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がん、ADHD、内分泌かく乱作用につながるプラスチック

 プラスチックは間違いなく、これまで存在した中で最も便利な素材です。 低コストで製造が容易なこともあって、プラスチックは社会全体のゴミ問題第1位にもなっています。
 残念なことに、問題なのは埋立地に堆積しているプラスチックだけではありません。 世界中の科学的研究が、マイクロプラスチックが人間や動物に蓄積していることを証明しており、120の研究を総括した新しい報告書は、それが乳幼児にとってどれほど危険な可能性があるかを示しています。 もちろん、プラスチックがもたらす健康被害は大人にも影響を及ぼしているは言うまでもありません。
 
 マイクロプラスチックが人体に蓄積する時間が長ければ長いほど、人体に与えるダメージは大きくなります。 以下にプラスチックが幼い子どもたちにどれほどのダメージを与えるかを見てみましょう。

●プラスチックが子どもたちに及ぼす健康リスク
 プラスチックは、観光客が残したゴミとしてエベレストの山頂や海の最も低い海溝で見つかっています。 最近の研究では、マイクロプラスチックが雲に含まれる雨水中に残留していることも証明されています。マイクロプラスチックという概念が初めて発見されたとき、私たちの細胞内にどれだけの量が蓄積しているのかを調べましたが、 結果は恐ろしいもので、プラスチックの蓄積は身体のあらゆるシステムにダメージを与える可能性があるのです。

 フタル酸エステル類とBPAは、ある種のプラスチックに使用される化学物質で、通常は使い捨てのコップやその他の使い捨ての便利グッズに使用されています。 これら2つの化学物質は、小児がん、特に骨がんやリンパ腫と最も密接な関係があります。 また、ADHDから代謝障害に至るまで内分泌かく乱作用全般にも関与しています。ただしフタル酸エステルやBPAは、一部のプラスチック製品では廃止されつつあります。

●赤ちゃんがプラスチックの危険にさらされる理由
 マイクロプラスチックが蓄積して引き起こすダメージは、身体が小さく、まだ発育途中である子どもにおいて特に問題となります。 子どもの細胞分裂と成長のスピードは速いため、細胞へのダメージはより危険で、がんにつながりやすくなるからです。

 子どもへの影響は生まれた瞬間から、実際には生まれる前から始まっているのです。 研究によると、妊娠中の母親の胎盤にはかなりの量のマイクロプラスチックが含まれており、それが子どもに受け継がれることが確認されています。 赤ちゃんはペットボトルで飲み、プラスチックのおしゃぶりを吸います。 つまり、小さなプラスチックのおもちゃは、歯が生え始めた幼児が噛むたびにマイクロプラスチックを排出しているのです。

● ADHDからガンまで、リスクは現実のものとなる
 2,000例以上の小児がん症例を網羅した包括的な調査において、プラスチックによく使用される化学物質であるフタル酸エステルへの曝露が、懸念すべき傾向を明らかにしています。 調査では、この化学物質が小児がん全体の発生率を20%高めることに関連していることがわかっています。
さらにフタル酸エステル類は、骨ガンの発生率を約3倍、血液ガンの一種であるリンパ腫の発生率を約2倍高めます。 これらの調査結果によって、小児がんの発症は、化学物質による潜在的な影響が関係していることが明らかにされました。

 ある種の自閉症スペクトラム障害やADHDも、多量のプラスチックに晒されることと関連しています。 これはプラスチックがドーパミンのような神経伝達物質や、集中力や注意力の鍵となるホルモンを混乱させるからではないか、という研究結果もあります。

●プラスチックから家族を守る
 家族の生活からプラスチックを100%なくそうとするのは重要ですが、おそらく不可能でしょう。 現在、あまりにも多くのものがプラスチックで作られているため、すべての製品を自分で作らない限り、完全にプラスチックを避けることは極めて難しいと言えます。しかし、プラスチックにさらされる程度を減らすためにできることはいくつかあります。

 哺乳瓶をBPAとフタル酸エステルを含まないものにすることは、子どもたちがプラスチックにさらされる最大の原因を断つための、シンプルで費用対効果の高い対策です。また、おもちゃは木製のものを選ぶようにしましょう。さらにお皿やグラスに天然素材や布を選び、プラスチック製のものを温めるのは避けましょう。マイクロプラスチックが移動しやすくなるからです。

 最後に、天然の洗剤や石けんを使うのも良いでしょう。洗濯用品、特に洗濯物に入れる小さな香り付けのボールは、マイクロプラスチックの発生源になる可能性があるからです。
 

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