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逆張りとは「当たり前じゃないからな~」

新年あけましておめでとうございます。昨年末に取締役会を開いて、今年からCEO兼COOとなりました。「実写VR活用支援」「婚活支援」「地方移住推進」の3事業をブレること無く確実に推進し、この3事業に方向として関係することであれば幅広く関わっていきたいなと思っています。(私の中では、全く方向的に噛み合わないケースは非常に少ない)
本日は年初なので、何となく世間がお休みで仕事モードじゃないってこともあり、会社よりも個人的な思いの整理で書いてみます。

新規事業の鉄則

念の為ですが、投資の話ではありません。順張り・逆張りの逆張りではありませんので。
新規事業を考える際、いろいろな視点で物事を考えますが、何と言ってもいちばん大事なのは「お客さんがいるか」です。つまり、市場があるか、もしくは近々できるか。これがビジネスの基本中の基本です。例えば、高度経済成長期の日本ではアメリカなどの先進国を追いかけて、新しい商品、一番わかり易いのは電化製品、を次から次へとリリースして、大量のテレビCMや新聞広告を使った圧倒的な情報量で人々の頭に刷り込んでいくことで、どんどんモノが消費されていきました。つまり、新しい電化製品を欲しているお客さんが国内に死ぬほどいた状態。アメリカでは既にこんな商品があって、こんな生活があって、、、というイメージを徹底的に植え付けることで常に市場に顧客がいる状態を維持していたのが日本経済だったんではないでしょうか。高度経済成長期からバブル崩壊後も続いて2000年頃までは何やかんやこのマインドが主流だった気がします。
もちろん、その間に社会環境は徐々に変化していったので、徐々に鉄板だけでは通用しなくなっていきました、でも、基本的にはこれだけでした。とにかく市場にいるお客さんに向けて、新しい商品を提供する。電化製品だけでなく、自動車、戸建て住宅、コンピューターからスマートフォン、ファッションから美容系。常に欧米のトレンドを追いかけ、マスメディアで発信し、流通を介して消費者が購入する。この流れがずっと続いていました。どんどんジャンルが多岐に渡ってきて、業界が細分化されて、新しくできたエリア(業界)を早いもの勝ちで取り合ってきました。基本的な構造は変わらず、人々が欲しがっているものをいち早く察知して、それを提供するだけでした。1990年頃からはそこにインターネットが入ってきたので、更にその速度を増して、「早いもの勝ち」の傾向が強まりました。先行者利益ってヤツですね。
最近でもほとんど変わって無くて、経営者層が集まって情報交換するなんてケースも「最近どうなの?」「何か新しいこと始めた?」的な会話が大半です。様々な情報を精査する中で、投資リスクとリターンの可能性を天秤に掛ける一瞬の判断、それが経営者・起業家の醍醐味だったりします。

一方で逆張りとは

そのような新規事業の鉄則=お客様がいるか、とは全く別軸で事業の必要性や社会貢献の意義から事業を立ち上げ、市場を一から創造していく過程から始めるビジネスもあります。つまり、一般的なビジネスの常識から考えると「それはあり得ない」「成功の可能性無し」「無謀」「無茶」と言われる類です。今の時代、ほぼ全てのモノが満ち溢れています。今から新しい技術や製品が仮に何も開発されなくたって、おそらく私たちは満足度の高い生活を送ることができるでしょう。
例えば、
リニアモーターカー、無くても困らないでしょ?
宇宙旅行、できなくても困らないでしょ?
という類です。
でも、ホンのホンの一握りどころか、ごく少数の人だけが、それが提供された後、人々の生活がどう変わって、今の常識では考えられない(普通は誰も考えない)ような未来を強烈に想像して、それに向かって走らずにはいられない人がいるんです。つまり、前述したビジネスの常識で不可欠な「お客さん」の存在なんてありません。誰も現時点で本当に必要だとは思ってないんです。そんな状態で、そんな領域で事業をしようとしている。それを逆張りビジネスと呼んでいます。

当社の事業その1「実写VR」

VR自体は既に存在している技術で、それを用いた事業もいくつか誕生しています。私に言わせると、VRの持つ可能性の数%だけを使ったビジネス、です。ビジネスとして一定の成果を収めるには適した手段だと思います。ただ、この場合は、同等の手段を選択するプレイヤーがワッと一斉に参入していくことで市場が事業者側から造成される必要があるので、今はそれがまだ無くて、市場が形成されるに至ってない、というのが私の感覚です。極めて尖った一領域に特化してビジネスを推進している事業者がいることは当然、承知していますが、その事業者の範囲内だけで留まっている。(良い悪いではなく)そういう状態です。
私が考える「VR」は、人々の生活を大きく変える技術です。人々の生活を事業者側から変えるのは非常に困難(たぶんムリ)です。人々の生活は人々のマインドが変わらない限り変わりません。それがかつてはマスメディアというオバケ一択で変わりました。マスメディアが一斉に右を向けと言えば、誰もが右を向き、気付くと人々は右を向くといいことがあるというマインドが醸成されていました。洗濯機が無くても衣服を洗うことはできましたが、洗濯機によって便利を手にすると人々の生活がこんなふうに変わるというイメージを圧倒的な量で発信することで、人々のマインドが変わりました。洗濯という行為よりも「便利」が大切だと、人々のマインドが変わりました。
話を元に戻すと、VRが提供するのは、手軽な便利ではなく、異次元の便利です。SFの世界で言うところの「テレポート」を実現する技術です。今の時代において「便利か不便か」という土俵にも乗っていない、つまり「不便ではなくそれが当たり前」と思い込んでいる物事がターゲットです。
一番わかりやすい例を挙げると、海外旅行には今や誰でも時間とお金の準備をすれば行けるようになりました。その際に、行き先を検討するのですが、下見に行けるとは誰も思っていません。「そんなのムリに決まってる」からです。そのため、スマホでHPを見て決めたり、旅行会社でパンフレットを見たり、「地球の歩き方」を読む人はさすがにいないかもですが、そのような情報源から想像で判断するしかありません。「行ってみて初めて分かる」が海外旅行の醍醐味、と思っている方も多いかもしれません。
ところが、市販のVRゴーグル(例えば3万円のQuest2)を被って、どこでもドアにアクセスすれば、ビックリするような海外旅行体験ができます。無料です。どれだけキレイなHPよりも、どれだけ知識豊富な旅行会社の店員さんよりも、まるで現地にいるかのような数分間の体験の方が、圧倒的に人々にとって価値ある下見体験になります。これが一番わかり易い一例です。これまでは「不便で当たり前」と思っていたことが、技術によって簡単に実現できるようになりました。この「人々のマインドチェンジ」を起こしていくことに当社は意義を感じています。一部の限られた人だけが享受するような技術ではなく、VRは世の中の全ての人が享受すべき技術だと思っています。つまり、これまで技術力によって大型コンピューターがパソコンになり、スマホになって、どんどん小さくなることだけに着目してきましたが、それはスマートウォッチで一旦終了です。目の前の空間を全てメディアにしてしまう「VRゴーグル」が人々の生活を大きく変えます。そこに当社は逆張りしています。人々の中にその必要性は今はゼロの状態です。マインドチェンジを仕掛けて、誰もが日常使いするライフスタイルを提示し、浸透させたいと考えています。

当社の事業その2「婚活支援」

これは、既に様々な事業が世の中に存在しています。マッチングアプリの開発運営から結婚相談所事業、それらを今は地方自治体が手掛けていたり。
おそらくは、これらの事業者の努力の甲斐があって、今の婚姻数は維持されているのでしょう。ですが、徐々に減っていることは周知の事実。少子化は今では当たり前の社会問題ですが、国として問題視しているのはずっと前からです。でも、何もできていないのが現実です。少子化は2つのファクトが関係しています。婚姻数と出生率。実は結婚した後に子供を産むかどうか、何人産むか、については大きな変化は起こっていません。結婚した方々は一人二人の子供を授かって子育てをする現実は10年以上前からあまり変わって無くて、このところ大きく変わってきてるのは婚姻数の激減です。もっと言うと、「したくても結婚できない」がスタンダードになりつつあります。その原因も様々です。マスメディアではおもしろおかしくネタにしますが、男性が草食化したことも、女性の社会進出が進んだことも、日本経済が若者に厳しいことも、どれも理由の一つに過ぎません。

解決するには、それらの原因を一つずつ潰して解消するか、それらの原因が影響しない形での出会いや婚活を提供する、ということが必要です。おそらく、数多いる既存の事業者の多くはそのどちらも着手せず、減り続けるパイを奪い合う戦いをしているように思います(パイ自体はまだ増やせる、つまり自由恋愛だけで結婚に至っていたような人たちを婚活市場に巻き込むことで市場規模を維持する動き)。
当社は、前述の2つのアクションの両方を踏まえた取り組みを行います。つまり、婚姻数が減っている原因の解消に取り組みながら、それらの影響を受けない形での新しい婚活を提供します。これは何度も言う通り、既存プレイヤーが山ほどいて、(個人的には知り合いだけど)資金力のある上場企業も含まれているので、スタートするまで詳細は書きませんが、口頭で既に既存プレイヤーの方々から提携や連携の相談はいくつかもらっているので、スタートしたら一気に勝負を賭けたいと思っています。既存の婚活市場の発想や考え方とは全くの逆張りなので、すぐにはマネできないと思いますが、私が逆の立場なら資金を使って一気にパクって市場を独占するぐらいのことはすると思うので、その時までお楽しみにしていてください。夏頃には始められるだろうと思っています。

当社の事業その3「地方移住推進」

そして3つ目の逆張りが地方移住推進です。地方移住はここ数年、全国的に注目されていますので、逆張りじゃないだろと思った方もいるかもしれません。そもそも、地方移住は民間がやる事業ではなくて地方自治体が自らの税収を確保するためにやる事業です。「地方創生」という名の元に国の予算が使われています。が、一向にその成果を出せていないのが現在の実態です。
私は9年前にちょっとしたきっかけ(福岡の企業に転職)で移住を経験しました。ちょうどバツイチになった後で家族はいませんでしたし、知り合いも全くいない福岡に一人で来ました。なので、地方移住をするとどういう体験をするか、私自身が一通り経験済みなんです。これが事業を行なう最大のきっかけです。これは多くの人に体験してほしいという思いです。

地方移住をホントにやって良かったと思った私は、2019年3月に福岡の会社を退職したのですが、東京に変える選択をしませんでした。まさに、移住が成功した事例です。そして、周りの方々に「福岡はいいよ」と言い続けました。当時、東京の上場企業から誘われて、リモートワークで仕事を始めていたのですが、東京のメンバーにいつも言ってました。「福岡に住んじゃえばいいじゃん」って。その結果、今に至るまでに独身3名・夫婦2組が東京から福岡に引っ越しました。移住の実績です。
ですが、当然のことながら、私には一円も入りません。当たり前です。自治体は税収を増やしたでしょうし、様々なインフラ企業もいくらかの収益増にはなっているはずです。なので、前述の通り、地方移住は自治体がやる事業なんです。

その後、私はずっと考えていました。どうすれば地方移住推進が民間事業として成立するか。私だけが特別な情報を持ってるわけではないのでオンラインサロンなど必要ないし、私が呼んできた人が移住したところで自治体が紹介料を払うわけでもないし、アフィリエイトでコツコツ集めるのも違うなー。かなり試行錯誤していました。
地方企業への人材紹介(および企業側へのコンサル)やコミュニティ運営(および自治体へのコンサル)という事業者が誕生したことは知っていましたが、どうも私がやりたいことと違っていました。私の中で一番やりたいことが何なのかを突き詰めると↓これでした。

福岡がいいのは確かなんですが、それ以上に、東京一極集中を解消したい思いの方が強いと分かりました。福岡市は地方移住の選択肢として最強で、且つ、モデルケースにしたいと思っていますが、要するに東京以外の全国の各都市が活性化することが大きな目的です。東京にいる各回の主要人物のほとんどが実際には地方創生など全く望んでもいないし、東京以外の地方は勝手にしろという本音もこの間、何度も見聞きしてきました。私は生まれも育ちの東京23区で、地方の人が毎年大量に訪れる東京という街をずっとその中心で見続けてきました。全てが自分たちが中心で世の中が回っていると確信している人々と行動を共にするような時期も長かったのでですが、私自身はそこに身を置いて誰よりも突っ走ることで、いち早く自ら限界を感じて、自身も何度も崩壊して、「あ、この社会は人を幸せにする社会じゃないな」と感じていました。詳しくは書けませんが、政治・経済・行政・教育・芸能・メディアなどのあらゆる業界が全て東京を中心に成り立っていて、その繁栄のために成り立っていて、永遠に東京だけは栄え続ける仕組みが構築されています。地方はホントに全てがおまけです。能登半島地震で気付いた方もいるかも知れませんが、地方・地域など何かきっかけがあれば消えて無くなっても仕方がないよね、という発想が首都東京の中心部の発想です。無くなって何も影響もありません。そんなことが、小さな頃から東京のど真ん中で生活していると自然と気付いてしまいます。私自身もその恩恵を享受してきたことは事実ですし、それに便乗してきたことも事実です。私にとって幸いだったのは、性格的に非常に極端なので、このような環境を上手に賢く立ち回るよりも、とことん食い尽くして、やりすぎて叩かれ、消され、また這い上がって、みたいなタイプだったので、浮き沈みが極端に何度もあって、たまたまタイミング良く人生をリセットする機会があって、その一回が福岡移住と重なりました。(めちゃくちゃ掻い摘んでしまいましたが)そんな私だからこそ、今、福岡の良さを心から実感し、地方の現実をいろいろと見聞きさせていただいて、東京一極集中を何とか解消するきっかけを作りたいなと思い続けてきました。そして、試行錯誤を開始して5年目の昨年、当社の1事業として地方移住推進を始めようと思った次第です。福岡市は最初のモデル都市として、今の勢いを更に加速させて、九州全域への移住のハブとなる計画を持っています(田舎にいきなり移住させるプランは危険なので)。

東京のいわゆる「既得権益層」は、そんなことをさせるはずがありません。今は九州で一人でワアワア言ってるだけなので何も起きませんが、いずれ目に付いてしまうことでしょう。地元は選挙のための票田としか思っていない東京在住の国会議員たちがどういう本音で、どういう人達で、どういう生活をしていて、というのを知ったら、地方の方々ももっと本気で地方移住に取り組もうと思ってもらえると思いますが、時期が来たら、そういう政治的な活動も含めて世の中のムーブメントとして産み出していきたいと考えています。まずは、事業として「目的を持って移住する」ことを仕掛けていきたいと思っています。「東京から出ることで得られるものがある」ことを発信し、ピンポイントに東京の独身男性・独身女性に移住を働き掛けます。メリットしか無い移住を。

最後に

年初のヒマな時だったので、ついつい7000文字も書いてしまいましたが、1期目のベンチャー企業なので、これぐらいの熱い思いがないとすぐに沈んでしまいます。私自身、昨年、当社を共同で創業した際に、これまでにお世話になった方から「お前が成功することは分かってる。なぜなら俺はその証拠を持ってる」と写真が送られてきたことが非常に励みとなっています。

上にも書いた、私が福岡移住を決めた理由の会社が上場前に紹介された記事です。営業責任者として福岡は当然のこと、九州全域を駆け回っていたのですが、この会社では役員ではなかったので、表に私の実績として出ることはありませんでした。ただ、知ってる人は「山崎(当時の名前)さんの実績」と知っていたので、「これを成し遂げた人はいつでも売上を作れる」と上で紹介した方は「成功する証拠」として私を励ましてくれました。
もちろん、これは私の過去の業績の中でも3本指に入る実績だと思いますが、例えば、直近のメタリアル社では全く何の実績も出していません。経験上、会社の業績とはいくつかのファクターが揃って初めて出るものだと知っているのですが、それが欠けたままでは何の成果も出せない、特別な魔法使いではないことも最後に補足しておきます。