出産直後とNICUの思い出
息子は生まれてすぐNICUに入院した。
最初は一過性多呼吸の疑いと言われたが、
レントゲンを撮ると肺の辺りが黒く写り
自然気胸だと言われた。
何らかの原因で肺から空気が漏れている状態だと。
自然に治ることも多いらしく、
結果的に自然に塞がり、10日で退院となった。
息子の出産には64時間かかった。
陣痛が2日ほど続いて
分娩時も子宮口がほぼ全開の状態で陣痛が弱まり、
促進剤を使って6時間ほどいきんで産んだ。
当然私は痔になった。
出産直後、処置台のようなものに息子は乗せられて、体重やらを計られていた。
周りには助産師さんや医師が居て、会陰切開したところを縫ってくれたり、胎盤の処理をしてくれていた。
処置台の息子のほうから「呼吸が少し気になるかな、生まれたばかりだからかな」という会話が聞こえてきて
私も呼吸するの初めてだもんなぁ、ぐらいに思っていた。
結局その後、息子はNICUに入院となり、
病室で助産師さんに
「呼吸が気になるからNICUで様子を見ますね。今はまだナースステーションにいるから、会いに行きませんか?」と言われ、
最後に「お母さんの気持ちは?メンタルは大丈夫?」と聞いてくれた。
正直不安もあったが、大部屋に入院していたこともあり、
他の方に会話が聞こえている事を気にして
大丈夫です、とだけ言った。
ナースステーションに行くと、
保育器の中に息子は入っており、中に酸素が流されていた。
すやすや眠る息子は、苦しそうでもなく、
すぐに一緒に過ごせると思っていた。
入院時の私のスケジュールは
朝起きたら自販機まで水を買いに行って、
午前中にシャワーを浴びる。
午後からは面会が3回ほどあるので、時間に合わせてNICUに行く。
そしてその合間、3時間おきに搾乳をする。
というのが日課だった。
搾乳は最初は注射器のようなものに
滲んでくる母乳を取るだけだったが、
3日もすると胸が張り、しこりのようなものが出来て、
母乳量が一気に増えた。
注射器では追いつかず、手しぼりでコップに溜めて、母乳パックに移して冷凍し、
NICUの面会時に持っていった。
そのうち手での搾乳も追いつかなくなり、胸が痛み出した。
パンパンに張った胸は赤ちゃんも嫌がった。
面会時に授乳をしていたが、吸いつきにくくて怒ってしまうこともあった。
退院が近くなる頃には、電動の搾乳器を借りていた。
搾乳後、しばらくするとちくちくちくと胸が痛み、母乳を作っていた。
飲んでくれる息子がすぐ近くにいないのに、母乳量だけ増えていくのも虚しかった。
退院時に手動の搾乳器を買って帰って、
3時間おきに家でも搾乳し冷凍を続けた。
そして面会時に持っていった。
息子は呼吸に問題があったとは思えないほどの声量で泣いた。
NICUに居ても他の子より声が大きいように聞こえた。
無事退院となり、その後の経過観察でも問題なく過ごしている。
そんな息子も生後8ヶ月になり、
今日も元気につかまり立ちの日々を送っている。