ネコと犬とカメ
寒くなってきて、窓辺のネコちゃんをよく見かけるようになった。窓辺の日光を求めてくつろぐネコちゃんを見ると、なんとも言えない気持ちになる。ごみ捨てに行ったらカーテンから顔を出して、私の顔をじーっと見つめてくる茶トラのネコちゃんがいた。うれしくて立ち止まる。手をふってみた。
ベランダで布団を干しているときも、ネコがくつろいでいる姿が見えて、思わず私も布団に顔をつけてネコと同じようにほんの少しくつろぐ。あのネコの名前はなんて言うのだろう。今度教えてもらおう。
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知り合いが犬を飼い始めた。ゴールデンレトリバーとのこと。「私が飼いたいから飼ったの」と教えてくれる。「子どもたちはどっちかというと苦手なの」「大型犬を飼いたかったんだ」とも。なんだかおどろいてしまった。そうやって飼い始めてもいいんだ!って。かわいくて、かわいくて仕方なさそう。犬の名前を呼ぶ時に愛情をひしひしと感じる。
そのゴールデンレトリバーは、私の友だちに会うと、もううれしくて!たまらないみたい。この人間とは通じるものがある、って、分かるみたい。じゃれて、じゃれて、あんなに人にじゃれる犬をはじめてみた。思わず笑ってしまう。わしゃわしゃとなでる友だち。トップスに犬のよだれがきらんと光る。
私は犬をかわいいと思っている。けれどなでたりしたことがあまりなくて、どうやってなでたらいいのかとかよく分からない。こわいのもある。びくびくさわらせてもらったりする。そういうのって犬も分かるのだろう。この人間は心開いてないな、って。今度会ったらしゃがんで、かわいいね、ってなでたい。
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娘が小学生向けファッション雑誌を読みながら、その雑誌の懸賞に応募していた。アンケートに答えながら、ペンネームは…と考えている。「いーてぃーにしよう!」台所のカウンターにいる置物の小さなカメをみてつぶやく。「カタカナでいっか。イーティー」とつぶやいている。この置物を「気持ち悪い」って言っていたのに。うれしいなあ。カメの置物を手に取り、カメの顔をながめる私。「(E.T.に)似てるよねー」って言ったら「横顔イーティー」と娘に返される。
ヨコガオイーティー。
響きがとてもいい。
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1年前の今ごろ。私はとても元気がなかった。もろもろのことで。それでネコと犬とカメの名前を考えてみたいと思った日があった。そんなことを考えることは楽しかった。
ある日、絵と詩をかかれている心のとてもあたたかい方が、この記事を読んで絵を描いてくれた。ネコと犬とカメの絵を。どんなにうれしかったか。しばらく泣いた。私はそれを毎日毎日ながめている。
私の家にはネコも犬もカメもいないのだけど。絵の通りのゴールデンレトリバーと
茶トラのネコはすぐ近くにいたんだと気づいた。多分私にとってちょうどよい距離感でいてくれる。ちらりと姿をみせてくれる。そして置物だけどカメのE.T.がうちにきた。
三匹がそろった!
この前ふと思った。
あれから1年たって
こんな世界が見られるとは。
ちゃんといてくれるんだ。