人生の宝物になった場面
まだ携帯電話も一部の人しか持ってない
だいぶ昔の事だけど
僕にとっては有難くて今でも大変役に立ってる出来事でした
当時銀座のパブレストランでコックをしていた俺
勤務時間は午後3時~午後11時で飲食店にしては短い8時間労働でした
ただ12月は忘年会で毎日たくさんの予約が入っていたため
午前10時には出勤してました
毎日毎日13時間ぶっ通し
5時からの営業が始まると9時過ぎにならないとトイレにも行けない
作っても作っても減らないオーダー伝票
賄い食べれるのは11時半位
一番若かったし元々体力には自信があったけど20日過ぎると
疲れが溜まってくる
帰りの電車で吊り革に摑まりウトウトしてると
テンション高くて声のでかい2人組が乗ってきた
話を聞いてると忘年会の帰りではなく
40代の人が50代半ば位の得意先を接待してる雰囲気
40代の人は自然な笑顔で接待だけど楽しい感じがする
「今日はありがとう 僕次の駅だから また飲もうな」と50代男性
「こちこそありがとうございました。是非ともまたお願いします。」
と満面の笑みで返事する40代男性
扉が開き50代男性が降りて「じゃ」
40代男性が90度に頭を下げた
扉が閉まり電車が動き出す
まだ下げてる
だいぶしてから頭を上げた
ビックリ
人懐っこい笑顔が消え物凄く疲れた顔に
ネクタイを緩めながら「ふぅーーーーー」と長いため息
この人はたった今仕事が終わったんだ
その時俺の身体がビクっとした
行きたい時にトイレは行けるだろうし 昼食も食べれるだろうし
立ちっぱなしじゃないだろうけど
会社で職務をこなした後は
最大限の気を使い大切で重要な接待をこなしてる
尊敬の眼差しで見ていると眼が合ってしまったので慌てて会釈した
俺がやってる仕事なんか大したことじゃないんだと思った
長時間立ちっぱなしだろうが先輩たちに煽られダメ出しを食らおうが
フライパン振りっ放しで腱鞘炎になろうが、、、
失敗したってお客様に出さなきゃいいだけの事
でも接待してる人は失敗=会社の損出 凄いプレッシャー
自他共に認めるタフな所
風邪など病気にならない丈夫な所
人よりもバカな所(いい意味ですぐ忘れる)
など俺はついてる ラッキー 運がいいと
思うようになってきた
疲れてたり 大変な作業をしてても
「タフで良かった」
「俺よりも大変な仕事をしてる人達が山ほどいる」とか
結構なヤケドをしても「これ位で済んで良かった」
オーダー伝票がたまってても「楽勝」
など前向きに考えられるようになった
そうしてると冷静に周りを見渡せた→気持ちに余裕が出てくる→
ミスが減る→スピードが早くなる=疲れずらくなり集中力が続く
あの出来事で前向きでいつも元気になれた
気持ち1つで明るくなれる
あれから30年だいぶ体力も落ちたけどあの時の気持ちは
未だに落ちることは無くむしろもっと良くなってる気がします
あの時のお二人には本当に心から感謝しています
それとあの場面でそういう風に感じ取れる俺って
やっぱりスゲーって事 バカで良かった (笑)
ありがとうごさいました。