謎の痛みの話
午前5時頃に目が覚めた。
そのままトイレに行き、再びベッドに横になると右腹部の後ろに痛みを感じた。ピンポイントでその部分だけが痛く、これまでに感じたことがない痛みだった。
再度寝れば治るかと思って横になってみるが、だんだんと痛みはひどくなった。どこかにぶつけたり、ひねったりしたのかと考えてみるも、そういった痛みでもない。
とうとう寝てもいられなくなり、立ち上がってうろうろと歩き始めた。
なんなんだ、この痛みは??
今まで生きてきて感じたことない痛みだったので、少しずつ恐ろしくなってきた。のたうち回るほどではないが、じわじわ痛みが続く。
一度診てもらった方がいいかもしれないと思い、夜間急患センターに向かった。
時間帯も時間帯だったので、患者は誰もいなかった。
問診票を記入すると、ほどなくして診察室に呼ばれる。
医者に症状を話すと「結石かもしれませんねぇ」と言われる。わたしは結石という言葉は知っていたが、具体的にどのようなものかは知らなかった。ただ、何となく話を合わせて「結石ですかねぇ」と言っておいた。
尿検査をしてみると、やはり結石っぽいということだった。昨日アルコールを飲んだかどうかを聞かれたので「飲んだ」と答えた。(350mlを2缶くらい)とにかく水分を摂るようにしてくださいと言われたので、うなずいた。
もっと詳しく診てもらった方がいいだろうということで、この辺の泌尿器科を教えてもらう。
痛み止めも出してもらったが、このときにはもうほとんど痛みはなかった。
病院が開くまで、まだ時間があったので、一旦帰宅して寝ることにした。
数時間して起きてみると、もう痛みはなかった。だが、1度診てもらわないことには不安が残るため、病院に行ってみることにした。
わたしはなかなかの健康体なので、病院に行くことはほとんどない。検診のために定期的に歯医者は行っているが、それ以外で病院に行くのは数年に1度程度だ。そのため、病気で仕事を休んだことは、ここ何年もない。いや、もしかすると10年以上ないかもしれない。
それだけに謎の痛みが不安だった。
昼飯を外で済ませてから、病院に向かった。初めてのところなので、まず診察券を作る。それから診察までしばらく待った。2時間以上、待合室でNHKを見ていた。
尿検査、採血、腹部の写真と一通り、診てもらう。
結果としては「結石だろう……?」だった。
写真にはっきり石が写っているわけでもなく、なんとなくこの辺が濃いから石じゃないかなくらいの判定だった。いずれにしろ、大きなものではないので、大したことはないということだ。
そこまで診てもらって、ようやく緊張がほどけた。
その日から数日が経ったが、あのときのような痛みはまったくない。とりあえずアルコールは減らして、前よりも水分を摂るようにしている。
これで再発しなければいいのだが……。