腎臓病に有効な4つの栄養素
慢性腎臓病は、腎臓が老廃物を適切に濾過できないために体内に蓄積する病気で、現在3000万人のアメリカ人が罹患しています。特に高齢者では命にかかわるリスクが高く、今後10年間でさらに増えると予想されています。しかし、 CoQ10、ビタミンB群、ビタミンE、リポ酸の4つの栄養素は、腎臓病のリスクを最小限に抑えるための安全で低コストかつ効果的な栄養素として注目を浴びています。
●心臓病で死亡するリスクを高める慢性腎臓病
腎臓は、1日あたり200クォート(約190リットル)という驚異的な量の血液を濾過し、高濃度の毒素にさらされるため、大きな酸化ストレスを受けやすくなっています。慢性腎臓病(CKD)(慢性腎不全とも呼ばれる)は、時間が経つにつれて不可逆的な末期腎臓病に進行する可能性があります。末期腎臓病では、クレアチニン、尿素、窒素などの有毒な老廃物の蓄積により、重要な臓器の収縮と機能障害が引き起こされます。腎臓移植や透析治療を受けない場合、末期の腎臓病は致命傷になります。
慢性腎臓病は心血管系にも壊滅的な影響を及ぼす可能性があり、研究ではCKD により心臓病による死亡リスクが 30 倍に増加すると報告されています。
●コエンザイムQ10は患者の80%以上で腎臓病の進行を遅らせた
CoQ10 は、体内の自然な抗酸化能力を高め、フリーラジカルを中和します。老化と腎臓病の発症の両方により、CoQ10 レベルが低下し、血液中の脂肪が酸化ダメージを受けやすくなり、腎臓への負担が増加します。最近の厳密な研究では、末期腎不全の場合でも CoQ10 サプリメントが効果をもたらすことが示されています。
Nutritional and Environmental Medicineに掲載されたプラセボ対照臨床試験では、慢性腎不全の患者97名が2つのグループに分けられ、1日180 mgのCoQ10またはプラセボが12週間投与されました。研究者らは、CoQ10 の補給により、患者の 81 パーセントで末期腎疾患の進行が軽減、あるいは逆転したことを発見しました。CoQ10グループでは、透析患者の数が21人から12人に減少し、クレアチニンと血中尿素窒素のレベルも大幅に低下しました。言い換えれば、透析を受けていた CoQ10 投与患者の半数は、研究終了までに透析を中止することができたのです。対照的に、プラセボ群では腎機能が悪化し、透析を中止できた患者は1人もいませんでした。研究者らはまた、有益なベータカロチンとビタミンDとEの濃度が大幅に上昇した一方で、有毒な老廃物であるマロンジアルデヒドの濃度は劇的に低下したと指摘しています。
●ピリドキサミンやピリドキサールなどのビタミンB群は腎臓を保護する
ピリドキサミンの形態をとるビタミンB6は、脂肪の酸化中に形成される有害な分子を捕捉して除去するのに役立ちます。研究により、この栄養素は有害な終末糖化産物 (AGEs) の形成と戦うことで腎臓を保護することがわかっています。
ある画期的な動物実験で、研究者らは、クレアチニン値を下げるのにピリドキサミンが医薬品のエナラプリルより効果的であることを発見しました。(2番目と3番目に効果的な治療法はビタミンEとリポ酸で、処方薬は最下位でした)。人間を対象とした研究でも、ビタミンB6の有効性が裏付けられています。
二重盲検プラセボ対照試験では、尿中にタンパク質が検出された糖尿病患者317人が1年間、1日2回ピリドキサミンを摂取してもらったところ、クレアチニン値の上昇と腎臓病の進行に対して、(特に初期段階で)遅らせるのに効果的であったという結果が出でいます。
●ビタミンEは糖尿病患者の腎機能を高めることができる
研究により、ビタミンEの強力な抗酸化作用と抗炎症作用が腎機能の改善に役立つことがわかっています。
Diabetes Careに掲載された研究によると、10年以上糖尿病を患っていた患者に1日1,800 IUのビタミンEを摂取させたところ、腎臓のクレアチニン除去能力が正常化し、腎機能が改善されたと報告されています。別の研究では、ビタミンEは酸化ストレスから生じる腎不全を遅らせる可能性があると科学者らは結論付け、腎機能を延長させる補助療法としての可能性を指摘しています。有機アーモンド、ヘーゼルナッツ、小麦胚芽、ヒマワリの種、オリーブオイルを摂取することで、食事からのビタミンE摂取量を増やすことができます。
●アルファリポ酸は腎臓の健康をサポートする
アルファリポ酸は、薬物誘発性の腎臓障害を予防または軽減する能力について国際的に研究されており、アセトアミノフェンやシクロスポリンの毒性から腎臓を保護する上で安全かつ効果的であることが示されています。
動物実験では、この有益な脂肪酸が尿中のタンパク質損失を減らし、腎臓の健康を改善できることが示されています。また、末期腎疾患の患者にアルファリポ酸を与えると、危険な心血管合併症のリスクも軽減できることが研究で示唆されています。アルファリポ酸の優れた食物源としては、ビール酵母、ブロッコリー、ほうれん草、芽キャベツ、ビート、ジャガイモなどがあります。この栄養素はサプリメントで摂ることもできます。
最後に、糖尿病と肥満が腎臓病の2大原因となっていることから、食事が腎臓病の予防と治療に重要な役割を果たすことは明らかです。
実際、コロンビア大学の研究では、地中海式の食事(果物、野菜、魚、健康的な脂肪や油を多く含む)を遵守することが慢性腎臓病のリスク低下と強く関連していることが示されており、この壊滅的な病気の予防に栄養素が果たす重要な役割を実証しています。