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上昇気流を捉える12


背景

前回からの続き
初参加の大会から2023年までの大会で入手できた飛行データを使用してよりよく飛ぶためのヒントを探している

目的

 どんな時でも高く遠く飛びたいが、概ねうまくゆかない行かない。コンディションも同様でグライダーもまちまちある中で結果に差が出るので、何かコツがあるに違いないと思い、まずは上手なパイロットの話を集めて真似して見たりする。上手い人の話は感覚的な内容はなく、頭の中に明確に理論モデルが出来上がっているように思えるので、正しくトレースできれば結果が出そうなものだが、どうも結果が判然としない。
 そこで、上手い人と自分のデータを比較することで定量的に飛び方のヒントを得ることができないか?というところから試行錯誤を開始。
 前回は数値変数だけ使用してクラスタリングをやって見たがどうもぼやけているのでカテゴリ変数も加えてクラスタリングや分析を進めてみる

データ収集・整形

基本的には前回と同じ。以下の項目を新規追加

  • spd_ratio: 旋回時平均速度と飛行平均速度の比率(飛行全体の平均速度と旋回中の飛行速度の比)

  • ctr_ratio: 単位飛行時間あたりのセンタリング回数(どのくらい頻繁にセンタリングを行っているかを表現する指標)

上記で作成した指標含め、すべての数値項目は標準化した。
それ以外はカテゴリ変数なしの時と同様の手順で進める。

相関係数

まずは数値変数のみの相関係数。

全ての数値変数の相関係数

カテゴリ変数なしの時と同様に相関が高い変数が存在するので、VIFと変数の意味を勘案しながら変数を削ってゆく。

使用する数値変数の相関係数

相関の高い変数として旋回時平均直径と旋回時回転時間(平均)が残っているが、個別にみると早くて直径が小さい人と遅くて直径が小さい人で異なるクラスタになってくれやしないか?とも思うのであえて残しておく
カテゴリ変数についても同様に相関を確認する

全てのカテゴリ変数の相関係数

wing(機種)とpara_class(クラス)の相関が高いのは想像通り。機種が決まればクラスは決まるので種別の方を削除する(クラスに複数の機種が含まれるので機種を残して情報量を多く保つ)

使用する数値変数とカテゴリ変数の相関係数

そしてカテゴリ変数と数値変数の相関係数の確認。機種と旋回時回転時間と旋回時平均直径の相関係数が特に高い(濃いめの赤で0.74となっている)。一方でクラスと相関係数が高い数値変数はない。今回はデータが取れなかった機体の大きさも入れると読み取れることが増えたかもしれないが、取得できないので次回以降、方法を検討することとしてクラスタリングに移る。

クラスタリング(カテゴリ変数あり)

クラスタ数毎のコストの変化

エルボー法で指定するクラスタ数を決めようと思ったものの、目検ではどうもパキッとした感じの差が出てこなかったのと、10を超えるクラスタを出されても後で解釈が難しくなるばかりと予想されるので、まずはクラスタ数を8にして実行してみる。
数値で最適なクラスタ数を出す方法もあるので、次やるときはその方法も試してみたい。

クラスタ数8の時の変数間の組み合わせ毎の散布図

実施した結果を変数の組み合わせ毎に散布図にして出力。ぱっと見どれも色が集中していて綺麗に別れてくれていない。その中でも後から追加したspd_ratioとctr_ratioの組み合わせは全体に広がっていて見やすそうなので、以降はこの組み合わせで見てゆく。


クラスタリング結果をspd_ratio,ctr_ratioの軸で散布図に描画 1

なんとなく傾向が分けれる気がするので大雑把に括ってみる


クラスタリング結果をspd_ratio,ctr_ratioの軸で散布図に描画 2

クラスタ毎にある程度距離を持って別れていると分けやすいのだけれども、今回はクラスタの色を見て図のように境界線を引いてみる。
それぞれの説明は以下な感じ

  • ctr_ratioに特徴はないがspd_ratioが高めなので通常時と旋回時の速度にあまり差がないグラフ上部のグループ(クラスタ3,4,6)

  • spd_ratioにあまり特徴は若干低め、またctr_ratioは明確に低めで単位時間あたりの旋回数があまり多くないグラフ左下のグループ(クラスタ1、2、7)

  • 単位時間あたりのセンタリグ回数が多く、通常時と旋回時のスピード差が大きいグラフ右下のグループ(クラスタ5のデータが多く含まれるが、このクラスタは他のグループにもそこそこ存在する)

さらにデータを見る

そうなんだが、、で、どうするといった展開が組み立てにくいので、端的に各大会で4位以上だったデータのみをプロットして傾向を見てみる。これで特定クラスタに集中していると今後の指針が立てやすい。

4位以上のデータのみの散布図

クラスタはともかくデータとしては気持ち左、左上に多く存在しているように見える。そうなると自分はどこにいるか気になるのが人情というもので、、

自分のデータだけの散布図

明らかに飛行時と旋回時のスピードの変化が少ない。単位時間あたりのセンタリング回数は平均ぐらいか平均よりちょっと少ない。
自分ではサーマル捉えるためにしっかりバンクかけて回そうとしていたので、速度もそれなりに落ちているような体感だったがもっとゆっくり回して良いということか?標準化した値だと実感を持ちにくいので、素の値でグラフを描画してみる。

左:4位以上 右:自分 どちらも飛行速度(Y軸)と飛行/旋回の速度比(X軸)

自分の速度は12m /s強ぐらいで4位以内のデータと比較すると若干遅く、速度比は1.0前後。一方、4位以内のデータを見ると12m /s以上が多く、速度比も1.0未満が多いので旋回時は速度を落としている。落としている結果の速度は結構近いかもしれないが、その差が大きいということかもしれない。

左:4位以内 右:自分 旋回直径(Y軸)と飛行速度(X軸)

スピードが落ちていないことは旋回直径に表れており、4位以下のデータは直径80m未満がほとんどで70m以下のデータの複数存在する。集めたデータだけで見ると直径で10mぐらい小さく回すことを心がけねば、ということになる。自分のデータを見ると直径80mを12m/sぐらいで回っているので21秒ぐらいで一周回っている計算。そんな感じかもしれない。速度を変えずに直径を70mにする場合、18秒強ぐらいで一周まわる計算となるが、その場合今よりもバンクをキツくする必要があることになる。一方、21秒で70m直径を飛ぶ場合10m /sで飛ぶ計算になり、速度比は0.8になり結構な急減速になる。どちらもそのまま実行すると怖い感じなので、今後飛ぶ際にはこの中間あたりを目指せ!ということと理解。

左:機種毎の飛行/旋回時速度比 右:機体毎の平均飛行速度

機体毎の特徴は気になるもののデータ数が限定的で、一人しか使用していない機体が結構あるので、使用者が3名以上いる機体(Alpina3,4など複数世代あるものはAlpinaのように機種として集計)でデータを比べてみた。想像通りPhotonの平均速度が一番速い(右図 右から三つ目)。そして、Photonの速度比が一番小さい(左図 一番激しく減速している)。やはりそうなるよね、と激しく納得勘がある。

左:機種毎の旋回直径 右:機種毎の旋回毎の平均上昇幅

旋回あたりの上昇幅(右図)でArtikとChiliがずば抜けているが、そのほかはあまりいうほど変わらない。ArtikとChiliは他と比べて2倍ぐらい浮きが良いことになるが、そんなことはないと思うので特異なデータが混ざっているに違いない、、と思う、、もう少し情報集めて本当に浮きが良いようであれば次に買う機体にしよう。
 激しく減速したとしてもPhotonの旋回直径が一番大きいのは納得勘がある(左図)。そんなかRush、Voltの旋回直径の小ささは気になる。RushはともかくVoltもなのか、、VoltはArtik,Chiliを除くと上昇率も高めじゃないか、、けどCクラスかぁ、、と買う予定ないのにさらに迷い始める(笑)

用意したデータの機種毎の旋回時上昇幅が上図。一人しか使っていない機体もあるので機体差/個人差は判別できないのと異常値の除外をしていないのでえらく目立つ期待があるものの、旋回あたりの上昇幅は大体5m強ぐらいからで1から2mぐらいの差(一周して下の位置に戻ってきた時に高い人のお尻が自分とキャノピーの間より自分よりぐらい)。5周回すと完全にキャノピーの上に行ってしまう感じか。

まとめ

  • 自分が思ったよりもサーマル入った時減速していない

  • 上手い人の旋回直径は10mぐらい小さいので、減速・バンク角をもっと調整して小さく回す方法を試行する

  • サーマル入ってからの上昇幅に機種毎の差はあるもののきっとなんとかなる

  • ここまで数値を正規化したり標準化したりしてクラスタリングを実施したもののあまりわかりやすい傾向を捉えることはできなかった、、

  • 最終的には素の値で見た方が実感を持って傾向を把握しやすい

  • 正規化や標準化は最初の一手で見るべきところのあたりをつけるところで使用し、解釈は素の値を見てやるのがわかりやすい。クラスタリング(教師なし学習)は一度やって見て傾向でなければ捨てるぐらいの軽さで扱う(あまり期待できない)

というわけで、飛行速度と旋回時の速度の比率と旋回直径をリアルタイムで見れるか聞こえるようにしたい!

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