終えて、新しくひらいていくこと
読んでいる本が残りわずかになってくると、そわそわし始める。読書の良いところは、その作品の世界に入っていけること。作品の主人公に感情移入しては疑似体験ができるような感覚。読みながら主人公の行動にハラハラと眉間にしわを寄せていたり、泣いたり、笑ったり。
今いる場所がどこでも、真冬の北海道で大雪の中佇んでいたり、草原を心地よい風に吹かれながらバイクに乗っていたり、綺麗な夕焼けを眺めていたり。昼だろうが夜だろうが、本の世界はひとたびページをめくればその世界へと私を連れていってしまう。
そんな至福の時間が終わりに近づくと、ソワソワしてしまう。次の本があれば手をのばし、新しい世界へと。次に読みたい本が手元にない時は、なんだか心もとない気持ちになる。
「さいはての彼女」を読んだ。
主人公と自分を重ねながら。この本を読んだ人なら、特に女性は共感したところが多いのではないかと思う。物語も解説もとても良い。
「心に残る一行を」
さいはての彼女の中でも心に響く言葉がいくつもあり、それは今の私が求めているものなのだと。その中で、一つ。
「昨日、茶色く濁っていた水がうねっていた川は、穏やかな清流に変わっていた。雨が降っているのとそうでないのとでは、風景はこんなにも一変するのだ。晴れ晴れと冴えわたる青空は格別に気持ちのよいものだったが、それでもそれは、雨降りを過ごしたからいっそう気持ちよく感じるに違いなっかた。
人生に似ている。そんなことを思った。
雨降りの長い人もいるだろう。雨降りを避けて、旅に出る人も。
旅に出たら、雨降りだったという人も。」
本の中からここに書き残したい言葉はまだあるけれど、自分の心に刻むことにする。
物語に出てくる人の考えや行動から新しい視点を学ぶことができる。父の想い、母の、娘の、友人、知人、職場の人間関係など挙げるとキリがないほどの人の想いや感情、行動、その立場にすんなりと入り、そして共感できる。「さいはての彼女」を読み終えて、また新しいページを開こう、そう感じた。
私自身が立ち止まっている今の自分の日々を一度閉じて、新しい本を作り、ページを開き、物語を書き始めよう。
「アトリエ」を開く。
その夢に向かって、新しい物語を書き始めます。
一冊の本の中で、その物語の主人公達が進んでいくように。
私は私の物語を
あなたはあなたの物語を。
ごこち