般若心経聞きながら死ぬほど走って筋トレしてたら15kg減量した話①
2023年10月。
北アルプスのとある山頂付近。
麓の暑さから一転、
強風が吹き荒ぶ山道で、僕の膝は笑っていた。
(歯茎むき出しなくらい)
日頃の運動不足だろうか。
前日楽しみすぎて寝れなかったからだろうか。
お昼が食べ足りなかったからだろうか。
全部だ。あと、太り過ぎだ。
とにかく、一歩一歩の足取りが重い。
空気の薄さと強風で、息苦しい。
地元の山を登ったりトレーニングは多少していた。
今まで登った中で標高は一番高いが、正直余裕っしょ、と完全に舐めていた。
マジでナマ言ってすみませんでした…!!!
後続の登山客に何組も追い抜かれながら、殆ど這うようにしてなんとか山頂に辿り着く。
何とか到達した猛烈な曇りの最高地点で記念撮影をする。
立っているのがやっとなくらいの風の強さ。
同行者の義弟が言う。
「早く山小屋に戻ろう。このままだと低体温症になる。」
そうか、戻らないといけないのか…。
重い足取りでなんとか山小屋に戻り、頭痛と猛烈な体のだるさを覚えながら横になる。
食欲もなく、頭が割れるように痛い。
これが噂の高山病か。
これは流石に夕食も喉を通らない…
前言撤回、肥満体は食わねば維持できぬ。
空腹だから食べるのではない。眼の前に用意されたご飯があって、食べない理由が私にはない。
あと山の上で食べるご飯ってめちゃくちゃうまいし。
夕食のカレーを山盛り食べ、持参した酒をちびちびと飲み、床につく。
翌朝、風の音で目が覚める。今日も風が強い。
顔を洗おうとモゾモゾ動いていると、隣ですでに目を覚ましていた妻に脇腹を突かれる。
「お前さぁ…」
寝不足気味の目で睨まれる。
「イビキ!!酷くてあんまり寝れなかった」
暗闇で急に『ゴアア!』ってイビキが鳴り響いてたらしい。覚えがない。
しかし、同室のメンバーも一様に頷いていた。
妻の憎悪を受け流し、一旦部屋を出る。
わしゃ肉で喉が詰まってんのかァ…?
慣れない布団ながら一晩寝ることができて、多少回復した朝。
食堂でもりもりと食事を取り、下山にむけて準備を始める。
霧のような雨に包まれながらも、道中出会った雷鳥を眺めたり、湖畔で休憩を取りながら息を整える。
登りよりは比較的マシだ。
膝もややウケくらいの笑い方で済んでいる。軽口も叩ける。
来た道を戻るだけでも、景色の移ろいを楽しめるのが登山の醍醐味だ。
登頂だけが登山ではない。
途中、雨に降られはしたが無事に下山できた。
帰り道、愛車を運転しながら思う。
「シンプルに足上がらなくなるのめちゃくちゃ情けないな…」
肥満か、運動不足か、寝不足か。
やはり全部だ。
二度とあんな思いは御免だ。
「このままだと君、早々にくたばるよ。」
ダイエットの神が俺に囁いた気がした。
次回、ダイエット始動編
乞うご期待。