オクラちゃん
カマキリの写真を見ると、
オクラちゃんを思い出す。
息子は猛烈に、
カマキリ好きな時があった。
ある日「鎌木くんへ」と
手紙を書いていた。
小3の男の子が。
漢字の鎌をわざわざ書いて。
カマキリに心奪われていた。
カマキリは手をそっと
さしだすとのってくれる。
こう絵本に書いてあったから、
真似してみたら、
そろりそろりとのってきた。
『へー、こわくないんだ!』
子どもの頃は
さわるなんてムリだったし、
虫には興味がなかった。
というのに!
人生分からない。
私もカマキリが好きになった。
*
オクラちゃんは、
オクラみたいな緑色だから、
オクラと命名された(息子に)。
でも羽化すると緑ではなく、
褐色の色に変わった。
羽化もみせてくれた。
縮こまっていた羽が、
最後はスカートのように
ふわーっとひろがって。
それを私たちに見せてくれた。
こんな世界があったなんて。
驚いて胸がいっぱいになった。
オクラちゃんの羽の色は
ゴールドみたいな色で、
とてもきれいだった。
普段絵を描かない私が、
わざわざ絵を描いた。
オクラちゃんは年末まで生きた。
アイスの棒に息子が
オクラと書いて、
うちの植込にうめた。
*
息子のカマキリ愛は
あの時にもう満たされた。
私のカマキリアンテナは
かなり消えかかっている。
あの時は、しょっちゅう
カマキリに「ああ、どうも!」と
会えていたのに。
今年も去年も見ていない。
***
カマキリの写真を見せてもらって、
とてもなつかしく思いました。
ありがとうございます。