国際基準で英語/日本語の目標設定
どんな言語であっても、第二言語を習得する目的は「コミュニケーション」です。その言語を使って、「誰と」「どんな」コミュニケーションが出来たら目標達成ですか?英語において「英検」や「TOEIC」でその評価はできません。そこで便利な評価方法がCEFRという枠組みです。
日本でも国際基準CEFR意識が高まる
日本の英語教育は文部科学省の「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を基に2018年からじわじわと小学校から以降の高校生までの一貫した英語教育に向けて具体化・本格始動しています。
<参照>文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」
<参照>新学習指導要領
そこで日本は近い将来英語の能力「読む」「書く」「聞く」「話す」4技能すべてを学習・評価する方針に進めています。
そこで日本は4技能を測る評価基準を、ヨーロッパで主流の国際基準である
CEFR(Common European Framework of Reference)を採用することにしたようです(もともと試験などの基準では使用していますが)。高校までにA2~B1(英検2級程度)に相当する英語力を目標とするようですが…
戦後から変わらぬ文型重視の日本の英語教育の
「世界に通用しない英語」への対応がやっと始動し始めたのです。
島国である日本がゆえに立ち遅れた「グローバルな英語」
教科書で学ぶ「机上」の英語は、この10-15年ほどで発達した世界のICTや訪日外国人の対応などの波に乗り切れず、対応を求められています。
でも外国語(ここでは英語にします)の対応って国がするものですか?
人の対応は人がするしか円滑に進みません、ましてや言語の違う相手に。
英会話(コミュニケーション重視)学習を今までのように個人の努力レベルにしていたら、日本は変わらないどころか衰退していくでしょう。
そこで、国は日本人の英語教育をCEFR基準へシフトしたのです。
ほわっつCEFR(セファール)?
陸続きの国は、常に言語の壁と真剣に向き合っていた
島国である日本と異なり、ヨーロッパはフランス語やドイツ語などの複数の言語に各国が対応していく上で、欧州評議会では言語の教育やガイドラインを統一するための枠組みに取り組んできた歴史があります。議論を重ね、発展させてきた言語の評価枠組みの最終形態がCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠組み)なのです。
簡単に言うと、各個人の言語能力でどんなコミュニケーションを受容・産出できるのか、を評価できる枠組みです。
英語でCEFRを評価基準にした試験はケンブリッジ英検が有名ですが、受けていない人がA1~C2までの英語能力を評価する場合は、それに準じて目安となる他試験のレベルと比べることができます。(表紙画像参照)
会話の中で、自分の言語レベルを話すなら
「日本語はC1レベルたけど英語はB1レベル」というように点数評価ではなく、相手に大まかにイメージ付を持ってもらうツールとして使えます。
子どもの英語教育の目標
CEFRはA1/A2/B1/B2/C1/C2の6段評価ですが、目安として使う場合、幼児の認知機能から考えても、天才的な子どもでない限り、年相応なレベルはA1(相手への一方的な要求)-A2(相手がいる簡単なやりとり)だと思います。
ケンブリッジ英検は年齢制限は無いとのことですので、将来的に受験を目標にするスクールは増えるかもしれませんね。
(ケンブリッジ国際児童英検(YLE))
今(これから)幼児の英語教育をするうえで家庭でコミュニケーション重視の英会話を検討している方は、見せるTV番組や教材のレベルとCEFRの評価を照らし合わせて、選ぶのも良いかもしれません。
日本でCEFR A1~A2あると便利な理由
この数年で訪日外国人の増加は著しく、観光産業も日本人と同様に外国人観光客への対応がビジネスを支えています。
将来の日本で、英語が話せるか話せないかは死活問題です。
私の住む地域は、多国籍の人たちが多く住む地域なので特に気づきます。
役所に行くとパンフレットや案内板、交通機関も「日・英・中・韓」の訳を交互に表示・アナウンスするなど、多言語化しています。
国や市が出来る多言語への対応は、いくつかのメジャーな言語での翻訳や「やさしい日本語」、ルビをふるなどがありますが、そもそも、日本には「日本語以外の公用語」が存在しないに等しいので、訪日外国人の使う日本語以外の言語に対応する事に悪戦苦闘しています。
日本に来る外国人が日本語を話せない・準備をしていない、などはよくあります。言語の壁で困っている外国人に、日本語を知らないのがいけないんだ、と突き放すことはできません。特に数年に一度深刻な災害に見舞われる国だからこそ、言語の壁は命にも直結します。
日本が複数の多言語に対応するのではなく(不可能に近い)、世界で最も多様性に富む「英語」に対応できる教育を日本人にすることが今の革命の本題なのではないでしょうか。
いつか、日本(または主要都市)も公用語として英語が加わる未来が来るかもしれませんね。
国は、国民個人に寄り添ったと言うより、前途の変遷から国民を使った方が現実的で得策だったのだと思いますが(ひねくれ者)…これを機に義務教育で質の高い英語教育を受けられるようになったらwin-winととらえて、しっかり勉強したいですね
大人になって英語を勉強している人で、試験や資格の目標がない人は、自分の目標を決める指標として「英語を使って何をしたいか」が分かるCEFRのレベルを参照してみてはいかがでしょう。
自分のレベルチェックをして、一つ上の目標から達成していくのをお勧めします。
【日本語】におけるCEFRの考え方
様々な言語に当てはめられるのがCEFRの特徴ですので
「日本で、日本語を使って何ができるのか(Can-do)」も存在しています。
国際交流基金(JF)がCEFRをベースに作った「JF日本語教育スタンダード」を日本語を学習する人向けの基準として使用しています。
日本語を第二言語、またはハーフや帰国子女で日本語が流暢ではない日本国籍の人が継承語として学びたいけれど、使用頻度が低いため、流暢に話せなくてもいいけど…と目標が分からない方向けにお勧めです。
日本語は本当に難しいですね。話せる=コミュニケーションができる
が結びつかないことが多すぎる言語なので(特に敬語・尊敬語・謙譲語などの社会的なやりとりや言葉から想像しにくい含意まで理解するなど外国人が一番困惑する日本人特有のやりとり、英語を直訳したら失礼な言い方等)
なので日本語の「Can-do」は少し複雑で細かい設定です。
幼児の日本語教育よりは、それ以降の年齢向けですが
海外に住まわれている方には、将来のビジョンとして、日本で日本語を使う予定ならばどの技能を優先させるか、等の参考になればと思います。
まとめ
去年発表された日本の英語教育への方針が具体的に見えてきました
(下記以外の方針も沢山ありますがそれは文科省HP参照)
・「コミュニケーションとして使用」できる英語の強化
・個人の英語能力の評価は「英語で何が出来るのか」を重視
基本的な英語文法などに加えて「やりとり」に注目です
その評価基準を国際基準で使用されているCEFRが起用されました
海外にお住まいの方ほど馴染みのあるCEFRですが、日本では一部の教育に携わっている関係者か、言語を勉強したくて沢山情報を集めているうちに知った、などのパターンが多いのではないでしょうか。
ちなみに、私の周囲や職場の人(英語と無関係)にCEFRと言っても「はぃ?」でした。
日本の国を挙げての英語教育、自分の周囲からでも、もっともっと後押ししていきたいです。今より英語教育を身近に、生活の一部として使用されるようになったらいいな、と思います。
長文ここまで読んでいただきありがとうございます。
経験からの素人投稿ですので、一方的な視点での内容に迷いもあります。
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