誰かのハレの日に

そろそろ正午も回ろうという頃だけど、これは断じて昨日の分。


数か月前、友人とテニスをしていた時だったろうか。その頃、冬だったかな。常磐道を走らせて、友人宅にほど近いコートまで出向き、二人で練習していた。友人の住む千葉にはまだ緊急事態宣言が出ていたので、あまり褒められるべき行動ではないけれど。往路1時間ほどかけて、2時間だけ練習をしては、復路1時間かけて帰る。せっかく友人に会うのに、なんとも味気ない。時代が時代だから仕方がない。

真冬の冷たい空気だった。透き通った空気を通して、星が良く見えた。獅子の末端は冷え切ったままなのに、身体の芯だけが熱を帯びて汗をかく。どこか懐かしさを感じるような、冬の冷たい空気にどこまでも寂しさを感じるような、逆に暖かさを感じるような。好きな時間だった。

練習後に汗を引かせながら、少しだけ話をした。他愛もないことを話していた時だったか、友人はさらっと言った。

「あ、今度の結婚式、司会を任せたいと思ってるから」


その時は特に考え無しに安請け合いしたけれど、時間が経つにつれ、「これはとても重大な役回りなのでは?」という気がしてきた。

誰かの人生の、記憶の大事な場所の一つに自分が残るということに、喜び以上にプレッシャーを感じる。考え過ぎだろうか。参加していて司会が気にならない、その場の空気になることが出来れば、一番良いのかもしれないと思ったりする。そうすれば、きっと記憶に残ったりはしない。何か失敗をやらかしたら、うん、きっとずっと語り継がれたりするのだろうななどと思ったり。


誰かのハレの日に、自分が貢献できることはとても嬉しいなと思う。それでも自分は表に出る人間ではなくどちらかというと裏方なので、そちらで活躍させてもらった方が良かったかな!それでもやるしかないのだ、頑張れ自分。

ひとまず、友人の結婚式までは生き延びよう。

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