罰金 100円!
チャリーン この音が嫌いだった
空き缶に100円玉を入れた時の音だ
何回聞いたのだろう?
調理場には5人
チーフは前に大きな会館で最年少で総料理長になってる凄い人
2番は月に一回ずる休みをするけど優しい先輩
3番は毎日30分またに1時間遅刻してくる先輩
4番は同い年でいつも俺をカバーしてくれてた人
5番は俺 っていうメンバー
バブル真っ只中
有名な大きなビルの地下にあったレストラン街
昼も夜も忙しく追われる毎日だったけど
基本みんな優しくて働きやすかったし
明るい職場だった
でもやっぱり疲れがたまってきたり
イライラしてると
ため息や疲れた~って言葉が出てしまった
「ヤバい」って思った瞬間
チーフが「調理場でため息やマイナスの言葉を言うんじゃねーバカヤロー」
他の人もたまに言ってるけど怒られるのは俺だけ
ある日調理場に空き缶が置いてあった
?と思ってると
「さかい 今度からため息やマイナスな言葉を言ったら罰金100円な この缶に入れろ」
「えぇ~俺だけ」っと思ったら
「さかい以外も万が一言ったら同じく100円な」
チーフ以外の3人が俺を睨んでる
「さかい分かったかー」
「はい分かりました」 ハァー
チーフが無言で缶を出してきた チャリーン
この俺の貯金は千円位になると
ジュースとか休憩時間に食べるお菓子とかに変わっていった
これらを買いに行くのはホールの女の子達
最初はけっこうなペースで貯金してたけど
徐々に減っていったのだが
ここで新たな敵が……
ランチが始まる前と休憩時間にコーヒーを
もらえる以外は水しか飲めないから
ジュースやお菓子を食べたい女の子達が
俺を観察し始めたのだ
しまいには「ジュース飲みたい」とか「お菓子が足らない」とか言い始める始末
まぁ俺以外はみんな笑ってるからいいか
チーフもたまに財布から千円を出して女の子達にジュースとお菓子を頼みながら
「さかい お前のせいで俺が払うはめになったじゃねぇか」と言いながらもマイナスな言葉を言わなくなった俺を満足そうに見てくれた
今の時代にこんな事してたらすぐに
「パワハラ」なんて言われると思うけど
俺はちょっと違う気がする
実際この店を辞めて他の店に移っても
人前では「ため息&マイナスな言葉」は言わなかったので
自分も楽になるのと
周りの人に嫌なおもいをさせないし
評価も良くなってたと思うから
払った何十倍もプラスになったって事だろう
罰金をしてくれたチーフには心から感謝しています
2年間勤めた後に新しい職場でたまに
「ため息&マイナス言葉」を言ってしまった時は
コンビニへ行って募金箱に100円を チャリーン
今この音を聞くとちょこっと笑顔に
んん 今思ったんだけど
遅刻も罰金にすればよかったのに
ありがとうごさいました。
前に書いた「人生の宝物になった場面」は
この「罰金 100円!」の後の出来事です
よかったら読んでみて下さい。
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