多様性をチカラにする「対話」と「合意形成」をもっと知りたい!
はじめまして!
HackCamp【合意形成ラボ】研究員のゴウイケイコです。このnoteでは誰もが日常的に体験していながら、知れば知るほど奥の深さを実感する「合意形成」をひたすら考え語ります。
実は世の中は合意形成にあふれている?
突然ですが、みなさんは誰かと何かを話し合って決めること、すなわち「合意形成」に困った経験はありませんか?
大掃除の担当はどうするかとか、学園祭のライブ演目どうするかとか、卒園式後の謝恩会どうするか、新卒採用の企画どうするとか。話し合っても決着しなければ、ジャンケンか多数決ですが、面倒なのはそこに感情が入りこむとき。自分の得意曲が却下された先輩はむくれるし、謝恩会では偶然下座になったママさんに嫌味言われちゃうし、新卒採用の企画なんて結局は上司が独断でGO……。
ああ、合意形成って難しい!
しかし、社会にはもっと合意形成が難しい場面がたくさんあります。被災地復興、スマートシティ、駅前再開発、商店街活性化、マンション管理組合など、どれも関係者全員が賛成する正解はなさそうです。私たちは答えがない“やっかいな問題”に囲まれて暮らしていると言えるのかもしれません。
ビジネスの世界にも100点満点の正解はありません。だからこそ対話や合意形成というプロセスが大切なのだと思います。私たちHackCampは企業の共創・新規事業開発プロジェクト等の支援を通して幾度も合意形成の場に立ち会ってきました。そこではジャンケンや多数決ではない合意形成手法を提案するのですが、そのたびに思います。
合意形成にはもっと大きな可能性があるのではないか。
そんな思いから立ち上げたのが合意形成を研究するためのラボであり、研究の過程や成果を発信するためのメディアです。深淵なる合意形成の世界へようこそ! これからみなさんと一緒に合意形成を考えながら、より良い未来を作っていきたいと思っています。
合意形成ラボのロゴは
合意形成を前向きに進むための力にしていこう
との思いを込めて作成しました。
時代とともに変わりゆく合意形成
合意形成という言葉はそもそも公共分野で使われてきました。道路やダムなどの大規模開発、ごみ処理施設や火葬場の建設、県庁や市役所の移転といった公共事業は税金を投じる以上、地域住民の合意が必要です。
難しいのは、総論では概ねよくても、立地や予算などの各論になると異論反論オブジェクション!になるところ。でも、自宅横にごみ処理施設の建設計画が浮上した人が簡単に賛成できない気持ちはなんとなく想像できます。それでも域内のどこかに造らなければならない施設ならば、行政としては合意の道を探るほかありません。
一方、投票で決する政策もあります。昨年11月、「大阪都構想」の2度目の住民投票が行われました。推進派は10年前からビジョンを語り続けましたが、住民投票では僅差で否決、府民の合意を得ることはできませんでした。
こうした事例を見ると「合意形成=限りなく全員一致を目指す多数決(投票)」のように見えますが、最近は変化があるように感じています。たとえば、対話(ダイアログ)やワールドカフェのような双方向性の場が増えていて、全員一致の正解がないテーマこそ、みんなで意見交換をしよう、多様な意見に触れて理解を深めよう、という流れが生まれているように思うのです(そうあってほしい、という願望かもしれませんが)。
また、ITの進化も公共の意思決定を変え始めています。台湾ではデジタル担当大臣オードリー・タン氏が独自プラットフォーム「vTaiwan」を活用し、民衆のアイデアを可視化して単なる多数決ではない合意形成の在り方を模索しているそうです(vTaiwanについては後日、詳しくレポートする予定なので、お楽しみに)。
VUCAを照らすたいまつを手に入れよう
ここで質問です。先行きが見えない真っ暗な洞窟を歩くとき、1つだけアイテムを使うとしたら、次のうち何を選びますか?
ここはもう迷わず「たいまつ」一択ですよね。「やくそう」「せいすい」で回復しても状況は変わらないし、「キメラのつばさ」でどこかへ飛んで行ってしまったら洞窟の中を探検することができません。たいまつは昼日中のように全体を見ることはできなくても、足元や周囲を照らすことができ、新たな一歩を踏み出す勇気の源になります。
合意形成をどう解釈するか、いろいろな意見があると思いますが、私は先行きが見えない時代に灯す「たいまつ」のようなものではないかと思っています。たいまつは進むべき道を探す助けになるし、チームの仲間にとっても共に進むための道標になるからです。
特にいまはVUCA時代。いままでのロジックやセオリーが通用せず、新しい価値を創出するために誰もが迷い戸惑っています。さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的流行で人々のライフスタイルもワークスタイルも、価値観さえも変化しつつあり、絶対的な正解や全員一致の答えはどこにもありません。そんな時代だからこそ、進むべき方向を見出すための「たいまつ」が必要であり、その「たいまつ」は自分たちの手で灯す(合意形成する)ことが大切なのだと思います。
ビジネスの合意形成は公共分野のように多数決は行いませんし、全員一致も目指しません。合意することが目的ではなく、合意形成を通してビジネスを前進させることが目的だからです。そのためには参加者全員が自分の意見を言えることと、その意見が何かしらのカタチで合意形成に反映されること、そしてそれぞれが自分事化して受け止めることが、ビジネスを前進させる要件だと言えます。
「では、このプランから進めていきましょう」
「私のチームではここから始めますね!」
「さっきまでAかBで迷っていたんですが、クリアになりました」
こんな風に次のアクションにつながることが、あるべき合意形成の姿だと思うのです。
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