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素敵なお客様のお話

  今はもう潰れてしまって無いけれど、以前勤めていたカフェの常連に女優さんがいました。

私はその女優さんが昔出演していた「すいか」というドラマがとても好きでした。

演技もどこか飄々としていて、時にユーモラスで、でも誰もが持つ人間臭さを色濃く魅せる姿にはっとさせられる。
その女優(Kさん)はとても魅力的な方でした。

お客様から丸見えのオープンキッチンで調理を任せられたカフェで働きだして数日。
朝のワンちゃんのお散歩の帰りにKさんは立ち寄ってくれました。

愛想笑いや不機嫌さも無く、でも礼儀正しい、思い描いていたイメージのまま自然体のさっぱりとした方でした。

まだほぼお客様が来ていない静かなカフェ。

朝の日差しの中、ワンちゃんと緑を眺めながらテラスでのんびり休んでいるKさんの時間を邪魔しないように店員側も気を付けて過ごしていました。

そんな日々が続いたある日、私が出勤時に前方からKさんが歩いてくる姿が見えました。


「気付いて貰えないと思うけど挨拶はしよう」

徐々に近付いてくるKさんにドキドキしながら心の中で挨拶を繰り返していると、Kさんがこちらを見て少し微笑みながら「おはようございます」と会釈をしてくれました。

一瞬何が起こったのかわからない状態に陥りましたが、はっとして私も挨拶を返しました。

それからも何度も同じような事があり、多分Kさんが私を覚えてくれているんだと思い感動しました。

カフェを辞めてからもずっと変わらず大好きな女優さんです。

話はズレますが、どんな場所でも誰に対しても、いつも同じテンションでいる存在というのは接する側からすると安心感があります。

親しい間柄ではたまに気持ちが溢れてしまうこともありますが、いつも変わらず安定している⋯私もそんな存在でいたいと思い過ごして来ました。

家庭でも職場でも友達付き合いでも、周りが話し掛けやすい空気が作れている気がします。

考えすぎてしまう性格ではあるけど、根がポジティブなひょうきん長女なのでそこでも助けられてるのかもしれませんが。笑

自分らしさをずっと失わず自然体のKさんのコラムをたまたま最近目にして思うところをつらつらと書いてみました。

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