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曇天火傷
都心から奥多摩へ行くのと、自宅へ帰る時間がほとんど同じびっくりした。帰ってきた瞬間に、帰ってきたという感覚があり、勝手に空を意識した。東京では、空は意識して見なければ、見なかったと思う。空を見た記憶がない。
常に鼻には排ガスとドブの臭いがまとわりつき、それはマスク越しでも簡単に分かるくらいだった。普段どれだけ良い空気を吸っているのか。深呼吸をしたくなるくらいの空気がここにはあったようだ。
楽しみを消化してしまい、虚無がやって来るのかと思いきや、それほどでもなく充実した気分が続いているのはなぜだろうか。ただ、また新しい楽しみを作らなくてはいけないという強迫観念があり、それは本当に一種の義務になりつつある。自分を保つ方法があるとするならば、少し先の楽しみを立て続けることなのだと思う。
肝臓と消化器官を酷使した2日間だった。自分の興味の対象だけに突き抜けているせいで、政治の話やその他もろもろの話に全くついていけずに分かったふりをしていた。話についていこうとする気があるのかも定かではない。内容よりは雰囲気で楽しむくせがあるので、居心地が良ければそれでいいのだと思う。むしろ会話の中心にならなくてはいけない状況はとても苦手である。
アルコールに冒された脳みそとコンタクトを入れた乾いた目で見た一向に減ることのない日本酒の残像が頭の中に残っている。