「五星戦隊ダイレンジャー」

※『電撃TV&ビデオ攻略ガイド』(2001年1月5日発行)より再録

放送日時・1993年2月19日~1994年2月11日
 毎週金曜日17時30分~17時55分、全50話
放送局・テレビ朝日系

作品解説 東洋系戦隊もの
「気」のブームを背景にした中華テイストの戦隊物で、龍、獅子、天馬、麒麟、鳳凰の中華系聖獣をモチーフにした5戦士が登場。頭部に各聖獣をマークした精悍なマスクとスーツ、ロッドを使ったダイナミックかつスピーディーなアクションで人気を得た。5人各々の拳法技に加え、各自の持ち技も変化に富む。中盤からは6番目の戦士として初の子供戦士が登場、更に7番目の仲間も加わる。巨大ロボも複数体あり画面を賑わせた。敵はゴーマ一族。

●見どころ 多彩なキャラと華麗な技
『ダイレンジャー』は変身(本作では転身と言う)前のキャラ、亮、大五、将児、知(カズ)、リンの5人も見た目、性格共にアンサンブルが良く、彼らを束ねる道士嘉挧(カク)が秘める謎も興味を引く。
ゴーマの怪人もユニークで、デザインも元ネタを大きく取り入れながらダサくもグロくもならないセンスはさすが。赤ネクタイの戦闘員コットポトロは戦隊一オシャレ。更にストーリーの進展につれ数々のキャラが登場、5人と有機的に絡んでストーリーを膨らませた。ゴーマに寝返った亮の父鉄仮面臂張遼(7、8話)。孔雀明王の化身クジャク(9話~)と大五の悲恋。白虎真剣の導きで6番目の戦士となる(17話)少年コウと行方不明の母、双子の兄弟阿古丸(女装してコウを誘う19話が衝撃的)の宿縁。亮の空手のライバル的場陣(初登場の26話の副題「嫌な嫌な嫌な奴」は強烈)。更に7番目の仲間となる亀夫は巨大亀型気伝獣に変身(31話)。ゴーマの落ちこぼれ有名無実三怪人ゴーマ3ちゃんズ(通称3バカ)はダイレンジャーにサッカー(15話)、野球(24話)と対決を挑み、最後は将児との爆走勝負(40話)で友情が芽生える。
メカも多数登場。中でも7体合体の重甲気殿は大亀の上に聖獣三段重ねの凄さで必殺技大圧殺はその名の通り敵をペチャンコに潰す荒技。各々の戦士、武人(ロボ)が繰り出す必殺技も光学エフェクトを駆使し五色の光が絢爛と炸裂する華麗なもの。磁石禅父の磁力を逆用したリニア拳中央新幹線(11話)他意表を突く技も多い。更に宇宙の秩序を守る為に飛来した大神龍のプラズマ衝撃波には実景を用い、瞬時に東京一円を焦土と化す場面(37話)は当時のTV特撮の到達点。
このダイレンジャーの戦いを主軸に、多岐なキャラとそれぞれが持つシリーズエピソードを絡ませたストーリー展開の密度は最高。45話「本気(マジ)で解散!!」から最終50話「行くぞオオッ」までの怒涛の盛り上がりと驚天動地の決着は必見。特に変身出来ない5人が素顔のままでダイレンジャーの見栄を切る47話は戦隊史上屈指の名場面。最終話では50年後、再び甦ったゴーマ怪人に5人の孫たち(二役)が戦いを挑む姿も描かれる。
戦うトレンディドラマと称された異色で熱い『鳥人戦隊ジェットマン』、悪の女王・曽我町子久々の快演と敵を滅ぼさないラストも好評だった『恐竜戦隊ジュウレンジャー』に続く『五星戦隊ダイレンジャー』。この三作で戦隊シリーズは新たな頂点を極めたと言っていいだろう。

▲周辺情報
ダイレンジャーの基地は東京駅の地下。一番気力の高い場所だというのだが? 当時東京駅地下通路を通る度にドキドキしたりして。
クジャクを演じたのは『ターボレンジャー』のキリカで注目を集めた森下雅子。腰高のプロポーションは抜群で、本作でも真紅のタイツに短い上着をまとったヒップラインが麗しい。コウの母を演じたのは『ジェットマン』の女長官を好演した三輝みきこ。亀夫は同じくイエローオウル大石富太を演じた成瀬富久。陣も同じく帝王トランザを演じた広瀬匠。24話ではニセ知の役で実は双子だった土屋兄弟が初共演、以後の東映特撮作品を彩って行く。
最終話では全ては繰り返されるという東洋思想(?)で幕を閉じたが、ここで戦隊物は一つの見切りをつけた感がある。次作『カクレンジャー』以降シリーズの解体が進み、東映不思議コメディ路線を呑み込みながら頂点の『カーレンジャー』まで突き進むのである。

※初出:電撃ムックシリーズ『電撃TV&ビデオ攻略ガイド』メディアワークス発行(2001年1月5日)、構成・編集=島谷光弘
※内容は執筆当時のものです。

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