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(掌編小説)猫を鏡に映して
猫が嫌いな女の子につきまとう1匹の猫。追い払おうとした瞬間、白い光に包まれて猫耳の世界に迷い込む。
「たまちゃん!ごめんね!今日はちょっと、お先に!」
まいちゃんはそう言って事務所を出ていった。はいはい、営業のイケメン星さんとデートでしょ!はいはい。それにしても、たまちゃんなんて猫みたいに呼ばないでよね!私の名前はたまき、筒井たまき!確かに昔からたまちゃんって呼ばれてるけど、私は猫が嫌い。自分勝手でプライド高くて、そのくせみんなから好かれてて、私は猫が嫌い。
私はお手洗いの鏡に自分の顔を映しながらため息をついた。顔が丸いのも嫌だし、目も腫れぼったいし、うーん。
思い切って行った美容整形クリニックのカウンセリングの帰り。今度目元だけパッチリさせる手術をすることにしたの。本当はもっとやりたいんだけど、入社2年目の私の貯金では目元だけで精一杯。でもこれで少しはかわいくなれる。未来が開けた。
「ニャー」
「わ!何!この猫は!」
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1匹の黒猫が私の足元にまとわりついている。私は軽く足で追い払おうとしたけれど、猫は相変わらずじゃれついてくる。だからさ。
「私は猫が嫌いだっつーの!」
私が大きな声を出してハンドバッグを振り回しながら、猫を威嚇しようとした瞬間、真っ白な激しい光に包まれて体が宙に浮いた。そして気が付くと会社の事務所の中。同僚のまいちゃんもイケメンの星さんもいる。けど、猫耳が付いてるし、目と鼻と口が猫だし!なんだ!なんなんだ!!
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