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(掌編小説)ごめんね、みいちゃん
心中相手を募って出会った2人。女は部屋に残した猫を気にかけて…
とにかく誰も知らない遠い所へ。かもめさんが運転する車は、私を乗せて北へ北へ走っていた。
心を削るだけだった会社は少し前に辞めた。薬は増えていく一方で、どんよりとした暗い闇は重くまとわりついたまま。
秋とはいえこの辺りはもう寒く、空はやたらと青かったけれど、車の中は色が消えたような会話が交わされるだけだった。
ネットの世界で仲の良い2人も、実際に会うのは初めて。会ってみたらかもめさんは案外普通のおじさんで、何だか拍子抜けした。2人の共通の目的は誰も知らない所で死にたい、ということ。だけど私は1人で死ぬのは怖くて、道ずれを必要としていた。
「あの…かもめさん」
「はい、みいみいさん。何か?」
かもめさんはレンタカーのハンドルを握ったまま、信号待ちの交差点で助手席の私を見た。40代のかもめさんに比べて随分若いはずの私だけれど、20代というには疲れた髪をしていると思う。私はその疲れた髪を両手で押さえながら、妙に震えてしまった声で話し始めた。
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