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宅建士試験合格講座 債権総論 > 債権の消滅 #2
■ 3 相殺
相殺とは、2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときに、当事者の一方から相手方に対する相殺の意思表示によって、各債務者が、その対当額について、その債務を免れることをいいます。
(1) 相殺することができる場合
① 相殺適状
相殺をするためには、以下のすべての要件を満たしている必要があります。満たしている場合を相殺適状といいます。
イ) 当事者双方が互いに債権を有していること。
ロ) 双方の債権が同種の目的を持つ債権であること。
ハ) 双方の債権の弁済期が到来していること。
ニ) 双方の債権が有効に存在していること。
[事例]
AはBに100万円の貸金債権を有しており、BはAに80万円の代金債権を有している。また、双方の債権の弁済期は到来している。この場合に、Aが相殺を主張すると、Bの代金債権は全額消滅し、Aの金銭債権は同額(100万円のうち80万円分のみ)が消滅し、20万円になる。
また、この場合に、Bのほうから相殺を主張することもできる。
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1. 相殺を主張する場合において、相殺しようとする側の債権を「自働債権」、相殺される側の債権を「受働債権」という。
2. 双方の弁済期が到来していれば、いずれの方からでも相殺を主張することができる。
② 自働債権の弁済期が到来している場合(判例)
自働債権(相殺される側の債務)の弁済期が到来しているときは、受働債権(相殺しようとする側の債務)の弁済期が到来していなくても、相殺を主張することができます。相殺しようとする者は、自分の期限の利益を放棄して、弁済期を早めることができるからです。
それに対して、受働債権(相殺しようとする側の債務)の弁済期が到来していても、自働債権(相殺される側の債務)の弁済期が到来していなければ、相殺を主張することはできません。理由もなく、相手方の期限の利益を奪うことはできないからです。
[事例]
AはBに100万円の貸金債権を有しており、BはAに100万円の代金債権を有している。Aの債務の弁済期は7月1日であり、Bの債務の弁済期が4月1である場合、4月1日以降であれば、7月1日が到来していなくても、Aは期限の利益を放棄して相殺を主張することができる。
この場合に、Bのほうからは、7月1日が到来しないと、相殺を主張することはできない。
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