オクラちゃん

カマキリの写真を見ると、
オクラちゃんを思い出す。

息子は猛烈に、
カマキリ好きな時があった。
ある日「鎌木くんへ」と
手紙を書いていた。
小3の男の子が。
漢字の鎌をわざわざ書いて。
カマキリに心奪われていた。

カマキリは手をそっと
さしだすとのってくれる。
こう絵本に書いてあったから、
真似してみたら、
そろりそろりとのってきた。

『へー、こわくないんだ!』

子どもの頃は
さわるなんてムリだったし、
虫には興味がなかった。
というのに!
人生分からない。

私もカマキリが好きになった。

オクラちゃんは、
オクラみたいな緑色だから、
オクラと命名された(息子に)。

でも羽化すると緑ではなく、
褐色の色に変わった。
羽化もみせてくれた。
縮こまっていた羽が、
最後はスカートのように
ふわーっとひろがって。
それを私たちに見せてくれた。
こんな世界があったなんて。
驚いて胸がいっぱいになった。

オクラちゃんの羽の色は
ゴールドみたいな色で、
とてもきれいだった。
普段絵を描かない私が、
わざわざ絵を描いた。

オクラちゃんは年末まで生きた。

アイスの棒に息子が
オクラと書いて、
うちの植込にうめた。

息子のカマキリ愛は
あの時にもう満たされた。

私のカマキリアンテナは
かなり消えかかっている。

あの時は、しょっちゅう
カマキリに「ああ、どうも!」と
会えていたのに。

今年も去年も見ていない。

***

カマキリの写真を見せてもらって、
とてもなつかしく思いました。

ありがとうございます。



年末のオクラちゃん
2020年12月19日