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Préparation【S-3】 お庭と木と暮らし  

先のイントロダクションでも示した通り、下記の3つの項目について書き溜めていく。
【S(aggese)】今後も残したい習慣、風俗、風習、あちこちのお母さんやお父さん達から聞いた生活の知恵をエピソードと共に残す
【S(ante et )B(eaute)】食養やセルフケアに関する情報をまとめる
【N(ouveau)】起業に関するアイデアの素

お庭と暮らし。−果実のなる木、花の咲く木−
 N家のお祖母様のエピソードの続き。
 季節になると旬の果実を果実酒などに加工されたそうだ。こちらのお宅では、ご自宅のお庭に植わっていた梅の木の実を使って梅酒をつけておられたとのことで、子供は梅酒は飲ませてもらえないが、漬かった実をもらったのだとか。地域問わず、どこの家庭も同じなんだな。杏の季節には、隣の土地に生えていた杏の木から実をもいできて、杏酒の砂糖漬けを作られたり。東京で杏が育つんだなぁ・・。基本的にヒマラヤの麓や、日本では長野や青森といった涼しい地域の植物かと思っていたが、トルコでも採れるのだとか。そう考えると東京で育つというのも理解できる。他にも紫蘇とか。

 ご自分でもクロモジを植えたのだそう。クロモジの薬効利用を期待したのかも?元々の性格もあるだろうが、幼少の頃から木や草花が身近にあるおばあちゃまとの生活があったからこそ今でも自然に植物を愛でるのかもしれない。このような数世代が同居して暮らす文化は、アジア文化の美しい点の一つだと思う。

ークロモジ脱線話1ー
 クロモジは烏樟(うしょう)とも呼ばれ、いわゆる中国医学の生薬ではないが、漢方薬として利用されてきた歴史があるそうだ。消炎、鎮咳、去痰作用の他に、インフルエンザ感染抑制(ヒトでの臨床研究結果あり)、寧心作用もあるとのこと。養命酒の研究所がかなり昔から研究しているようで、昨年はクロモジの飴が市販された。報告論文を読んでいるとエキス剤を作る時と同様の手法を使っており、細かく砕いた枝や幹を90度の水で60分煮詰めた後、吸引乾燥して得られた粉末状のものを研究に利用している。恐らく、家庭でも煎じ薬として利用可能なのだろうが、細かく砕く作業と、90度60分の維持が結構なハードルになるように感じる。自動煎じ器があれば、煎じ作業はそう大変でも無いかもしれないが。
初春に青森の森の手入れを生業としている方が大量にクロモジの枝を切っていらした。幹も枝も太くならないから、大量に必要なのだと思う。某薬科大の先生がそれに対してお礼を言われていたので、薬物利用するための採取だったのだなと今になって思う。(9月4日追記)8月にどこかの会社の方が、クロモジを引き取りに来られたとツイートしていた。さて、どう使われるのか楽しみである。

トップの写真は黒文字の花。学芸大学の(旧)学芸の森プロジェクトさんのサイトから勝手にお借りしました(汗)。

 自分の祖父母(母方)の家の庭は実のなる木どころか完全に観賞用だった上、同居ではなかったため知らないだけかもしれないが、祖母が果実酒をつけていた記憶も無い。母方の曽祖父は、香川の栗林公園の庭師チームの親方だったそうで、祖母のいける花も抜群にセンスが良かった。こういうのDNAなんだろうな。母にも、私にも受け継がれなかったけど(笑)。
私の父母は昭和47年に大阪から福井に戻り、実家とは離れた場所に家を建てたが、庭には果実のなる木はなく、杉(?)、山桜、紫陽花、ツツジなど、花の咲く植物が多かった(何という木だったかは知らない)。自分の育った家の環境に習うのだろうなという気がする。ただ、母は梅酒を漬けたし、梅干しもつけていた。で、やはり子供には梅酒は飲ませてもらえず、1回につき1つ梅の実をもらうのだけれど、それでは満足できず隠れて沢山食べては酔っ払ったっけ。

 アルコールが苦手なのと、アルコール飲料は飲むタイミングを選ぶので、自作するのは梅酒ではなくシロップが殆ど。スパイス梅酒というのを数年前に知り、それからはいろんなものを一緒に漬け込んでいるのだが、良い感じにレシピ(と言えるほどの代物でもないが)が出来上がってきた。2023年作は、お酒でも無いのにロックが合う大人の味に仕上がった。
 漬け込む材料から成分抽出をするために、それらをアルコールに1か月以上漬け込んでから後でシロップに混ぜている。あまりアルコール濃度が上がらない様にとチンキの割合を極力下げる様にしたが、水や炭酸水などで薄めて飲むなら10%アルコール濃度で調整してもほぼアルコールなしと見做していいのかもしれないと書いていて思うなど(5倍希釈で飲むとして、最終濃度は2%アルコールだもの)。

 ークロモジ脱線話 2ー
 クロモジついで、というか、興味深く思っていた昔の歯磨きについて、ついでに書いておこう。(写真1、2)
 材料は竹だけかと思っていたが、柳やクロモジ他も歯ブラシにしていたようだ。というか、お釈迦さまの時代のインドに竹があったのかも知らないし、この木は良い効能があるという知識があったところで、それが近くに生えているとも限らず、加工しやすい身近な木はなんでも使っていたのだろう。茹でて、叩いて、ふさ状にしたのだとか。噛んで潰したと言う記載も見られる。これら木の歯ブラシは江戸時代前の話なので、昭和の時代は今と同じ形の歯ブラシが使われているし、木の歯ブラシの名残としては楊枝としての活用のみである。まだ和服が日常着だった頃は、自分の楊枝は掛け衿のところに入れ、そこから出し入れして使っていたようだ。以前購入した古着の着物の襟にも楊枝が入っていて感動したことがある(未使用っぽかったので、ちょっとホッとした。)。現代の楊枝は、お茶席で使うもの以外はほとんど使い捨てではなかろうか。
暇があったら木の歯ブラシを作ってみたい。

写真1 歯磨きする女性
写真2 カワヤナギの歯ブラシ


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