好きなもの「ミスター味っ子」
原作:寺沢大介
監督:今川泰宏
週刊少年マガジンで連載されていたマンガのアニメ作品。
このアニメが、原作からどんどん逸脱して、そのとっでもっぷりがとっても面白い。
味の王様「味皇」が「うーまーいーーぞーーー!!」と雄叫びをあげて行うリアクションの異常っぷりもダイナミックでたまらない。
一番初めに見たのは群馬の実家に帰っていた時。部屋で退屈にゴロゴロしていた時に放送されていた。その時は主人公の味吉洋一のことを女の子?と勘違いをしていました。お話は確か、ステーキ対決の石焼き芋を見てステーキ鉄板に工夫を凝らす場面。
全99話のはじめの方はコミカルに進むのだけど、味将軍との戦いくらいから「食とは?」「人が人に料理を届けることとは?」といった、生きること、他者を思いやる気持ちに焦点が絞られていって、ライバル堺一馬の辛い過去とそこからくる味皇への哀しい執着が辛い。阿部一郎との戦いの時に鬱状態に陥る場面も印象が深い。
最終話付近で、洋一が「おれ、こどもだったー!」と爽やかに走り抜ける場面は何度も心の中に響いている。大切な場面、大切な言葉に至るエキセントリックでユーモアたっぷりサービス精神と少年少女と大人にエンタメを届ける気概を感じる作品。凄まじく大好き。
と、ここまで書いて「はて?こんなに好きになったのはいつだろう?」と思い出す。
初めて見た群馬の時はこんなにのめり込まなかった。やはり、大人になって、あらためて振り返ってみた時に過去に観た時とは違う感動を得た時に、この作品への思い入れが深まったんだろう。自分を洋一と、その周りの彼を支える大人に投影していたと思う。
これから先にもこの作品と付き合っていくと、いよいよ不在の父親やウエッキーの時のお婆さんや記憶を失う味皇なんかに親近感が湧いてくるのかもしれない。その時もこの作品を楽しみ続けたいと思う。