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マッチングアプリ大戦記 episode17
「17人目 Mさん 20歳半ば ?似」
経緯はよく覚えてないが、失恋したばかりということで、長い目で見てくださいみたいなことが書いてあった気がする。顔は全く分からなかったものの、音楽の趣味が合いそうな感じだったので、いいねをしたらマッチングした。古着が好きだった。やりとりしていると、アプリを止めるということで、LINEの交換をしてもらった。
その後、よく聴く音楽を教えあったりして、ちょっと盛り上がったので、通話をしたら、思ったよりも冷静な話し方だった。会うことになり花見をすることになったが、まだ3月の上旬であったため、1ヶ月くらい期間が空いた。
その1ヶ月の間は、スムーズでないものの、何度かやり取りをした。途中、音沙汰が無くなり、本当に会えるのか不安になったが、普通に会うことになった。しかし花見ではなく、ブックカフェで過ごすことになった。
当日、車を走らせ、3時間くらいかかっただろうか。また夜は飲み歩くつもりでいたので、宿の駐車場に停めて、そこら辺をほっつき歩いた。城下町で趣があった。そういえば昔、元嫁と来た場所だとその場所を歩いて初めて思い出した。
感傷に浸りながら、カフェに入った。急な階段を登るとスマホが震えて、今起きたとのことだった。「嘘だろ?」と思考が一瞬停止したが、まあここまで来たんでね。大人しく待つことにした。持ってきた中村文則の「何もかも憂鬱な夜に」を読んでいると、少し気分が沈んできたような気がした。
なんとあろうことか一冊読み終わった。「待てども待てども来ない~」と昔ニコニコ動画で見たゲーム実況のフレーズが脳内再生され続けた。落ち着きなく店内を歩いて、本を眺めるフリをしたりもした。
窓の外を眺めてそれらしき人が来ないか観察していると、横断歩道の向こうから、それらしき人が来た。マスクをしていたので、よく分からなったけど、そもそも顔自体を知らなかった。すでに着いてから1時間半が経過していた。
急な階段を降りて、入口に行くと、いた。ピンクのふわふわした感じのワンピースだった。あとで聞くと、民族衣装的な服も好きとのことで合点した。後にウクライナの民族衣装の店に連れ込まれた。
とりあえず腹が減っていたので、1階のレジでふたり揃って、キーマカレーみたいなのを頼んだ。急な階段を先に登ってもらったので、裾は長いけど、パンツが見えそうでひやひやした。降りるときも裾を踏みそうでひやひやした。すまんの。
やっとマスクを取って、対面した。可愛らしかったが、好みではなかった。印刷所の名残の部品が箸置きになっていたりしたので、その部品がどういう風に使われていたのかがとても気になり、相手の話どころではなかった。
また時間をかけて、店内を見て、ちょうどやってた展示も見て、どうやってこんなの作るの?なんて無駄に関心したりもした。本当は、ほぼ無関心だった。
僕はせっかくなら城下町を歩きたいと打診したら、停めちゃいけない所に車を停めていたらしく、車に連れ込まれて、しばしドライブ。合法的な駐車場に駐車した。
なんとか通りを歩き、アメリカのアイスを食べた。これは思ったより美味しかった。思ったよりデート的な雰囲気になり、久しぶりに味わう感覚だった。
民族衣装店に連れ込まれ、更に古着屋に入ると、疲れてきてしまって、店内のBGMが抜群なことに気付いてしまって、店員に思わず聞いてしまった。IAN SWEETの#23だった。
彼女は、黄色い石の着いた指輪を買って満足していた。夕方になり、ここでお開きと思いきや、夕ご飯も軽く食べていきたい素振りを見せていた。実を言うと僕は、早く飲みに行きたかった。
断るのも可哀そうだったので、行く予定だったクラフトビール屋に連れ込んだ。話を聞いていると、映画の話になった。彼女は「私の男」みたいなドロドロしたのや、岩井俊二作品が好きということで、精神的にちょっと危ないタイプの人なのか?と少し勘ぐった。
タップリストを全制覇した頃には、イイ感じになっていたので、2軒目に行きたくなっていた。駐車場まで彼女と歩き、車のとこまで来なくていいですと謎に断られた。行く気はなかった。
その後、なんとか横丁で日本酒を沢山飲んだ。隣のグループが山岳会らしく、ちょっと仲間に入れてもらったりした。
また夜の城下町を歩き、ホテルに着く頃には、だいぶ酔っていてよく分からなくなっていた。
今でも彼女とはたまに連絡を取ったりしている。この先は何もないとは思うけども。