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とにかくにげだしたい

 会社の倒産が発表されてから、まだ1か月もたっていない上に転職活動も1か月も経っていないのにもかかわらず、もうやめたいという思いがある。もうやめたい、というのは何もかもを放りだして逃げてしまいたい、というのももちろんあるのだが、そうではなく安定した場所に辿りつきたいというのがいちばん強くある。つまり、この現状から抜け出したい。


 もう、やめたい。やめてほしい。新卒の就活活動ときとは違う焦燥感が確かにそこに存在している。学生時代の、自分は酷く傲慢で自尊心が高く根拠も何もない絶対的な自信があった。そんなものを何故持てたのか、社会人となって短い期間ながらも仕事をしていた中でわからなくなってしまった。わからない、というより自分の自分に対する理想と評価、現実の乖離が狭まったともいえる。馬鹿みたいに高い自尊心は削られて周りが見えるようになったのはありがたいけれど、あの頃の自分はなんでもできる、とおもっていた。し、本気で信じていたからこそ「こうしてみたいんですけど」なんて提案できたりもした。けれども。
 なんでも、どころかなにもできないのだ。もっと丁寧に素早く作業をこなせる人がいて、もっとその分野に造詣の深い人がいて、自分じゃ足元にも及ばなくて。給料をもらっている以上、きちんと成果を出したいと思って励むけれど、どうしたって理想には程遠いし、今の自分が企業に胸を張って「これができる」「これがしたい」と言えるものはなくなった。

なにがしたいのか、何がしたくないのか。
なにができるのか、なにをできるようになりたいのか。
どうしてそうおもったのか、どうしてその結論に至ったのか。

 書類が通って面接の機会を設けてもらっているのに、自分が何かうそをついているような気になってくる。うそがこわい。自分が何を好きなのかわからないし、何が嫌いなのかわからない。ハローワークの方に「どんな業種・分野がいいの?」ときかれても「わからない」としかかえせない。ぼくの、すきなものってなんだっけ。わからないし、ぬけだしたい。とにかく今できることをやって気を紛らわせたい。

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五月
もう、よくわかりませんが生きています