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俺じゃなかったら死人が出たね

唯一ぶっ殺してやろうかと思った人をふと思い出したのでここで供養する。


寿司屋で働いているとき、忘年会シーズンに6人組の会社員が来店されてきた。

スペシャルコースも半ばで新人っぽい人が「おしぼり換えて貰えますか?」と
もちろん構いませんよ、と了解して6人分のおしぼりを交換。
部長らしき人が新人君に「おっ、気が利くなぁ」と一言

これに嬉しくなったのか、新人君は5分に1回「おしぼり換えて貰えますか」と言うようになった。

「おしぼり換えて貰えますか」(2回目)
「(えっ?もう?)あ、はい。わかりました」

「おしぼり換えて貰えますか」(3回目)
「(嘘だろ…)はい、わかりました」

「おしぼり換えて貰えますか」(4回目)
「(うち、キャバクラじゃないんだけど…)はい、わかりました」

「おしぼり換えて貰えますか」(5回目)
「(死死死死死死死死死死死死死死死死死)」

…ちなみに当時は布のおしぼりでそれなりに費用もかかってたし、忘年会シーズンで外が寒いので熱々のおしぼりを出すように心がけていたのに全部パーになった。

4回目くらいで全然汚れてないおしぼりを回収ボックスに入れるのは心が折れると思ったので、前まで使われていたおしぼりはわざと回収せずに机に置いておいた。
部長らしき人が机の片隅でおしぼりで山盛りになってると気づいたのは8回目に新人君が「おしぼり貰えますか」と言った時だった。

「ちょっwwwなにこれwwwwww」
デザートどころか会計も終わってまったりと雑談しているのに、未だにおしぼりの波状攻撃が来る異常事態にようやく部長が気付き、軽く叱る程度で(こんなにおしぼり頼んでどうすんねん、アホ)ゾロゾロと帰っていった。

あの時に新人君が「おしぼり換えて貰えますか」と言うときのドヤ顔と(俺、気が利くでしょ)が含んだイントネーションは普通の店であれば死人が出たはずである。


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