「秘密戦隊ゴレンジャー」

※『電撃TV&ビデオ攻略ガイド』(2001年1月5日発行)より再録

放送日時・1975年4月5日~1977年3月26日
毎週土曜日19時30分~20時、全84話
放送局・NET系

■作品解説 戦隊物の元祖
赤、青、黄、桃、緑、五色のマスクとスーツに身を包む5人の戦士。東映の大ブランド『仮面ライダー』に続く新路線として開発された初の集団ヒーローアクション物であり、現在まで連綿と続く戦隊物の始祖。
悪の組織黒十字軍の奇襲によって壊滅した国際秘密防衛組織イーグル日本支部。奇跡的に生き残った5人の若者が五色の強化戦闘服に身を包む秘密戦隊ゴレンジャーとして、江戸川総司令の下、黒十字軍に敢然と戦いを挑む。
5人組の構成では72年のアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』が先行するが、キャラクターの色分けによる明確な個性、デザインも単純明解、かつ各々のアイマスクが固有の武器となるアイディア、敵味方共に万能メカを有する空想科学性、スピーディーな展開等、独自の魅力が満載の作品に仕立て、5人揃って見栄を切るという、歌舞伎の流れを汲む日本独自のヒーロー美学に基づく見せ場作りという独自の路線を開発した。敵組織も黒十字総統の下、明確な個性を持った幹部怪人、各回の作戦を実行する仮面怪人もバラエティに富む。
中盤からはゲーム性の強いコミカルな世界を確立、流行のなぞなぞを取り入れる等、明るく楽しいヒーローアクション物として完成した。低予算を逆手に取ったような必殺技ゴレンジャーストーム、後のゴレンジャーハリケーンも途中で敵の仮面怪人の特徴に合わせてボールが変化するようになり、ますますギャグ性を強めた。大御所、大平透のナレーションも作品イメージを更に高めている。
紅一点のモモレンジャーも爆弾のエキスパートという明確な位置が与えられ、男と同等に渡り合える戦うヒロイン像をこの一作で確立、ファンを広げると共に、この流れが後に『美少女戦士セーラームーン』という大輪の花を咲かせるのである。イヤリング爆弾を投げる時の「いいわね、いくわよ!」の名セリフは、素顔のペギー松山のホットパンツに白のロングブーツというファッションと共に忘れがたい。また、世間一般にある(?)黄色の戦士はカレー好きという認識も実はこの一作が作ったのだ。
『ゴレンジャー』誕生から20数年、原点にして頂点を極めた『ゴレンジャー』を越えたと断言出来る戦隊は未だ存在しない。

●見どころ シリアス&ギャグ
初期の『ゴレンジャー』はスパイアクション物のムードが強かった。イーグル支部壊滅に見られるようなシリアスな面は代々の幹部怪人の交代劇に引き継がれる。卑劣な日輪仮面最後の戦いの15話、鉄人仮面テムジン将軍がバリブルーンを道連れに壮絶な最期を遂げる42話、飯塚昭三の声も印象的な火の山仮面マグマン将軍が移動要塞ナバローンと共に憤死する54話。
が、やはり『ゴレンジャー』と言えば中期以降のギャグ路線。青すじ仮面が自作の毒薬ハシルタンVにやられる26話はカルトな人気を持ち、声の清川元夢は庵野秀明作品の出演も多い。ゴレンジャーハリケーンをも打ち返す野球仮面の53話、黒十字ハリケーンを編み出すシリーズ随一のギャグ怪人牛靴仮面の61話等々あるが、やはり最高は46話の機関車仮面。急勾配に弱い点を突かれ「俺の時代は終わったー!」と爆死する最後は必見。
そしてゴレンジャー最後の戦い、カシオペアをキーワードにしたサスペンスフルな展開、黒十字城そのものだった黒十字総統の意外な正体と見所満載の84話は絶対見逃せない。

▲周辺情報
黒十字総統は53話まで安藤三男、後が八名信夫。殺陣は初期が大野剣友会、後期はJACが担当。ペギー松山はスイス人の父と日本人の母を持つハーフという設定。
ゴレンジャー基地の入口スナックゴンは44話で破壊され、フルーツパーラーゴンとして新装開店した。マスターは総司令江戸川権八その人だ。
初代キレンジャー大岩大太は54話をもって九州支部長官として赴任、後を二代目熊野大五郎が継いだが彼の殉死によって67話から復帰。

※初出:電撃ムックシリーズ『電撃TV&ビデオ攻略ガイド』メディアワークス発行(2001年1月5日)、構成・編集=島谷光弘
※内容は執筆当時のものです。

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