📝その５【じっとしていられない子のアート】

 ウチの子に創作なんて無理！と お嘆きのご夫婦 いらっしゃいませんでしょうか

 どうして無理なのか 理由は大きく二つ考えられます

１） 創作＝芸術は才能ある人だけのもの

 もともと絵は得意なほうではないし、じっと座って描くのも好きじゃない。またお前の絵は下手だと心無い友だちに からかわれてしまってますます嫌いになった。そんな苦手意識が芽生えてしまった子どもに対し、親としても辛そうだし無理に描かせたくはない といったケース。

２） 発達障害をもつ障害の特性から

 ひとつの作業に没頭していられない。すぐに気が散って席を立ちどこかへ行ってしまう。描く行為そのものに抵抗はないし、むしろ好きなのだがアートと呼べるほどの代物じゃない。いつも中途半端に終わらせているので作品として出せるものではない といったケース。

 どちらもそれほど珍しいタイプじゃありません。むしろアートアレルギーを持つ方たちは そのどちらかに分類できるといっても過言じゃないかもしれません。両者ともアートに対する誤解、曲解が含んでいて、よく知りもしないまま避けてしまっている残念なケースです。

 そもそもこうなってしまったのは しっかり正しいアートを教育に根付かせなかった国の責任が大きい。とはいえ まだまだ偏見が主流になってるので この両者の言い分が正しく、無理と言われて当然と思ってる方も多いのではないでしょうか。

 指摘したい部分 色々ありますが、ひとつずつ精査していきましょう。

まず
１）創作＝絵と結びつけてしまっている点

 絵が得意でなくても工作が上手い人もいます。自分で上手に絵が描けなくても、下絵を見ながらだと綺麗に描ける人、コラージュ技法などで画材を用いなくても作品は誰でも作れちゃいます。映画、彫刻、歌、音楽、ダンス‥つまり絵が描けなくてもアートはぜんぜん可能なのです。

２） 絵に下手くそはない

 似顔絵かなんかで 特徴をうまく掴んでいる 似てるかどうかの定義で話をするならわかります。そりゃ似てなければ下手くそですよね。でも色使い、塗りの厚さ、大胆さ、繊細さ、そんな風に刻んでゆけば、それは上手さではなく、器用さなのだということがみえてきます。または自信、誠実さ、率直さ、楽しく作品づくりに取り組めているかどうかなどがアートの本質であり、上手さと言われる魅力につながる素となってることに気づくはず。無論売れる、人に気に入られる作品をつくることだけがアートじゃありません。もっともっと見る楽しみ以上に、つくる楽しみに庶民が気づくべきです。

３） 中途半端な作品も立派なアート

 これが今回一番声を大にして伝えたかったこと。途中で挫折したり、飽きてしまって やめてしまうケースもあるでしょう。それをまったくダメだと 価値のないものとして排斥するのは とてもドラスティックだし 自己肯定感を著しく否定する誤った行為だと思います。

 宿題なんかだと途中までしかできずとも、よくここまで頑張れたね と褒めるケースが増えているのにこと作品になると、「完成品じゃなきゃ提出できない」「恥ずかしくて展示もできない」ってなるのはおかしい。

 別にいいじゃありませんか。それはそれで本人の味わいがあるし 余韻、余白、未完なりの良さがある。

 ウチで行う「ごっこ（創作遊び）」という行為は、おそらく完成品の魅力は味わえません。そのほとんどが思いつきで 遊びの延長上 中途半端に仕上げていくアート以前の残骸（？）なのですから。

 それでいいし、むしろ それがいいんです。その時々、刹那的に輝くアートがあってもいいと思ってるんで。でもそのうちもしかして 自分がその出来栄えに満足して 持ち帰る子も出てくるかもしれませんね。

 そんな環境のなかで「じっとしてられない子のアート」に着目しようと考えてます。

 彼らはひょっとすると これまでアートと呼ばれない無駄な行為の連続で生きてきたかもしれない。でもココではこうして しっかり一つのアート行為として認めていますし 活き活きと 好きなだけ 描けばいいし 途中でやめればいいんです。好きなら続けるでしょうし、嫌いならもうやらないと思う。たとえこだわりだとしても本人が描いてるほうが楽なら きっと居心地良い場所になるんじゃないかな。

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