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『在庫管理の魔術』出版記念連載

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エリヤフ・ゴールドラット著『「ザ・ゴール」シリーズ 在庫管理の魔術』(ダイヤモンド社)の出版を記念し、「在庫管理」をテーマにした連載を行っています。
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苦戦する総合スーパー(GMS):「2階以上が儲からない」問題をどうすれば解決できる?(在庫マネジメントの革新に復活の鍵)

こんにちは。ウィンドウショッピング好きの若林です。 ここ数年、総合スーパー(GMS)の苦戦が色々なメディアで伝えられています。 直近ではイトーヨーカドーの親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)が、4月10日の2024年2月期の決算で、不振のイトーヨーカドーなどのリストラ費用などによる特別損失を2459億円計上し、スーパー事業の株式を2026年以降に、一部売却する検討に入ると発表しています。 同社は、これまでにもイトーヨーカドーについて正社員8600人を半分にし

金融業も知識サービス業もものづくり在庫管理の知識は、会社にも顧客にも、驚きのインパクトをもたらす【『在庫管理の魔術』出版記念連載】

この投稿は、金融機関の方々、士業の方々に向けたものです。まずは、金融機関、とりわけ銀行、信金・信組、郵便局の方々と、認識を合わせたいと思います。 もちろん、金融機関は物理的なモノをつくりませんし、したがって商品在庫を所有したり管理したりしません。ですが、金融機関において、少なくとも以下の4つは、在庫という視点でとらえるべきものです。    ①      現金:窓口での支払いや入金などに必要な現金は、まさしく金融機関の在庫です。    ②      有価証券:顧客からの預か

【どうすれば儲かる?】江戸の天才商人が教える〜戦略やマーケティングより大事な「在庫管理の魔術」とは?

冷蔵庫の在庫管理に苦労している若林です。 いまも昔も、小売ビジネスで儲ける極意は「在庫」の扱い方にあるといわれています。  アマゾンでもスペイン発祥のZARAでも、その強さの根源にあるのは、実はマーケティングや戦略といった派手な要素以上に在庫管理の巧みさにあるのですが、そこに気づいているのはまだ一部の方のみ。 「戦争の素人は戦略を語り、プロは兵站(へいたん=ロジスティクス)を語る」  という軍事学の格言がありますが、まさに在庫をどのように流通させるかが、勝敗を決めるので

在庫管理力アップでROE革命【『在庫管理の魔術』連載】

地味に思われている在庫管理という仕事ですが、実はビジネスのおける稼ぐ力を示す「営業利益」の改善・向上に大きく貢献します。在庫管理能力に優れた会社では、こんな好循環が形成されています。では、在庫回転率を起点に考えてみましょう。  在庫管理能力が高いということは、商品の「売れ逃し」が少ないことにほかなりません。言い換えれば「欠品リスク」が低い。欠品は販売機会の損失につながり、売上げの減少を招きます。  欠品リスクの低減は在庫回転率の向上につながります。在庫回転率が高くなれば、

「在庫」って何だろう~在庫を知らずして経営は語れない~【『在庫管理の魔術』連載】

 ネットでも入門書でも、在庫は「店頭や倉庫などに置いてある完成品(=商品)、現材料、(完成品の手前の)半製品や仕掛かり品」と説明されています。ちなみに、細かくいえば未使用の消耗品も含まれます。    ふだん意識されることは稀でしょうが、誰にとっても「在庫は身近な存在」です。たとえば、トイレットペーパーの買い置きとか、災害時用のカップラーメンや飲料水なども在庫の一種です。また、学園祭で食べ物屋さんをやったことのある人ならば、「もうすぐケーキがなくなるよ」とか「ナプキン、足りない