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月光荘

銀座にある月光荘に
やっと行くことができた。
なにか、あこがれと親しみを
感じ続けていた月光荘。

教文館から「銀座〇丁目」を
いちいち確認しながら
大通りをまっすぐ歩く。
外国の方がとても多い。
あらゆる言語がきこえる。

銀座7丁目にようやくたどりつく。
たしかこのへんのはず、と曲がって。
お店をスムーズに見つけられて、
自分すごい、と思った。

思っていたよりも小さなお店。
ドアをあける。
こんにちは、とあいさつする。
エプロンをした店員さんは、
その佇まいから感じがよくて、
すごくほっとした。

絵を描く方なのかなあ、
きっとそうなんだろうなあ、
と思いながら、
スケッチブックをまずながめる。
私は絵を描かない(描けない)。
このスケッチブックには、
切り抜きを貼る。
願望を貼り付ける予定。

どれにしようか、
何色にしようか、
そんなことを考えながら
手に取り棚に戻し、をくりかえす。

店員さんはさりげなくて、
ちょうどよい距離感でいてくれて
ありがたいなあと思った。

「ずっと来たかったんです」
とエプロンをした店員さんに思わず話す。
「何で(月光荘を)知ったのですか」
と店員さんに聞かれたけれど、
いつ何で知ったのかが
自分でもよく分からない。
「(月光荘おじさんの)書籍を読んで」
と言ったけれど、そうじゃない気もする。
…月光荘のことをずっと
知ったつもりになっているはなぜだろう。

ユーモアカードは買う予定で、
5枚選ぶことにした。
「90種類くらいあります」
と教えてくれて、
店内は私だけだったから、
ゆっくりゆっくり
しゃがんだり立ったりして、
一枚ずつながめた。

絵の具は1本買ってみようと思っていた。
「私は絵を描くひとじゃないんですけど、
一本買ってみようと思っているんです」
と伝えたら、
「一本と言わず、三本にしたらいいですよ」
とすすめてくれた。
たしかに!
三原色のことをすっかり忘れていた。

前に絵の教室に通ってみよう
と思ったときに、
透明水彩を用意してください、
と言われた気がする。
透明水彩を買ってみることにした。

お店を後にして、
何通りか分からないけれど、
大通りの一本うちがわの通りを歩く。
こっちの方が歩きやすい。

すごくいい買い物をした気分。


銀座の余韻が、
まだここにある。