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口腔衛生と心臓の関係

 30歳以上の人のほぼ半数が、ある程度の歯周病を患っていることをご存知ですか? 実際、米国疾病予防管理センター (CDC) でさえ、多くのアメリカ人がすでに口腔衛生状態が悪いか、または悪化しつつあると認めています。

 意外かもしれませんが、歯周病が引き起こす問題は、歯の不調や口臭だけではありません。Cardiovascular Researchに9月に発表されたメタ分析とシステマティックレビューによると、歯周病の進行した形態である歯周炎があると、心臓発作の主な危険因子である高血圧になる可能性が高くなります。さらに、2023年11月のPeriodontology 2000のレビューでは、アテローム性動脈硬化性心血管疾患の独立した危険因子としての歯周炎の影響が検討され、心血管の健康リスクを減らすためにこの見過ごされてきた関連性に対処する必要があることが強調されました。
 
●口腔衛生の悪さが心臓の健康に及ぼす3つの衝撃的な影響
 科学界と医学界は、口腔衛生が悪いと心臓にダメージを与え、高血圧、心臓発作、脳卒中のリスクを高める可能性があるという点に圧倒的な同意を示しています。

 Cardiovascular Researchの論文では、研究者らが歯周病と高血圧症の関連性に関する81件の研究を分析しました。この膨大なデータに基づいて、中度までの歯周病は高血圧症のリスクを22%増加させることが分かりました。重度の歯周病はリスクを49%も増加させます。言い換えれば、口腔衛生状態が悪いと高血圧のリスクが大幅に高まる可能性があるということです。高血圧は脳卒中や心臓発作の大きな危険因子であることがわかっています。
 
 研究結果は大きな意味を持っています。血圧がほんの少し上昇しただけでも(例えば+5 mmHg)、心臓発作や脳卒中による死亡リスクが25%も増加する可能性があると彼らは指摘しています。さらに、口腔衛生が悪いと、糖尿病、がん、妊婦の場合は低体重出産や早産のリスクも高まる可能性があるのです。

●適切な口腔ケアは寿命を延ばす
 『Journal of Aging Research』 に掲載されたコホート研究によると、歯を磨き、毎日フロスを使い、定期的に歯科医に通うことが高齢者の寿命の延長と関連していることが判明しました。この研究にはいくつか問題点があるものの、結果は理にかなっています。歯と歯茎を健康に保つことで、健康状態の悪さに関連する多くの健康問題のリスクを軽減し、平均寿命を延ばすことができます。
 
 さらに、毎日健康的な歯の習慣を実践することに熱心な人は、運動したり、甘い飲み物や食べ物を避けたり、喫煙しないなど、他の健康的な習慣も実践する可能性が高いと言えます。

●歯周病の主な警告サイン
 歯周病にかかっているなら、それがわかるはずだと考えるかもしれません。確かに、歯周病の兆候や症状のほとんどはかなり感じやすいですが、噛んだときの歯のかみ合わせの変化や口臭が長引くなど、見逃しやすい兆候もあります。他に注意すべき主な警告サインは次のとおりです。

·       歯磨き中、硬い食べ物を食べるとき、フロスを使うときに歯茎から出
  血する
·        赤く、痛み、腫れた歯茎
·        歯茎が歯から後退し、歯が長く見える
·        口内の痛み、圧痛、または潰瘍
·        歯がゆるい
 
 歯と歯茎が完全に健康だと思っていても、少なくとも年に1回か2 回は歯科医を受診することをお薦めします。自宅では、オイルプリング、海塩リンス、ハイドロフロス、ハーブマウスウォッシュも役立ちます。
 

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