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AIと大学教育
前回は、AIを研究に活用する際の注意点についてお話ししました。今回は、教育にAIを強力に活用する際の注意点について述べたいと思います。
参考にした論文は、以下のURLに記載されています。
最近のニュースを見ると、ChatGPTなどのLLMの進歩が早く、教育現場でもこのようなAIツールがどんどん活用されていくことが予想されます。
また、デジタルネィティブと言われる今の大学生たちは、AIの活用には関心が高く、すでにプライベートではどんどん活用していると予想されます。
大学側でも早急に、AIを有効に活用するためのガイドラインを作成し、有効かつ倫理的な活用を推進する必要があると本論文では述べています。
本日のメッセージ
これからは大学教育にAIの導入が進む。大学は倫理を遵守した上で積極的に活用するためのガイドラインを早急に作ることが必要
世界的に見て、AIの発展やその活用に対する評価には賛否両論があります。
教育においては、一部の人々は、学生がChatGPTなどのAIツールに大学のアサインメント(レポート課題など)を代行させることを懸念しています。
世界的に、この不正行為を検知するためのソフトウェアなども開発されているようです。
なぜ、ChatGPTに代行させると問題なのか。
私見ですが、これは、もちろんChatGPTを使うことで他人の論文を剽窃や盗用するといった問題もあります。
しかしそれ以上に深刻なもんだは、学生が課題に対して必要な情報を自分で収集し、それを分析し、そして、自分の課題の解決に適応する、つまり問題解決能力を身につける、という大学教育で達成すべきことを、学生が回避して達成しまう可能性があるからだと思います。
AIの発達により、社会も変わるからそんな能力ももう不要なんじゃないかという考えもあるかもしれません。
確かに、変化していく社会へ適応するためには、今までとは異なった能力が必要であります。
つまり、今まで同じ教育内容だと時代遅れというだけでなく、社会でサバイバルできない可能性が出てきます。
しかし、一方でAIは完璧ではありません。間違いももちろんありますし、また、倫理的な判断ができない可能性もあります。
つまり、私たちがAIに振り回されることなく、うまく協調するためには、人間はAIが行っていることの成否を分析し、それが人々の生活や社会にとってどういう影響を及ぼすのかを適切に判断する能力が必要です。
人間がAIと共存するためには、クリティカルな考え方や問題解決の能力がより一層重要になるということです。
つまり、AIと共存するために大学はどのような準備をした方がいいのか。
この論文から得られた示唆をもとに私見をお話しします。
1.AIの機能と活用方法ついて継続的に学ぶ機会の保障
論文では、教師、学生、そして大学組織全体が、AIの利用方法を正しく理解するための機会を保障する事が大切だと述べています。
学生にはカリキュラムの中に位置付け、教職員には研修体制を整え、全ての学生と教職員がAIツールの仕組み、機能、そして活用におけるメリットやデメリットを理解し、同じ内容を共有することです。
発展のスピードは速いので、継続的に研修内容や講義内容をアップデートし継続的な教育、研修体制にしておくことです。
2.知識伝達型の教育はもういい加減にやめる
AIの導入によって教育内容と教授方法は変化していくことが必要です。
例えば、AIを使って簡単に遂行できるような課題を学生に求めてはダメだと言うことになります。
これでは学生の学習に対するモチベーションを維持することは難しいということです。
伝統的な知識伝達型の教育はその典型です。AIが知識を提供するため、知識伝達型の講義はとても退屈なものになってしまいます。
モチベーションが低下した学生は、その課題の推敲に意義を見出せずにChatGPTを使って簡単にアサイメントを済ませようとするかもしれません。
昨今はアクティブラーニングの手法を大学でも取り入れるようになってきました。
もっと、学生が講義に主体的に参加できるような、例えば、学習した知識を自分の実体験に結びつけて、さらにそれを昇華して抽象化するというような工程を組み込んだ教授法を確立していくことが必要です。
3.AIを避けるのではなく効果的な共存を考える
得てして、私たちはAI活用による教育上のデメリットだけを考えそうです。例えば、AIツールを使った学生の不成行為を防ぐこと考えるなどです。
多くの教員はそれに精力を注いでしまうかもしれません。
一方で、AIはあらゆるところに導入され、そして私たちの生活ではきっとなくてはならないものになります。
例えばMicrosoftがWordにChatGPTのようなLLMを組み込んできます。そうなると、ではWordを使うことを禁止するのかということです。
これはきっと無理だと思います。
また、ChatGPTを使った論文を検出するようなソフトを開発したところで、それをすり抜けるプログラムをすぐに作って対抗することも大いに考えられます。
ですから、AIのデメリットだけを避けようとするのではなく、どうやったらAIを活用して、効果的かつ倫理的にも問題のない成果を出せるのかを考えることにエネルギーを使った方がいいと思います。
4.AIの導入で教員が疲弊しないようにする
AIの大学教育への導入により懸念されるのは、AIの導入のために、教員の労働時間がふえ疲弊してしまうことです。
大学教員は年齢が高い集団ですので、20代のデジタルネィティブと言われる世代と比べると、AIに対する理解も活用にも時間がかかります。
導入において、教員をサポートする体制を大学できちんと整備することが大事だと思います。
AI導入とその成果を教員の自己責任にしてしまうと、教員間でも格差が出てしまいます。
このことにより影響を受けるのは、何よりも学生たちです。
AIを使って作業を効率化できるはずなのに、逆にAI導入により、作業工程が増えて、学生と関わる時間が減り、そしてそのために学生の学習支援がおろそかになる可能性があるからです。
特に、AIにより学生が不正行為をすることを取り締まるあまりに、それに時間をかけて、教員の負担が増えることは避けなければなりません。
それでなくても、大学教員は多くのタスクに追われて疲弊していますので。
ということです。参考になれば幸いです。
ではではそ