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「老後2000万円問題」が忘れていること
ちょっと前に「老後資金には2000万円必要」とメディアで流れ、国民が不安に煽られたような時期がありました。
今日は、この発言の背後にある考えと、この不安を解決する考え方についてお話ししたいと思います。
本日のメッセージ
「老後はお互いに助け合う社会を作ることで、乗り越えて行こうよ」
と言うことです。
老後2000万円問題とは
これは、定年後年金だけでは生活ができないので、老後資金として年金以外に2000万円貯めておかないといけないよ、と言うことが、金融庁の報告書に書いてあったと言うことを、マスコミが取り上げたものだったと思います。
これで、慌てた人もたくさんいたと思います。
ただ、これは夫婦二人の生活資金として計算したものです。平均的な夫婦の支出を約26万とし、平均的な夫婦二人の年金額が約21万円とすると、約5.5万の赤字になるそうです。
これが90歳まで続いた場合に、5.5万X12カ月X30年と計算すると、2000万円になると言うことです。
これで、皆「ああどうしよう、足らない」とか、「ああ自分は大丈夫」とか、いろいろな思いが頭を駆け巡ったことと思います。
「老後資金2000万円」の背景にある考え方
政府からこのような報告があったら、私たち日本国民はすぐに信じてしまいます。
でも、この考え方には政府の切迫した思いが前提として見え隠れしているように思います。
それは、シンプルに「国民は、国の世話にならなくていいように、自分でお金を貯めてくださいね」「もう国のお金はそこをついているのです」と言うことです。
何しろ、日本の社会保障費で国のGDPの200%を超えています。国民に借金をして国の社会福祉が成り立っているので、当然と言えば当然ではあります。
だから、私たち国民も、「ああ大変だ」「世話にならないようにしなくちゃ」とどこかで思っていますよね。
つまり、政府は老後「自己責任論」打ち上げて、そしてそれを私たち国民も、それに同意して、個人で努力を積み重ねるわけです。
お金は天下の回りもの
でも、努力することでなんとかなる人がいる一方で、努力してもなんともならない人もでてきます。
今に限ったことではなく、資本主義の社会ですから、競争に勝つ人もいれば、負ける人もいるのです。
では、負けた人は老後資金が不足しているので、国のお荷物として小さくなって生きていくのでしょうか。
負けそうな人は、不安に苛まれながら老後を迎えるのでしょうか。
ちょっと昔、昭和の時代はそれほど個人の責任を追及されなかったように思います。
もちろん、今のように高齢者の割合が大きくはなかったですし、老人医療費が無料になるくらいの時期もあり、高齢者は比較的尊重されてもいました
でも、それだけでなく、今のよりも三世代同居が多く、血縁・地縁が残っていて、お互いに困ったら助け合っていたのだと思います。
老後にお金が不足することがあっても、家族、親戚、はたまた地域のご近所さん同士、助け合っていたので不安は今よりも小さかったと思います。
「個人責任論」を打ち上げなくても、国は家族や地域のつながりを利用して、社会保障費を抑えることができていたのですね。
確かに、そのために家族が犠牲を強いられた歴史があり、なるべく家族に負担をかけないようにと言うことは大切であるとは思います。
でも、家族でなくても、地域でお互いに助け合うことはできるのではないでしょうか。
私が保健師として働き始めた1980年に、ある老人を訪問したときに、お金を何十万も盗まれた方がいました。
心配して、どうされるのか尋ねた時に、そのご老人が言われたのが、「まあ、いいですよ。金は天下の回りものですから。その人(誰かわからないが盗んだ人)がそれで助かればいいわけで」とあっさりと言われました。
その時、私はまだ大学でたばかりで社会の仕組みもよくわかっていませんでしたが、そのご老人の考え方がとても理にかなっているように思いました。
地域のつながりがある時代には、お金に対する考え方も「個人主義的」ではなかったと思います。
老後は自助ばかりでなく、互助も使おう
老後の資金が2000万円に満たない人もいると思いますが、逆に十分に満ち足りている人もいます。
ここで、私は思うのです。
持っている人から、持っていない人へお金が循環していけばいいのではないかと。
自分で稼いだお金には違いないのですが、でも、それは多くの人の支援や助けがあってこそ、稼ぐこと、貯めることができたものと考えることができないでしょうか。
であれば、ここは、お互いに助け合う仕組みを地域で作っていければいいと思うのです。
具体的な案はまだ考えていませんが、多分ボランティアではなく、ビジネスとして、何かお金が流れる仕組みを考えられたらいいなと思います。
今、都市化が進み、家族の助けを当てにすることは難しいと思います。
かといって、日本が北欧のように税金を徴収し、そこから再配分する制度へ急激にシフトすることも非現実的です。
であれば、地域に住む人々がお互いに助け合うネットワークを作り、お金が豊富にある高齢者から、お金が不足している高齢者へ、お金が流れる仕組みを作っていくことができればいいなと思います。
結果、お金が豊富にある人にもメリットがリターンされるような仕組み。
地域の中で、自然と再配分ができるような仕組みを作ると言うことです。
そうすることで、今問題になっている介護の問題や、孤独死の問題の解決にも繋がるように思います。
人は一人では生きられないのです。
皆で助け合って、楽しく老後を過ごしたいです。このためには、仕組みを作るべきではないかと思うのです。
ではでは