本の散歩 53/69@太田区 洗足池

画像1 『ダック・コール』稲見一良。珠玉のハードボイルドである。大人向けのジュブナイルのようでもある。野鳥を軸に六つの短篇が紡がれる。幻想のようで登場する人物たちは凄まじくリアル。第一話「望遠」はCMの撮影助手の物語。稲見氏自身がCMや記録映画のプロデューサーだったこともあり描写が精緻。さる場面を迎えた際の主人公の心理が手に取るようにスリリング。かつてSF・ミステリーの評論家でもあった石上三登志氏にわたしの好きなハードボイルドとして本書を挙げたら、稲見氏は親友だったよと逸話を聞かせて頂いた。ウルウルして聞いた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?