カービィのかわいさと僕らの危ういもの
カービィはかわいいよね。1番好きなキャラクターを聞かれたらカービィと答えるくらいカービィが好きだ。
みんなもカービィ好きだと思う。だけど、カービィのかわいさをしっかり説明できる人ってあんまりいないと思う。
というわけで、カービィがかわいい秘密と、そこに隠されてる僕らの感情について話していきたい。
カービィの表情
カービィって単純に造形や顔とかがかわいいわけじゃない。あんな感じにまん丸で目と口がついてるデザインなんていくらでも考えうるし、世の中にはもっとかわいいデザインのキャラクターは沢山いる。
カービィのゲーム、やったことあるだろうか。カービィ好きならもちろんやったことあると思う。
カービィって、グッズとかゲームのパッケージとかでは笑顔だったりすることが多いんだけど、ゲームプレイ中は基本的に無表情なんだ。無表情でステージを進んで、無表情で敵を倒して、無表情で敵の攻撃をくらう。そして、ステージをクリアしたりした時だけ笑顔になるという、とてつもなく単純な表情の変化しかしない。
ここがとても重要なポイントなんだと僕は思う。カービィには、複雑な感情変化が描かれていない。それも笑顔、無表情、とかいうほぼ記号的な表情の変化で、ここにカービィの感情が伴っているかどうかすら危ういのではないかと思わせられるようなものになっている。まあまず喋ることすらしないから、よりそれを感じされられるよね。
カービィの能力
カービィの能力は知っての通り、敵を吸い込んで飲み込むとその敵の能力をコピーするというものだ。吸い込んだ敵によって姿を様々に変化するのだが、ここにも大きなポイントがある。
先程述べたように、カービィはほぼ無感情と言っていいほど表情がない。そして、その無感情のカービィがプレイヤーに操作されるままに様々な形に姿を変え、もっといえば変えさせられ”、ステージを進んで行く。しかも敵の攻撃をくらっても無表情のままなのである。
僕らの嗜虐心
こういったことを踏まえると、僕らは割と危うい感情をカービィに抱いているんじゃないかと思えてくる。
僕らは無垢なものを見ると自分の感情をぶつけやすいと思ってしまう。それは、好き、可愛い、かわいそう、うざい、虐めてやりたい、等様々な感情がそこに発生するだろう。キュートアグレッションという言葉もあるが、それもこのうちに含まれると思う。
これはすごく自然なことで、無垢なものには自分の感情を投影しやすく、自分の手元に引き寄せやすいのだ。しかも、無垢だとそれらをぶつけられている本人たちに自覚がないだろうと思考をめぐらせられると、よりそれが加速する。
とても暴力的で、とても危うい目線を、僕らは無垢なものに向けている。それは、虐めてやりたいとか傷つけてやりたいとかだけじゃなくて、ポジティブな感情も同じような暴力性を感じる。
性的な目線、自分の手元に置いておきたいという所有欲、撫で回したい、愛でたい、飾りたい、○○してあげたい。常に一方的な目線だ。対象の無垢さゆえ、対象から返ってくる目線を気にしなかったり、それをコントロールできると思ってしまうと、これらの欲望を一気に向けてしまうのだ。
カービィの憎さ
少し脱線したが、カービィというキャラクターはこれをとても我々に煽ってくるのだ。あらゆる面から、われわれの欲望を向けやすいキャラクターになっていると感じる。
「カービィ 裏返す」でGoogle画像検索していただけたらあるイラストが出てくる。 それは、カービィが手を口の中に突っ込まれて、口の内側が外面に来るように裏返されてしまい、赤い肉の玉になってしまうというイラストだ。
一見かなり残酷だが、僕はこのイラストを見てもカービィのイメージが傷つけられたとは一切思わない、カービィはこういう風に弄ばれるべきキャラクターなのである。まさにイメージ通りの扱われ方だと僕は思う。
まとめ
皆さんはどう思うだろうか。もちろん個人差や、全く共感できない人もいると思う。批判も買う可能性もあるが、我々が無垢なものに対して抱く感情は、間違いなく身勝手なものであるということはわかって頂きたい。しかしだからといってそれを批判したい訳じゃないし、我々は簡単にそこから逃げられるようなものでは無い。というか別に逃げなければいけないとも思わない。ただ僕がなんでカービィがかわいいと思うのかを伝えたかっただけである。
我々の中に潜む、所有欲やコントロール欲、嗜虐心、そういうものにカービィは訴えかけてくるのだ。
ちなみに、これらの問題は身の回りのコンテンツに多く当てはまる。それらの感情を煽られてしまうし、インスタントにそういう感情を刺激されるようなもので溢れかえっている。個人的にはこれらの感情を自覚した上でそのコンテンツに向き合いたいと思っている。そうじゃなければ単純にキモイなと思ってしまうんだよな…。
あくまで個人的な意見だとは何度も言っておく。