美しい映画『窓ぎわのトットちゃん』
映画冒頭、闇の中に提灯行列の灯が浮かぶ。これは日中戦争の戦勝祝いと思われる。当時、大衆は日本軍の大勝利に熱狂していた。
戦争はある日突然、天災のように降って来て民衆が巻き込まれるものではなく、国家と軍の強制によるものでもなく、国民自らの意思によっても始まり、継続されるものである。民衆は一方的な被害者ではなく、加害者でもある。
その事実を言葉ではなくたったひとつの描写によって明らかにしてみせたこの冒頭にこの映画の制作者たちの強い意志を感じ、私は心おののいたのだった。この映画は生