【往復書簡エッセイ No.25】理想の葬儀はどんなもの?
レラちゃん、こんにちは!
ご両親にとって、2つの旅に触発されることが多々あったことでしょうね。特にお父さんが前向きになられたのは嬉しいね。旅に行けるときに行っておくのは、ホント大事だと思います。
うちの親はもう旅行は難しいだろうと思ってましたが、図らずも足の悪い母を連れて遠出することになりました。その訳は……
理想の葬儀はどんなもの?
昨年2月に脳梗塞で倒れ入院していた叔母が旅立った。母の4歳下の妹である。高齢の母を連れて遠方の葬儀に参列してきた。
コロナ禍を経てのスタイルなのか、お通夜はなく葬儀のみ。参列者は故人の兄弟(義理含む)とその家族で、一般の方々は数名ほど。親しい者たちだけでゆっくりとお別れする余裕があり、心に残る式だった。
遠からず自分たちが直面することでもある。お葬式の具体的なイメージが湧いたこの機に、両親の希望を聞き取っておきたいと思った。
先日ついに認知症と診断された父は、義妹である故人のことを忘れてしまったと言う。たしかにこの20年ほどは直接会うことがほとんどなかったが、私が幼いころ、まだ独身だった叔母も一緒に家族旅行に同行することもあったのだが……。
記憶を取りこぼしていく年の取り方と、脳梗塞となり自分の意思を自由自在に表現できなくなって病院のベッドで過ごすのと、それぞれに違う切なさがある。ただ、どちらも健康寿命が実際の寿命よりも早く来たという意味では大差ないとも言える。
親の衰えを見ていると、いかに健康でい続けられるかが肝要だと改めて感じる。それが私の運動のモチベーションになっている。
叔母の葬儀では、家族(娘と孫息子)が追悼の意を込めてフルートとピアノの合奏をした。音楽はすーっと心に入ってきて私の気持ちを揺さぶった。今でもふとした瞬間に、やわらかい調べが頭の中によみがえる。
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