
室内の年間平均気温が20度くらいの家庭で育った人。
子どもは、快適な室内にいることを「親」から許されています。
こちらが、まともな家庭で育った人の環境です。
 
一方で、虐待家庭というのは…。
外は荒れ狂うブリザード。気温は極寒のマイナス40度。
そんな屋外に、「親」は子どもを放り出しています。
 
家の中は、暖かいんです。
だけど、その家の中に、子どもが存在することを、
「親」は許しません。
 
「親」とそのお気に入りの「兄妹」たちは、
暖かい家の中で、多分、楽しく過ごしている。
自分は、荒れ狂う吹雪の中、遠くはなれた外から、
灯りのともった暖かそうな家を眺めている。
 
実はこれ、ゴンベーが初めて「家の絵を描く心理テスト」を
知った時に、頭に浮かんだイメージなんです。
 
バウムテストってありますでしょ? 実のなる木の絵を描くってやつ。
あれの、家バージョンなんですかね。
 
「家の絵を描いてください」っていう心理テストがあるって、
何かの本で読みまして、その時にパッと頭に浮かんだイメージが
コレでした。
 
さて、極寒の屋外で育った人は、全身が凍傷でグズグズです。
ボロボロのゲダゲダの、ズロンズロンです。
あったかい服を着てるなんて、思わないでくださいね。
剥き出しの生身に、無数の氷の破片が突き刺さり続けてます。
 
手足なんて、とっくに落ちちゃってます。もう生えてきません。
ナメック星人じゃないんだもの(どこ太字にしとんねん)。
 
ドラゴンボールってけっこう昔のマンガなのに、
共通語みたいに使えるネタがあるの、すごいっすよね。
図書館に全巻あるんですけど、予約待ちなんですよ。すごいっすね。
 
脱線しちゃいました。話を戻しましょう。
 
マイナス40度の極寒の中で育った人は、自分の体が凍傷で、
一生治らない傷を負っていることを、一所懸命、説明します。
「親」の手で、ブリザードにさらされ、ズロンズロンなのだと、
必死で説明します。
 
説明しなくても済むなら、しないんですよ?
言いたかないもの、こっちだって。
だけど、しなきゃいけない時も、ありますから。
 
そうすると、20度の家で育った人が、言うんです。
「うちだって、気温が15度しかない時に、家の外に出されたことくらいあるよ?」
「そりゃ寒かったけどさ。傷ついたし、泣いたし、悲しかったけどさ。
でも、そのくらいで、凍傷になって一生治らないとか、大げさじゃないの?
親だって人間なんだから、機嫌が悪い時くらいあるでしょ」
 
そうですねぇ。
もしもゴンベーが、年間平均20度の家に育っていて、
時々、気温15度の屋外に出されてただけで、
「凍傷になったー!」って騒いでるのなら、
「大げさだよ~」ってたしなめられるのも、
わかるっちゃわかるんですケンドモ。
 
ベースが違うんですよ。前提となる状況が、違うんです。
 
「寒い屋外に出されたことがある」じゃないんです。
「氷と吹雪の屋外に、出されっぱなしだった」んです。
暖かい家の中を経験したことがないんです。
 
ずっとその状態ですから、寒さを感じる感覚が麻痺しています。
凍傷で体が崩れていっても、助けもこないし、守ってくれる人もいません。
 
その崩れた体を引きずって、生きてきたんです。
この先一生、崩れた体で、生きていくんです。
 
他の人ができることが、できないこともあります。
体が崩れてますからね。
 
「家族」や「親兄妹」の概念が、他の人たちと違ったりします。
そのために、会話というか意見とかが、かみ合わないこともあります。
場合によっては、どうしてかみ合わないのか、話さなきゃいけません。
相手の意見を押しつけられ続けて、解放してもらえなくて、
やむを得ず、話さないといけないことも、あるんです。
 
崩れた体が、今でも痛いんです。
物心ついたときには、凍傷負ってたんで、
傷のない体ってどういうものか、分からないんです。
 
だけど、これが、20度の家で育った人には、想像できない。
だって、その人は、マイナス40度のブリザードの中にいたことが
一秒たりともないからです。
 
「親」の手で、吹雪の屋外に閉め出されたことが、一度もない人が、
「凍傷なんて負うわけがない」「親だって人間だ・完全じゃない」
「もう許してあげたら?」「昔のことでしょ」などなどと、
凍傷でゲジャンゲジャンの体を、さらに踏みつぶしてくるんです。

かんにんしてくんろ~~~
ナメック星人だってもう再生できないだよぉ (ToT)
 
多分、悪意でやってるわけじゃないんですよね。
その人にとって、虐待家庭の「親」は、
自分の持っている「親」のイメージ像とは、
あまりにもかけ離れすぎているのです。

 
これを読んで、
「自分も同じことを、友だちに言っちゃったことある」
という方が、もしもいらっしゃいましたら、お願いです。
 
あなたの「親」を基準に、お友だちの境遇をはからないでください。
 
最初から「親」を憎んでいた子どもは、いないんです。多分ね。
オギャアと生まれた瞬間に「親」を憎んでいた子はいないんです。多分ね。
 
虐待問題に携わる方なら、よくご存じだと思います。
「親」から手ひどい暴力を受け、施設に保護されている子でさえ、
「親」を慕い、「親」をかばい、自分が悪いのだと自分を責め、
「親」と一緒にいたいと切に願っている。
そういうの、よくある話なんです。
 
心と体を踏みにじられ続け、数多の絶望をつきつけられ、
何度も何度も「こんな『親』でも人の心があるんじゃないか」と
心のどこかで期待してしまい、数え切れないほど裏切られ続け、
長年にわたり「親」から叩きつけられ続けた負の感情を、ついに
飲みこむことができなくなって、あふれ出し、「親」に突き返すに至った。
 
それが、お友だちの現状かもしれないのです。
 
あなたと「親」のイメージ像を共有できないことに、
一番苦しんでいるのは、お友だち自身かもしれないのです。
 
「親」は誰にでもいるからこそ、
誰にでも「親」というイメージ像があるからこそ、
「自分の像が国際基準のスタンダード」ではないのだと、
頭の片隅に置いておいていただけたら、と願っております。
 
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。

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