忘れられない記憶
忘れられない記憶がたくさんある。
毎朝のおはようのスタンプ、夜の電話、電話の第一声は決まって「こんばんは〜」だったこと、お揃いで誕生日にくれたフレッドペリーのポロシャツ、春の夕暮れに外でスタバを飲んだこと、似合うと言ってくれたスカート、たまたまお揃いだったスニーカー…数えられないくらいたくさん忘れられない記憶と物がある。
スタバのモバイルオーダーの履歴には元恋人と買った履歴が残っているし、電車の乗り換え履歴には元恋人とデートした駅名が残ってるし、よく使う駅に元恋人の最寄りが追加されているし、Googleマップには元恋人の家の周りの飲食店にたくさんのピンが立っているしウーバーイーツの配達場所は元恋人の家だ。
それらは忘れていた頃にふと出てきて、もう必要ないとひとつひとつ削除する。
最後に一緒に観た映画は話題作だったため、度々どうだった?なんて話題にあがる。
元恋人は猫が悪者として扱われてることに腹を立てていたなぁなんて会社の人と感想を話しながら思い出してまた心が痛んで泣きたくなる。
データフォルダには、私が食べ物の写真を撮るのが下手で美味しそうに撮れないと笑いながら撮ったご飯とその向かい側に元恋人が写った写真が沢山ある。
忘れられない思い出や忘れた頃に蘇る記憶はいつになったら幸せな良い思い出になるのか。
今はまだ辛い思い出だ。
姿が見えなくなるまで見送ってくれた駅の長いエスカレーター。
夜、お酒を片手に公園を散歩して酔っ払い、腕時計をつけたままシャワーを浴びて笑ったこと。
夏の涼しくなった夜、レンタサイクルでたこ焼きを買いに行ったこと。
当たり前に元恋人との冬がくると思ってたことがすごく悲しくて悲しくて泣きそうになるのを堪えると喉の奥がぐっと詰まる。
こうやって文にしている今もまだまだたくさんの思い出が蘇りどうしようもない気持ちになる。
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