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転職するつもりのない人も知っておいてほしい!エンジニアのための人材業界基礎知識3

こんにちは。きんちゃんです。
エンジニアの皆さん、キャリアの設計してますか?
私はエンジニアの皆さんのキャリア支援活動をしています。
今回は、エンジニアの皆さんに知っておいてほしい転職業界の基礎知識3について解説します。

私の自己紹介です。プロフィールや強み、提供できることについて語っています。こちらもぜひご覧ください!

前回は、転職サイト(求人広告サイト=転職サービス=求人媒体)について解説しました。前回のエントリはこちら。

今回は転職エージェント(人材紹介サービス)について解説していきます。

転職エージェントとは

転職エージェントは、人材紹介と呼ばれたり、職業紹介と呼ばれたりします。基本、どれも同じ意味と思って差し支えありませんが、求職者側に立つと「転職エージェント」ですし、業界全体をさす場合や採用したい企業側に立つと「人材紹介、職業紹介」と言うことが多いです。
本エントリでは、その基準で用語を使い分けています。
ちなみにエージェントとは、代理人、仲介業者という意味です。
つまり、転職エージェントは、転職したい求職者と採用したい企業を仲介する業者、代理人と言えます。

今回お話すること

転職エージェントが誕生した歴史的背景、サービスの特徴、求職者にとってのメリット・デメリット、どんな方がフィットするのかなどお話していきます。

転職エージェントが誕生した歴史的背景

いわゆる人材紹介というビジネスは、江戸時代には存在していたと言われています。口入れ屋と呼ばれる人材斡旋業者が、人と仕事の仲介をしていました。当然、法規制もないので、劣悪な労働条件や暴利を貪る業者が問題視されました。明治時代になり、産業化が進む中で労働力が不足し、ここでも強制労働や差別が問題になりました。1947年に職業安定法が制定され、人材紹介業に厳しい規制が課されるようになります。この職業安定法を受けて、「職業安定所」を国が統括することになります。職業安定所は1990年にハローワークの愛称が制定され、一般的にはそちらが浸透していますね。

規制があることに加え、日本においては終身雇用が一般的で人材の流動が少なかったため、人材紹介はビジネスになりにくい状況でした。
1962年にホワイトカラー領域で日本初となる人材紹介会社として、株式会社ケンブリッジ・リサーチ研究所が創業されました。1977年には、リクルート系列の株式会社人材情報センターが発足しています。(のちにリクルート人材情報センター→リクルートエイブリック→リクルートエージェント→リクルートキャリアと社名変更して現在に至る)
そんな人材紹介業界は、1997年に職業安定法の改正でホワイトカラー職種の取り扱いが解禁、1999年の改正職業安定法の施行により民間の有料職業紹介事業が原則自由化され、一気に市場が拡大します。
DODAを運営するパーソルキャリア株式会社は、1997年に人材紹介サービスをスタートしています。(当時は株式会社インテリジェンス)

今では当たり前のようにそこにある転職エージェントも、1990年代の後半まではほぼ存在していなかったなんて驚きですね。

転職エージェントの主要プレーヤー

総合型
リクルートエージェント、DODA、JACリクルートメントなど

特化型
レバテックキャリア(IT、Web系)、Geekly(IT、Web、ゲーム系)、メイテックネクスト(モノづくり、メーカー系)、マイナビメーカーAGENT(モノづくり、メーカー系)
など

転職エージェントのビジネスモデルと特徴

下記の図は人材紹介とありますが、転職エージェントと読み替えてご覧ください。
・まず求職者が人材紹介会社に登録する
・企業が人材紹介会社に人材紹介を依頼する
・人材紹介会社が双方のニーズにフィットするマッチングを行う
・求職者を企業に紹介し、選考・内定・入社を経て、成功報酬を受け取る

引用 https://navi.funda.jp/article/bizreach

人材紹介は求人広告と比べ、初期費用が少なくて済み、中小企業も参入しやすいビジネスです。また、成功報酬型が一般的であるため、中小企業であっても、その企業にフィットする人材を獲得できれば大手企業に勝てるチャンス(=狙った企業から成功報酬を得られる)があります。
前回ご紹介した求人広告(=転職サイト)のビジネスモデルだと、どの転職サイトに求人を載せるかという問題は、どうしても転職サイトの規模や知名度に影響されるので、中小企業には不利となります。
結果として、求人広告よりも人材紹介の方が中小企業が乱立しています。

転職エージェント(=人材紹介)は、企業目線でいえば以下のメリット・デメリットがあります。
【メリット】
・成功報酬型であり、費用を支払ったが採用できないという掛け捨てリスクがない
・採用活動そのものをアウトソーシングでき、自社の負荷が少ない
・エンジニアなど専門的な職種でも、その道のプロにアドバイスをもらえる
・応募者の辞退理由や他社と自社の採用活動の比較など、人材紹介会社を通じて情報収集できる

【デメリット】
・一人あたりの採用費用が他の手段と比べて高額
・自社に採用ノウハウが蓄積されない
・大量採用には向かない
・売り手市場だと、そもそも採用がしづらい

転職エージェントの求職者にとってのメリット、デメリットは?

では求職者にとってのメリット、デメリットを整理してみましょう。
【メリット】
・いろいろな企業・業界についての情報収集ができる
人材の採用は経済活動の重要な指標です。転職エージェントは様々な業界・企業の採用担当者とコミュニケーションを取って情報収集をしています。
エンジニアであれば気になるであろう自分のいる業界動向、大都市圏から離れた地域だと切実な問題である「自分の通勤圏内でいける企業がどの程度あるのか」などを知ることができます。
・職務経歴書の添削や面接対策を受けられる
転職活動というものは、数をこなせば見えてくるセオリーのようなものがありますが、転職活動に慣れている人などそうそういません。職務経歴書や面接は、自分に自信がある人でも他者に見てもらうことで意外な気づきが得られるものです。
・年収や入社日などの条件交渉を任せられる
いわゆる交渉事の世界は、その道のプロに任せるに越したことはありません。通常の業務に加えて負荷もかかるので助かるところです。

【デメリット】
・担当者によって当たり外れが大きい
どうしても属人的になってしまうのが転職エージェントの怖さです。
人としての相性だけでなく、エンジニアであれば、自分の職務経歴書に書かれている内容を行間を含めて十二分に理解できる担当者か、という点は非常に重要です。人材紹介会社は、業界別や職種別で分業していることが多いようですので、それとなく担当領域や担当年数を聞いてみるのもよいかもしれません。エンジニア出身の担当者もいますが、エンジニアといっても職種は様々ですので、例えばメカ系エンジニア出身だからといってエレキ系の技術や知識に詳しいというわけでは必ずしもありません。したがって、エンジニア出身という言葉に惑わされず、しっかり担当者を見極める必要があります。ちなみに担当者を変更したい場合は、直接言いづらい話ですので人材紹介会社に申し出てみましょう。対応してくれるはずです。
・短期決戦を望まない人には急かされているように感じる
転職エージェントは、求職者が企業に入社して初めて売上が立つ商売です。求職者と何度面談しても、求職者が何度応募しても面接しても、それだけでは売上ゼロです。転職エージェント側としては、1分1秒でも早く求職者に入社してもらいクローズさせたいわけです。リクルートエージェントではサポート期間は基本3ヶ月とするなど、各社ともに短期決戦で転職活動を行うように仕向けています。転職する気満々な人は3ヶ月でよいかもしれませんが、じっくり考えたい、という人には3ヶ月は足りないと私は思います。
そういう方にしてみると、転職エージェントの対応はなんだか急かされている・焦らされているように感じる可能性が高いです。
・自分がターゲット外だと案件が少ない
転職エージェントにはそれぞれ得意領域があります。
最もわかりやすいのは地域です。大手の転職エージェントは全国展開をしているものの、どうしても地方の求人が少ないことがあります。それぞれの地域ごとに強い転職エージェントが存在していますのでそちらも有効活用しましょう。

転職エージェント向いているのはこんな人

メリット、デメリットを踏まえて、転職エージェントが向いているのは次のような人です。
・転職する覚悟を固めている人
・短期決戦で転職活動を終わらせたい人
・転職エージェントの言いなりにならないで自分の意見を言える人

【おまけ】両面型と片面型

人材紹介業界には「両面型」と「片面型」という言葉があります。求職者側の担当と企業側の担当を1人が兼任する場合は両面型。それぞれ別の担当者がいる場合は片面型と言います。
片面型の方が効率よく案件を捌けるので、大手は片面型が多い印象です。
両面型であれば、求職者が対峙する担当者がその企業を担当しているので、案件の詳細を把握しており、企業に対してもその求職者の魅力を訴求できます。その分、案件の絶対量は片面型に比べ少なくなります。
片面型の場合は、求職者側の担当と企業側の担当の情報共有が欠かせませんが、これは正直、相当密にやっていないと難しいです。
私は人材派遣会社で両面型でやっているのでわかりますが、人材系は、その人のパーソナリティや個人的な思い、感情といったアナログなものが提供価値にもなるわけで。それを的確に引き継いで担当者と同様に再現するには相当大変なはずです。
求職者としては、自分の使う転職エージェントが両面型か片面型かを把握しておくこと。片面型であれば、目の前の担当者が、しっかりと自分の思いを企業側の担当に引き継いでくれるよう接することが大切かと思います。

次回はスカウトについて説明します。

【参考文献】
本エントリではこちらを参考にさせていただきました!
人材業界を俯瞰して解説している良書だと感じました。

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