「ハワイ火山国立公園と女神ペレの神話」世界遺産の語り部Cafe #2
ハワイの巨大な2つの活火山
1987年に世界自然遺産に登録された【ハワイ火山国立公園】は、「マウナロア」と「キラウエア」という二つの巨大な活火山を有しています。
ハワイ火山は、世界で最も激しい火山地帯であり、地学的・生物学的な見地から重要な意味を持つことが、世界遺産の選定理由となりました。
実際、ハワイ語で‘’噴き出す‘’という意味があるキラウェアでは、20世紀中だけで45回もの噴火が確認されています。
女神ペレの神話
ハワイを象徴するキラウェア山にまつわる神話として、「ペレ」という女神の存在についてはご存知でしょうか。
カヒキ(kahiki=大海の遥か彼方)からやってきたとされる火山の女神ペレは、キラウェア火山の火口である「ハレマウマウ火口」を住処として、永遠の炎を燃やしているのだそうです。
ハワイの人々の間では、ペレに関するこのような民話が今も残されています。
‘’ある日、2人の少女がパンの実を焼いていると、飢えた老婆がパンを分けてほしいと懇願してきた‘’
‘’年下の少女だけがその老婆にパンを分け与えると、老婆は少女にキラウェア山で間もなく異変が起こることを告げた‘’
‘’老婆の正体がペレだと考えた少女の祖母は、老婆の言いつけを守り、10日間「タパ」といわれる布の切れ端を目印として玄関に掛けた‘’
‘’数日後、山は噴火して、少女はその噴煙の中に若い女性の姿を見るが、その女性は先日の老婆の目とそっくりだと気付く‘’
‘’村は流れ出した溶岩に覆われるが、少女の家だけは溶岩が避けていったため、少女と家族はペレに感謝した‘’
ハワイで語り継がれる神話には、キラウェア山をはじめとした自然にまつわるエピソードが度々登場しており、ハワイ火山国立公園は自然遺産でありながら、文化遺産的な側面もはらんでいるのではないかと感じています。
日本でも富士山が世界遺産に登録されていますが、古くから山岳信仰の対象として崇拝されてきた歴史から、区分としては「文化遺産」として登録されています。
ハワイの溶岩を持ち帰ると祟られる?
真偽の程は謎ですが、ハワイの人々からすれば女神ペレの‘’御神体‘’にあたる溶岩を持ち帰った観光客が、その後何かしらの良くないことが起こったことで、溶岩をキラウェア山に‘’返却‘’する事態が相次いでいるそうです。
女神ペレの民話には、「自然をないがしろにしてはいけない」という警鐘を含んだメッセージが込められているのかもしれませんね。
【ハワイ火山国立公園:1987年登録:自然遺産《登録基準(8)》】