宅建士試験合格講座 抵当権(担保物権) > 抵当権の性質・抵当権の効力
第2節 抵当権の性質
■ 1 付従性
抵当権によって担保される債権を被担保債権というが、被担保債権が成立しなければ抵当権も成立しません。また、被担保債権が消滅すれば抵当権も消滅します。
例えば、被担保債権が時効で消滅すると、抵当権も消滅する。この付従性は抵当権が成立する場面ではかなり緩和されている。被担保債権が成立していなくても、それがすでに特定され、いずれ成立することが明らかな場合には、抵当権は有効に成立するとされている。将来、発生する債権のためにも抵当権は成立すると覚えておこう。
■ 2 随伴性
被担保債権が債権譲渡・相続等により移転すると、これに伴って抵当権も移転します。つまり新しい債権者が抵当権者となります。
[事例]
AのBに対する貸金債権を担保するため、B所有地にAの抵当権が設定されていた場合において、債権者Aがこの債権をCに譲渡した。
この場合、Aの抵当権はCに移転し、CのBに対する債権を担保することになる。CはBの新たな債権者であり、抵当権者となる。
■ 3 不可分性
被担保債権の一部が弁済されても、その全額が弁済されるまでは、目的物(不動産)の全部について抵当権の効力が及びます。従って、被担保債権の一部の弁済を受けることができないまま、弁済期限が到来したときは、抵当権者は、抵当不動産の全部について、抵当権を実行し、競売に付すことができます。
■ 4 物上代位性(重要)
抵当権は、抵当不動産が売却された場合の代金、賃貸された場合の賃料、滅失・毀損した場合に生ずる保険金請求権・損害賠償請求権についても効力が及びます。ただし、抵当不動産の所有者が代金等を受領する前に差押えをしなければ行使できません。
[事例]
AのBに対する貸金債権を担保するために、B所有の建物にAの抵当権が設定されていたが、その後、建物が火災で滅失したため、AはBの火災保険金請求権を取得した。この場合、Aは、Bが損害保険会社より火災保険金を受け取る前に、これを差し押さえて、その火災保険金から弁済を受けることができる。
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