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宅建士試験合格講座 債権総論 > 債務不履行 #2
■ 4 契約の解除
(1) 契約の解除
契約の解除とは、契約当事者の一方の意思表示により契約を解消し、契約をはじめからなかったものとすることをいいます。契約当事者は契約に拘束されるため、契約の解除は、それを正当化する一定の事由が存在する場合に限り、認められるものです。
① 解除権が発生する場合
イ) 約定解除
当事者が契約において、一定の場合に契約を解除することができる旨を定めている場合は、当事者で合意した解除事由が発生したときに、契約を解除することができます。これを約定解除といい、このときに生じる解除権を「約定解除権」といいます。その代表的なものが解約手付による手付解除です。
ロ) 法定解除
法律の規定が契約を解除することができる旨を定めている場合は、法律が定める解除事由が発生したときに、契約を解除することができます。これを法定解除といい、このときに生じる解除権を「法定解除権」といいます。その代表的なものが、債務不履行による契約の解除です。
② 解除権の行使
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(2) 債務不履行による契約の解除
債務者の債務不履行がある場合に、債権者だけが契約に拘束され続けるのは不公平です。そこで、民法は、そのような場合に、債権者が契約を解除することを認めます。これによって、債権者は契約の拘束から解放されるのです。
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債務不履行による契約の解除は、債務不履行となった債務者への責任追及ではなく、債権者を契約の拘束力から解放することが目的であるため、債務不履行があれば、債務者の責めに帰すべき事由の有無を問わず債権者は契約を解除することができる。ただし、債務不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は契約の解除をすることができない。
① 催告による契約の解除
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができます。
ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約を解除することができません。
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② 催告によらない契約の解除
次の場合には、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができます。このような場合は履行ができない(または期待できない)ので、催告をしても無意味だからです。
イ) 債務の全部の履行が不能であるとき。
ロ) 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
ハ) 債務の一部の履行が不能である場合または債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
ニ) 契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
ホ) 上記の場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
(3) 解除の効果
契約が解除されると、はじめから契約はなかったことになるので、未履行の債務は消滅するため、履行する必要がなくなります。そのほかに、次のような効果が生じます。
① 原状回復義務
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負います。この場合に、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならず、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければなりません。これを原状回復義務といいます。
当事者の双方が原状回復義務を負う場合は、同時履行の関係に立ちます。
[事例]
A所有の土地についてAB間で売買契約を締結した後、代金の3分の2の支払と引き換えに土地の引渡しが行われたが、Bが残代金を支払わないのでAがその契約を解除した。この場合、Aは受領済みの代金を、その受領の時からの利息を付けて、Bに返還しなければならず、Bは引き渡しを受けていた土地を、その引渡しを受けたときからの賃料相当額を付けてAに返還しなければならない。この代金返還債務と土地返還債務は同時履行の関係に立つ。
この原状回復義務によって第三者の権利を害することはできません。ただし、解除権者の不利益を最小限にするために、この第三者は対抗要件(不動産の場合は登記)を備えていることが要求されます。
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