阪神JF雑感【出走全頭紹介】
皆様こんにちは。
タイガーマスクGです。
今回は、今週末に行われる阪神ジュベナイルフィリーズの出走予定馬全頭の印象や見解を雑感のような形で書き綴って参りたいと思います。
あくまでも現時点での印象や見解になりますので、レース直前や当日、レース後に考えが変わる事もございます。ご容赦くださいませ🙇♂️
アスコリピチェーノ
新馬戦は後方から突き抜けて完勝、前走の新潟2歳Sでは長くいい脚を使って差し切り勝ちと、パフォーマンスだけなら今回のメンバーでも最上位と言ってよいレベル。
今回は初の右回りになるが、2戦とも直線では左手前を多用しており(本来、左回りの直線は右手前がセオリー)、右回りに変わるのは好都合という個人的な見立て。実際、右回りの追い切りでもコーナー出口でスムーズに手前替えができており問題なし。
懸念材料としては、ストライドを伸ばし切れていない走り方なのが若干気がかりで、どこか“ひと癖”ありそうな雰囲気は感じる。
カルチャーデイ
小柄な牝馬らしい前向きな気性面を隠している印象だが、ここまでの2戦でまはだその素振りを見せていない。良く言えば走りに前向きさがあり、坂路での追い切りでは前を追いかけようとする走りで「力強いのでは」と錯覚してしまう脚さばきに繋がっている。
1400mに距離を延ばした前走のファンタジーSは、逃げ馬が飛ばして縦長の隊列になり先行馬がそのまま流れ込むという特殊な展開。1200m寄りのスピードを活かしやすい競馬だったのは事実で、この馬自身もラストは失速気味。前走内容を考えると阪神外回り1600mという舞台替わりはマイナスか。
走法自体は「スプリント一辺倒」といった印象は一切なく、気性的に問題ない所まで行けばいずれマイルはこなせる。
キャットファイト
まだ動きや走り全体に身が入っていない印象だが、この時期の2歳牝馬なので仕方なし。すでに2勝を挙げているものの大物感はあまり感じられない。
それでもフットワークは悪くなく、むしろこのメンバーに入れば良い部類。成長とともに身が入ってくればフットワークとの連動性が出てレベルアップしていくだろうというのが個人的な算段。
クイックバイオ
個人的にまだ馬の特徴を掴み切れていないというのが正直なところ。
気性が幼いのは見ての通りで、加えてストライドも伸びておらず「まだ本気で走っていないんじゃないか?」という印象を抱いている。ただ、走りの体幹やバランスはとても良く、馬体も上質。
前走はスタートと展開がすべて。むしろ7着まで来た事を評価したい。かといって、ここでいきなりぶっこ抜いてしまうほど気性が改善されているわけでもなく、現状の評価に悩む一頭。「成長を見届けたい存在」という曖昧な表現でお許しを(笑)
コスモディナー
OP特別を勝ってキャリア2勝を挙げているが、追い切りやレースなどを見ても首の使い方がぎこちなく、個人的には走りそのものに対してあまり評価できていない一頭。
3戦の内容を振り返ると、新馬戦は内が荒れた馬場を上手く立ち回って勝利、コスモス賞はまだ良好な状態を保つ洋芝の馬場で勝ち馬に離された2着、クローバー賞は札幌記念当日の荒れた馬場で外めを回って勝利。いずれも評価が難しい。
この中間、陣営がやけに馬体減りを気にしている様子だが我々ファンはまだどれ程のものか分からないため、当日はしっかり見ておきたい。
コラソンビート
中間の追い切りで初めて右回りの走りを見させてもらったが、率直な感想としては「理想は左回り」。ただし、これは“理想”というだけで右回りがまったくダメというわけではない。手前変換において左回りの方がスムーズだなという印象で、ましてや今回のようなワンターンならば大きなマイナスにはならないだろうと見ている。
身のこなしはとても優秀で素質を感じる一方、身体の使い方や時計の出し方等を見ているとやや短距離志向が強いのかなという印象も。現状はマイルまでOK。
サフィラ
姉にサラキア、兄にサリオスといった活躍馬がいるが、一族の中で「最も正統派」というのが第一印象。まずスタートセンスが抜群で、姉のサラキアはゲートの音に驚いて出遅れる事がしばしばあったが、この馬は現状出遅れる雰囲気が一切ない。その分、切れ味などはあまり突出しておらず、能力としてはバランス型という表現が適切か。
トモが薄く、まだまだ後肢全体が強くないため、2戦目に阪神コースで勝利しているものの急坂コースがベストとは言い難い。ただし、姿形はやはり上質で兄姉同様に成長を待ちたい一頭。
シカゴスティング
この馬もすでに2勝を挙げているが、追い切り等を見てもトモが流れているのが明らかで力強さに欠ける印象。ゲートの出はかなり速く、加えて前走は1400mで控える競馬をさせた事が何よりの好印象。「能力」という点だけにフォーカスするとG1レベルには及ばないというのが正直な感想だが、長所が明らかなだけにクラスや舞台が適していれば十分活躍できる馬。
スウィープフィート
やや独特な走法で掴みどころの難しい馬だが、能力的にはそれなりのレベルにある印象。独特とは言ってもセオリーから大きく外れているわけではなく、しっかり走る上での推進力になっている。気性的にも幼さを残しているが現状ちゃんと結果が出ているため、むしろ良い意味でネジが外れた時の方がパフォーマンスが上がるかもしれない。
1200mデビューではあるものの条件的にはマイル以上でも全く問題ない。ただし前述の気性面を考えると距離を延ばしづらいのも事実か。
ステレンボッシュ
国枝厩舎らしい“脚を高く上げる体幹のしっかりしたフォーム”の持ち主だが、個人的には前走の追い切りでようやくその良さを感じた。それまでは手先だけで走っているような印象で、好走し続けていたのも疑問の方が強かったのが正直なところだった。
それからの今回ということになるわけだが、ルメール騎手を乗せた追い切りを見た率直な感想は「あまり変わらない」という印象。これはあくまで自分の感覚的な部分なのだが「ルメール騎手を乗せると馬のフォームが変わる」という持論があり(根拠はないので参考にしないで下さい笑)、もう少し良くなってほしかったなというのが本音。個人的には前走時の方が興味をそそられた。
スプリングノヴァ
前走のサフラン賞でステレンボッシュを負かしたわけだが、この馬もまた手先だけで走っている印象を受ける一頭。前出のステレンボッシュとは違い、現時点でもそれが変わっていないという点は少々気になっている。400kgに満たない小柄な馬体だから仕方ない部分もあるが、もう少し身体全体を使って走ってくれるといいなという印象。
テリオスルル
馬の形は悪くなく、むしろ良い部類。サフラン賞の追い切りでは前出のステレンボッシュよりも良いと感じていたほど。それだけに、新馬戦や前走の東スポ杯2歳Sで逃げる競馬をさせてしまった内容には「勿体無い」という気持ちがある。
ただ、この馬の特徴上、仕方ないなという気持ちもあり、というのも恐らく今後は短距離路線にシフトしていくのではないかという印象を持っており、1800mでは相対的に逃げる競馬になってしまうのだろうという見立て。
今回は厳しいかもしれないが、大舞台での経験値を積んでいずれは短距離で見てみたい。
ドナベティ
脚を高く上げ、首が若干横に向いている独特のフォーム。この馬の良い部分としては素軽さとスピード能力が挙げられ、課題としては非力さと前向き過ぎる気性が挙げられる。
普通ならばこの手のタイプはスピードを生かして逃げる競馬をしがちなイメージだが、これまでのキャリア4戦はいずれも控える競馬をしており個人的には好感。見た目的にベストは恐らく1200mだろう。
ナナオ
小柄な馬体だがフットワークは一切こじんまりとしておらず、重賞2着・OP特別勝利といったこれまでの成績にも概ね納得がいく。特に前走のもみじSは見た目にも成長している姿が見て取れ、この時期の同世代馬の中では完成度という意味でも一歩リード。
しかしながら、今回の舞台(阪神外回り1600m)を見据えるとなると前走の内容はあまり評価できず。スプリント一辺倒というタイプではないが、今回は逃げるにせよ控えるにせよ、急坂コースの1600mでどこまで踏ん張れるかがカギ。
ニュージェネラル
現状の印象としてはまだ掴み切れていないというのが正直なところ。
1戦1勝、ましてや極悪馬場の1400mでデビュー戦を勝利しているから当たり前と言われればそうなのかもしれないが、そのレース内容も内を立ち回っていたら4コーナーでポッカリ前が開いたという評価が難しいもの。
走法などは悪くないが特筆すべき部分もなく、激走しても驚けないし惨敗しても驚けない。「左回り1400m不良馬場→右回り1600m良馬場想定」という大幅な条件替わりをどう捉えるか。
プシプシーナ
小柄な馬体からは想像しづらい脚さばきの力強さが特徴的で、スタートセンス・レースセンスともに抜群。前走は逃げの競馬になったものの、控えても特に問題ないだろうというのが現時点での印象。
ただし、小柄なエピファネイア産駒の牝馬という点も含め、今後もしかすると気性的な危うさが出てくる恐れもあるため、あまり逃げの戦法を多用し過ぎないでほしいという気持ちもある。
ミライテーラー
かなり小足の利いたピッチ走法で、キャリア2戦がダートの短距離戦であったのも頷ける。これ以上距離が延びるとさすがに厳しい印象も、ギリギリまで溜める競馬ができれば何とかこなせるかもしれない。
本来、ピッチ走法の場合は使える脚が限られているため、前走のような東京コースの長い直線で粘り込む競馬だと持ち味が出ないものだが、それで3着に入ったのは着順としては評価できる。ただし、3着争いをしていた他の馬が止まっていたのも事実で、内容としての評価は如何程に。
ルシフェル
走法を見るとベストは中距離。道中の追走や遊び方などを見ていてもマイルに距離が短くなることで追走が苦しくなる恐れが大いにある。
ただ、個人的にはあえてここを使ってきたことに好感を持っており、一番の理由として牝馬の上級条件ではマイルをこなせる能力が求められるため。実際、牝馬クラシック戦線は「阪神マイルで強い馬を決める戦い」が行われているのが本質としてある。
中間はマイルを走れる仕様になっている印象で、ここは厩舎の調整力と馬自身の適応能力が高い証。この馬の適性としてはズレがあるものの、今後大成する資質を持っているだけに今回の挑戦がいい経験になるのは間違いない。