chatGPTo1proと小説書いてみた(約3万文字)
はじめに
chatGPTに課金したらやってみたかったことの1つが
「小説を書く」ことでした。
僕個人は小説の執筆経験はありません。
(読むのは好きです)
人間である僕は、ひたすらアイディア出しやダメ出しに徹し
全ての文章をchatGPTに書かせたらどうなるか。
どれほどの文章力を発揮するのか。
それを見てみたかったのです。
なので、今回僕は1文字たりとも書いていません。
(この記事は僕が書いてます)
小説の設定
主人公は数々のベストセラーを世に送り出し、誰もが認める天才小説家として名を馳せていた。
しかし、彼には誰にも言えない秘密があった。
実は、彼自身は一度も小説を書いたことがない。
名作の数々は、全て影に隠れたゴーストライターの手によるものだったのだ。
ある日、そのゴーストライターが突然失踪する。
次の締め切りが迫る中、主人公は追い詰められ、焦燥感に駆られる。
執筆の才能がないことを知られれば、これまで築き上げてきた名声は一瞬で崩れ去る。
そんな中、彼は最後の手段に出ることを決意する。
最先端の文章生成AIを使い、新作を書き上げることだ。
本編はこちら
主要登場人物の紹介
主人公:
橘 修一
表向きは売れっ子の天才作家
しかしデビュー当時から、全ての作品は幼馴染であるゴーストライターが書いていた。
頭の中で物語を組み立てる天才的な発想力があるが、これを文章に構成することができない。
しかし、物語への情熱が人一倍強く、どんなテーマを振られても、即興で魅力的なストーリーを思いつく。
彼の話す物語には、どこか「普遍的な感情」が宿る。
自身の言葉で深く語れない分、話を聞いた相手に
「ああ、これが大切なんだ」と直感させる力がある。
自信家を装っているが、内面では不完全な自分への焦りと罪悪感を抱えている。
ゴーストライター:
黒澤 悠
主人公の幼馴染。
主人公の発想力と物語への情熱に惹かれ、「この物語を世に出したい」と思い小説として形にしたことをきっかけに、デビュー以来ゴーストライターとして執筆をしている。
以来、全ての作品を彼が執筆している。
商業的な成功と多忙をきっかけに、徐々に変わってしまった主人公への葛藤と、自分自身の作品を世に出してみたい、という思いに耐え切れなくなり失踪。
人間の感情の機微や「熱」を繊細かつダイナミックに描写することが得意で、それこそが橘作品特有の没入感を生む最大の要因だった。
文才はあるものの、ゼロからアイディアを生み出すことができない。
全ては橘 修一の天才的な発想力あってこそだと自覚しており、それが劣等感に繋がっている。
AI執筆を終えた感想
正直、予想以上の出来でした。
多少の矛盾はあるものの、物語として綺麗に成立しているし、もっと時間をかけて内容を詰めていけば、普通に「プロとして中の下」くらいはクリアできるのでは?と思いました。
今回の内容は、ダン・ハーモンのストーリーサークルという、大ヒット映画の脚本などで使われる型を採用しているので、その影響はかなり大きいです。
テーマやキャラクターの深堀、どのように物語を収拾してクライマックスにもっていくか、などなど
事前に何度もchatGPTと擦り合わせていたことも、綺麗にまとまった要因だと思っています。
下手な二次創作よりも物語の背景が上手く描かれている、と言ったら二次創作をしてる人に怒られそうですが、そこそこの創作物よりも圧倒的に文章として成立していることは間違いないです。
ネガティブな感想をあげるとしたら、物語の「深み」という点ではどこか満足度が低くなるかと思います。
全体を通して、上手く綺麗にまとまっているのですが、抑揚が無い印象です。
最初から最後まで一定のテンションで話が進んでいくので、物語に入り込んでいくような没入感がどうしても得られませんでした。
素晴らしい小説には読後の「余韻」があります。
なんなら、この余韻を楽しみたいから小説を読むと言っても大げさではない。
それを生み出す要因は、物語の抑揚や没入しているときの時間間隔や感情の共有だと思っているのですが、chatGPTに書いてもらった内容は、何度書き直してもそれを得ることができませんでした。
映画やドラマの脚本、のような印象を個人的に受けました。
とはいえ、完成度は予想以上に高いので
人によっては「あの作家より面白いよ」なんて感想もあり得るかもしれません。
上記のことを踏まえて「AIにできること&人間にできること」の線引きが、僕の中でより明確になった気がします。
AIの創作物は、基礎理論を見事に押さえて生成されます。
限りなく完璧な優等生的作品を作ることは、生成AIの扱いに慣れた人であれば、実際の創作経験がなくても可能です。
ただそれは、教科書的な完璧であって
人間の熱や魂を宿すことは、やはり人間にしかできない、と
制作をすればするほど確信していきます。
言い換えると・・・
熱や魂、パッション、哲学、など言い方はなんでもいいですが
そのようなものがないと人の心を震わすことはできない、という
当たり前の人間臭さがより顕著に表れていくのが、これからのAI時代なのかもしれません。
生成AIが創造性を奪うのではなく
生成AIが当たり前だからこそ、人間は本物の創造性を試されている
と僕は確信しているのですが、その確信がさらに深まることとなったのが、今回の制作でした。
以下、ネタバレありの感想
今回の作品は100%AIが書いてます。
どうしても内容の矛盾や気になるところはあるのですが、それを修正しないことで、ところどころにAIらしさも感じれるかもと思い、そのままにしました。
まず最初の矛盾というか気になった点として。
1章では、担当編集がゴーストライターの存在を知らないような雰囲気ですが、2章ではゴーストライターが担当編集に連絡をした後失踪します。
一応設定では、担当編集は2人の秘密を知る唯一の人物であり
chatGPTにもそれを伝えていました。
こういった小さな矛盾は人間が修正すれば特に問題なのですが、物語冒頭から気になった点なので載せておきます。
次に個人的に気になった点は、第5章全般です。
大炎上記者会見のあと、再開した主人公とゴーストライターが、AIをチームに迎えた3者体制で新たな制作に挑むのですが、AIを迎え入れる流れが、何度設定を変えても陳腐になってしまいました。
この小説は、裏テーマとして
「抗うことができないAI時代の到来おけるコンテンツの在り方や存在価値
そして、その上で人間がすべきことは何か」
ということを読者に印象付けたいと思っていました。
そこで選んだのが、主人公とゴーストライターとAIがチームとなり共作する、という流れです。
これを上手くまとめるために最終章のプロットは何度も(AIが)修正をして、なんとか納得いく形になりました。
しかし、途中の第5章だけは、どれだけ修正案を出しても、納得いくものにはなりませんでした。
作家がAIを導入するという、普通に考えたら反対多数の炎上案件の決断に対して、どのように読者の共感を得るか。
これはAIにとってもハードルが高かったようです。
とはいえ、最終章で書いてほしかった、
・AIがあることで2人の才能がより発揮されること。
・コンテンツではなくコンテクストを含めた新しい創作の形
などは上手くまとめてくれたので、個人的には満足のいく結果となりました。
最後にもう一度、小説のリンクを載せておきます。
生成AI時代の創作の未来を考える、大きなヒントになると思います。
ぜひ一度読んでいただけたら嬉しいです。