📓 母も寝ながらおやすみと言った
帰省した。
実家に着くなり着替えるために自室へ向かう。
黒い服に愛犬の毛をつけないためだが、毎度黒い服を着てくる私が悪い気もする。母が新しいパジャマを買ってあると言っていた。部屋に入ると水色のもこもこした部屋着が置いてあり、なんだか照れながら着替えリビングへ行くと、ベージュのもこもこを着た母が待っていた。「色違いだよ」とのこと。2人でもこもこ笑う。
夜になり、和室で兄と映画を観る。
私らが小さい頃はゲーム部屋みたいになっていたのだけれど、今は和室で韓国映画をワインを飲みながら見ている。ちょっと多国籍かもしれない。兄がおつまみ(クラッカーにクリームチーズと甘納豆を乗せたもの、大変美味しい)を作ってくれた。こういう時にちょっと手間をかけてくれる人間性におののきながら遠慮なく完食する。いつまでも遠慮なく妹だ。感謝と美味しさだけがある。
映画はイ・チャンドンの『バーニング』だったのだけど、如何様にも解釈できる話だったのであれやこれやと雑談した。韓国は日本よりもビニールハウスが多いのだという話を聞き、東京よりも寒いからだろうかという雑な感想を述べ、原作である村上春樹の『納屋を焼く』を読むぞと宣言した。
24時に解散、おやすみと言ってそれぞれの部屋へ散る。
母も寝ながらおやすみと言った。